2013-02-15

太陽系を探検しよう-30.地球を揺るがす長周期地震の不思議③~何故、超高層建物がこれほどに建設されてきたのか?~

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(画像はこちらからお借りしました。)
写真は、超高層建物のさきがけである、1968年に竣工した霞ヶ関ビルです。以降、徐々に増加してきました。特に、バブル期以降は急増しました。
超高層建物は見晴らしもよく、みんな一度は住みたいと思ったことがあるかもしれません。
今や、最高高さであるスカイツリーは634m(ムサシ)と信じられない領域にまで達しました。
前回のブログでは、長周期地震動に対する、建物のメカニズムについて説明しました。
長周期問題にとっては、超高層建物、免震建物、石油タンクなど、問題がある可能性を孕んでいることが分かってきました。
では何故、安全性が証明されていない超高層建物の建設が、これほどまでに増加してきたのでしょうか。
また、安全神話が語られる必要があったのでしょうか。
今回は、そんな超高層建物が普及してきた経緯を、社会的背景の側面から解明してみたいと思います。

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◆超高層建築物の建設棟数の推移
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(画像はこちらからお借りしました。)
図に示す通り、超高層建物の建設は1968年の霞ヶ関ビル以降徐々に建ち始め、1997年(平成9年)以降、急増しています。
1995年に起きた阪神大震災の2年後であり、これが契機となっているのは明らかです。
何が起こったのでしょうか。
◆超高層建築物の増加の背景
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(画像はこちらからお借りしました。)
図に示すとおり、バブル崩壊以降、日本の住宅建設需要は下降の一途を辿っていました。
つまり、建設需要を喚起する必要があった
のです。これが直接的な外部要因です。
そこで、超高層建物が着目されました。
まず、マスコミによる大衆の意識改革が起こりました。
建築需要を高めるため、超高層建物をはじめとした新技術は安全であるという風潮がマスコミを中心に展開されました。都市部を中心に建設することで、大衆の快美欠乏とも相まって、安全で便利な建物として人気が集まりました。
しかし、実態はどうでしょうか。
阪神大震災はその安全性を証明した事例の一つとされていますが、当時は超高層建物の棟数も少なく、必ずしもその安全性が確認されたわけでもありません。
また、倒壊した建物は、総じて「旧い建物」です。
「旧い建物に倒壊が集中し、新しい建物には倒壊がなかった」という表現が正しく、「超高層建物が安全」と言い切るには時期尚早と言えます。
同時に、基準の見直しが政府により図られました。
日本では、大地震により大きな被害を受ける度に「規制強化」により安全性の向上が図られてきました。但し、阪神大震災までは・・・。
阪神大震災では沢山の尊い命が失われたにも関わらず、震災以降、大きな規制強化はなく、むしろ、1997年に「規制緩和」がなされたのです。高層建物の建設には規制がかかっていましたが、大幅に緩和することで建設が可能となったのです。(
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B6%85%E9%AB%98%E5%B1%A4%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3詳しくはこちらを参照)
つまり、住宅の建設を喚起する必要があり、①阪神大震災の経験より、超高層建物等の新技術は安全であるという風潮が世間に広まったこと、②1997年(平成9年)規制緩和により法的にも建設が可能となったことが要因です。
◆まとめ
世間では、超高層建物や免震構造など、新技術による建物は安全であるというイメージが擦り付いています。
しかし、これらの建設時には、長周期地震動は問題ではないと考えられており、その対策はとられていない場合があります。
長周期地震動により被害を受ける建造物が出来たのはごく最近であり、地震を経験することで、様々な問題が浮き彫りになってきました。
これは、特別なことではなく、これまでの建物の歴史も同じです。
万全だと考え建設されたものが、地震の度に被害を受けることで進化してきたのです。
先人の知恵の集大成が現在の技術といえます。
安全性よりも、市場拡大を優先した建設が進められています。
地震国である日本に超高層建築物を建てることに限界があるとも言えます。
問題は、それを極端に超える建物を建設していること、その根拠は科学技術であり観念上の世界で考えられているということ、しかもその背景は市場拡大という全く異次元の位相であること、そしてそれを実現するために実態の安全性は疎かにしながら、大衆も安全であると思いこんでしまっていること、ではないでしょうか。
自然の摂理に則った、現実的な判断をする必要があります。

List    投稿者 kumasuke | 2013-02-15 | Posted in ⑫宇宙を探求するNo Comments » 

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