2011-02-17

雌雄の役割分化15~人類の快感回路の発達について

ここ 回の記事では、猿の雌雄分化について追求してきました。
振り返っておさらいすると、
・猿は動物的な本能を超えた「雌雄解脱共認」が紐帯となって、オスメス集団を形成している
・猿集団は、力の序列によって統合されていますが、雄猿にとっての力の基盤は腕力だけでなく、集団内の共認形成力(メス・子ども・年配猿からの信頼)によるところが大きい
・雌猿は、発情期間を長め、性機能を磨いていくことで、性的充足を与える存在へと役割分化していった
ということがわかりました。

さて今回から、人類について追求していきます
本日は人類の快感回路の発達について見ていきます。

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1.人類の女と雌猿の性機能の違い
猿とりわけ真猿以降のメス猿は性機能を発達させた動物です。
よく知られているように、真猿以降のメスは、発情期間が長くなるor頻繁になる傾向がみられます。また発情期に性皮を膨張させ、周りの雄猿を挑発します。雄は雌の発情を受けて、性闘争のスイッチがオンとなり、激しい縄張り闘争を行います。
※雌猿の性機能進化については、コチラを参照。

一方人類の女は発情期がありません。むしろ、年中発情出来る体になったといえます。
しかし、真猿のような性皮の膨脹は見られません。チンパンジーと比べて胸が大きくなったように思えますが、はっきりしません・・・
一見すると、人類の女は猿時代と比べて、性機能が退化したようにみえますが、これはどのように捉えればよいのでしょうか

この雌猿と人類の女の違いについて、諸説はありますが、以下の論理で説明されることがあります。

-人類の赤ちゃんは未熟な状態で生まれるため、母親による出産・子育てが長い間続きます。したがって、できるだけ長い間男に守ってもらう必要があります。
その時、発情期だけ性皮が膨脹していると、男は発情期だけ傍に寄って来て、発情期が終わるとさっさとどこかに出かけてしまう可能性が考えられます。そこで、発情期を男に見分けらないようにし、いつでも傍に居てもらうために、女は性皮の膨脹をなくした-


しかし、この説はほとんど、というよりまったくスッキリしません 😥 😥
例えば、原始時代に男がやり逃げをするということはありえない(そんなことしたら、集団が絶滅する)ので、この部分に限ってみても、辻褄が合いません!

一般的に、猿から人類に進化すればするほど、充足=オーガズムが明確に確認できるようになります。人類は猿に比べて快感を強く感じる生き物といえそうです。
このことを踏まえると、人類の女は「肉体改造により挑発機能を磨く」のではなく、「充足・快感回路を発達させる方向に進化した」と考える方がスッキリするのではないでしょうか。
このことは、脳の快感回路を見ていくとよく分かります。

2.人類の快感回路の特徴
性行為の際に快感(オーガズム)を体感できるのはサル(チンパンジー)と人類だけと言われています。
チンパンジーのオーガズム現象としては、メスが口を丸めて吹くような感じの表情+10秒間に及ぶ子宮の収縮、オスの叫びの表情等で確認できます。
オーガズム現象はチンパンジーと人類に共通して見られますが、快感回路には差異が見られます。
具体的にみていきましょう。

オーガズム中の脳はθ波と呼ばれる睡眠初期のときに出る脳波で充満した状態となり、ドーパミンやセロトニンと言った脳内の快楽系神経伝達物質も活性化し、A10神経も反応を強くします。
A10(エイ・テン)神経とは脳内の精神系だけを走っている神経で、これが刺激されるとドーパミンが分泌され快感を生じます。

※魚類・爬虫類においては、脳内のカテコールアミン(覚醒物質:ドーパミン、ノルアドレナリン、アドレナリンの総称)は、ほぼノルアドレナリンとアドレナリンですが、哺乳類になって大半がノルアドレナリンになり。サル・人類においてはドーパミンがノルアドレナリンに達するほど増加しています
つまり、ドーパミンはサル・人類にとって代表的な神経伝達物質といえます。

多くの動物が大脳辺縁系でA10神経が止まっているのに対し、人類のA10神経は大脳新皮質まで伸びています。これに加えて、他の動物はギャバ神経により伝達物質の抑制が行なわれますが、人類の場合はギャバ神経先端(前頭葉)で抑制機構が働かず「ドーパミンが垂れ流し」状態になることがあります。
a10.jpg
以上、脳内の快感回路の発達過程より、人類は充足・快感回路を発達させていく方向に進化した、といえると思います。

参考
Wikipedia  
脳幹で生産されたドーパミン/A10神経  
本能系の脳と神経の進化 
ドーパミンの基礎知識(ドーパミンの特異性)  

3.ビーナス像にみる女たちへの肯定視・感謝の念
快感回路を発達させた人類、とりわけ充足を与える女たちを周りはどのように受け止めていたのでしょうか?
実現論ト.人類の雌雄分化と人類の弱点より引用

>人類はつい一万年前まで、まともに地上を歩くことが出来ず洞窟に隠れ棲むしかない様な、凄まじい外圧に晒されていた。従って、人類のメスはサル以上に極度に依存収束を強め、首雄収束⇒応望収束回路を発達させていった。しかも人類のメスは(首雄でも防ぎ切れない)飢えや怯えに晒され、サル以来はじめて自らの不全感を直撃されたメスは専ら解脱収束を強め、強力な解脱収束⇒性機能収束回路(エンドルフィンとドーパミンの快感回路)を形成していった。だから、人類の女は徹頭徹尾、応望存在であり、自らの役割欠損を専ら性機能に収束させてゆく性的存在である。
もちろん、それら全ては首雄の期待に応えて役割充足を得る為であり、従って男たちはそんな女たちを、純粋にかつ積極的に肯定視してきた。


原始人が住んでいた洞窟では、ビーナス像(日本では土偶)が幾つも発見されています。
お腹がふくれている様子から一般的に安産の願いを込めて贈られたと考えられています。また、あまりにふくよかすぎる体格から、豊穣を願い、豊かさの象徴として女が位置づけられていた、とみることもできます。
さらに当時の人類が置かれた厳しい外圧状況を踏まえれば、充足を与え、明日への希望をもたらしてくれる女たちに対して、皆が期待し、感謝の念を込めた、と捉えることができます
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    縄文土偶            ヴィレンドルフのビーナス像
写真はコチラからお借りしました。
次回は、雌雄の脳の違いが、進化の過程でどのように分かれていったのかを追求していきます。
お楽しみに

List    投稿者 andy | 2011-02-17 | Posted in ③雌雄の役割分化No Comments » 

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