2011-07-17

「放射線の内部被曝シリーズ」~まとめ~ 最終回(前編)

 「放射線の内部被曝シリーズ」も11回目となります 今回は最終回として、これまで長きにわたった過去の追求内容を遡り、まとめていきます!
 是非このシリーズを俯瞰し今後の生活に役立ててもらえる気づきや情報となれば幸いです。
 
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 3.11の東日本大震災に端を発した、人災「福島第一原発放射能汚染事故」は今月で4ヶ月経ち、未だに収束の様相をみせません。シリーズ当初は「どうにもならないんじゃないか?」と想われた放射能汚染による人体への影響でしたが、回を重ね追求していくこと毎に、少しずつ現状を突破していける可能性も見出せてきました!
 
 それでは、過去記事を振り返っていきましょう!
 
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1.放射性物質の被曝の危険性
シリーズ 1
シリーズ 2
3.11福島原発事故以降、まったく見えない放射能への対応をどうすればいいのか?という不安が募る中、マスコミ・政府からは、毎日曖昧な安全宣言しか発信されず、さらには情報が後から後から出てくること信用もおけなくなってきました。
 そんな状況ですが、素人でも一定の判断根拠を持てるように、再度放射能による被曝の影響について整理してみました。
内部被曝の危険性

被曝の種類については主に2種類あり
外部被曝:放射線源が体外にあって人体表面から直接に放射線を照射されて(直接線によって)被曝する
内部被曝:食事や呼吸によって口から取り込んだ放射性物質などで人体内部から被曝する
に分けられます。
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外部被曝は、外部の放射性核種より放出された放射線による被曝ですが、内部被曝は体内に取り込まれた放射線核種が至近距離で周囲の細胞へ向け放射線を放出し被曝させます。その分だけ集中的に細胞が攻撃され、DNAを初めとした体内組織を破壊していきます。
このことだけでも、放射性物質による内部被曝の影響は外部被曝による影響と比べ深刻だと相対的に理解することができます。
※内部被曝の影響を考えるにあたっての数値の換算モデルは、ICRPやその他の機関で違うようで、数値に関してはもう少し追求して固定化する必要があります。参考:リンク

放射性物質を取り込む経路と危険性
シリーズ 3

では、放射性物質はどのような経路を辿って我々の体内に取り込まれていくのかを見ていきます。
放射性物質が体内に取り込まれるときの経路は次の3通りが考えられます。
1)経口摂取
放射性物質が含まれる水や食物などを飲み込むことによりその放射性物質が体内に取り込まれる場合。
2)吸入摂取
放射性物質が含まれる空気を吸い込むことによりその放射性物質が体内に取り込まれる場合。
3)経皮吸収
皮膚を通して放射性物質が体内に取り込まれる場合。ただし、皮膚はほとんどの放射性物質に対してその侵入を防ぐことができるので、傷口がある場合を除いてこの経路による放射性物質の体内への取り込みは問題とならない(水または水蒸気状のトリチウムを除く)。
よって、放射性核種の取り込む経路としては1)2)が主であることが分かります。
また、吸収後体内のどこに蓄積されるのか?という点もまとめてみました。
 
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「経口摂取」の場合、放射性物質の物理的・化学的特性によって消化器管における吸収率が決まる(プルトニウムは吸収されない)・消化器官における吸収率は大人と幼児でも異なる
「吸入摂取」の場合、物理的・化学的特性に加えて、放射性物質の粒子径によって、吸収経路が異なる
「吸入摂取」の場合、ヨウ素・セシウムの吸収量は凡そ「経口摂取」の場合と同じのため、「食べても」「吸っても」体内に吸収される
プルトニウムは、極小の粒子が肺胞に蓄積し、肺がんを引き起こす

2.体内に摂取する可能性のある放射性物質は?

放射性物質の経口摂取による取り込みは体内に影響を及ぼす事はほぼ確実である事から、実際に食卓にあがる生物に対する放射性物質の挙動を調査した結果、次のことが解りました。
 
魚類の生物濃縮
シリーズ4
  

魚類・甲殻類等は、食物連鎖の過程において、環境(海水中)の100倍の濃度にまで放射性セシウムを濃縮する。また、淡水魚については海洋中よりもミネラル欠乏度が高い為、より積極的に放射性物質も取り込む事になる、という事が過去の事故調査などから解りました。
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そして、5/21のブログ記事を書いた時点では、小型魚の放射能被曝が表れていました。そして、そこから一ヶ月ほど経過した現在では、アユ等の淡水魚、モズクガニやアイナメといった中型魚のヨウ素・セシウム濃度が高まってきています。当初、発表されたコウナゴの汚染値と比較するとかなり低い数値ではありますが、汚染水の流出が止まったからといって安心できる状況ではありません。今後、じわじわと大型魚へ移行して行く可能性が十分に示唆される状況となっています。
尚、海水魚に蓄積されたセシウムが半分になるのに凡そ50日と言われています。今後、数ヶ月~数年のオーダーで汚染による影響が残ります。

野菜編
シリーズ5

葉緑素の多い葉物野菜(特に葉が厚い植物)は光合成による生成物が多くなる為、その養分を運搬・調整するためのカリウムを多く摂取する傾向が高い=同属性の放射性セシウムを吸収しやすい。  

根菜(サツマイモ・じゃがいも・サトイモ)や豆類(大豆やソラマメ等)、米などの穀物は葉で炭酸同化した養分を蓄積したものであり、その分カリウムをはじめとした栄養素が多く含まれる=今後他の部位に比べ濃縮率が高くなる傾向にある。 

放射性セシウムは根から吸収される為、土中の根の張り方によって吸収率が変わる。(りんごなどの比較的土中深く根を張る植物は土中深くまでセシウムが沈着するまでは、移行係数が低いと考えられる)  

イネ等の種子類・穀物類は栄養価の高い胚芽等を除いた精米であれば大方の放射性物質は除去できる。 

栄養素の取り込み方、蓄積の形はその生命の進化の歴史に依拠している。⇒その植物の成り立ちさえわかれば、有る程度どこにどの程度蓄積されるか漠とではあるが相対的に判断できる。
 
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ちなみに、原発事故から3ヶ月が経過した現在、茶葉やタケノコ、しいたけ等は以前高い数値を示しています。
4月段階では、軟弱野菜(葉物)で多数の汚染が検出されていました。茶葉に関しては5~6月に掛けて、しかも遠く離れた静岡県等でもセシウムが検出されている事を考えると、関東圏一帯も含めて野菜への影響はもっと出ているのではないだろうか?と思わざるを得ません。
参考までに、原発事故後の食品検査データーをリスト化してくれているサイトを紹介しておきます。
食品の放射能検査データー

 
~2~ へつづく。
 

List    投稿者 tyani | 2011-07-17 | Posted in ⑪福島原発問題No Comments » 

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