2010-09-30

原猿から真猿へ15 ~類人猿はなぜ絶滅種なのか~

 原猿から真猿へのシリーズも今回を含めて後2回で終わりです。後の2回は、これまでの追求を振り返って、疑問が残るところをさらに掘り下げて解明したいと思います。今回は、類人猿はなぜ絶滅種なのかです。 😀
%E9%A1%9E%E4%BA%BA%E7%8C%BF.bmp
写真はこちらからお借りしました。
 シリーズ10~旧世界ザルの進化と特徴~でも見たように、霊長類の中でも最も進化していると考えられている類人猿ですが、その生存域を見ると、アフリカとアジアの熱帯雨林の限られた地域にしか生息しておらず、その殆どが絶滅危惧種に指定されています。広い生息域を確保し、今も繁栄を続ける旧世界ザルとは対照的です。 😥 😥
 類人猿は、小型化に向かったテナガザルを除き、オランウータン、ゴリラ、チンパンジー、ボノボ、どれを見ても旧世界ザルよりも体格は大きく、闘争力も高く、知能も最も発達しています。闘争力も知能も上回るはずの類人猿が、なぜ旧世界ザルに負けたのでしょうか。 🙄 🙄
興味を持たれた方は応援もお願いします。
ブログランキング・人気ブログランキングへ
にほんブログ村 科学ブログへ

 にほんブログ村 科学ブログへ


■類人猿の体格と生息範囲
 まずは、旧世界ザルと類人猿の体格差を見てみましょう。旧世界ザルは体重5kgから10kgのものが多く、比較的大きいニホンザルで雄15kg雌13kg以下、最大のキイロヒヒで雄25kg雌14kgです。
 これに対して、オランウータンは雄80kg雌40kg、ゴリラは雄140kg~180kg雌90kg、チンパンジーでも雄34kg~70kg雌26kg~50kg、ボノボが雄45kg雌33kgです。一番小さいチンパンジーの雌の最小値26kgでも、旧世界ザル最大のキイロヒヒのオスを上回っています。ちなみに、類人猿の中では小型化の道を歩んだテナガザルでも5~10kg程度の大きさです。
 そして、旧世界ザルがアジア、アフリカの広い範囲に広がっているのに対して、類人猿はごく限られた地域にのみ生息しています。テナガザルは東南アジアの熱帯雨林地域、オランウータンはさらに狭くボルネオとスマトラのみ。ゴリラはアフリカ中央部のナイジェリア周辺とザイール周辺のみ。一番生息範囲が広いチンパンジーでもアフリカ赤道周辺、ボノボはザイール中西部だけに限られています。
 この体格差を見れば、戦えば類人猿の方が間違いなく強そうですが、縄張りを広げているのは対格差で劣る旧世界ザルなのです。なぜ、こんなことになったのでしょか。 🙄 🙄 🙄
%E7%8C%BF%E3%81%AE%E5%88%86%E5%B8%83.jpg
写真はこちらからお借りしました。
■類人猿は熱帯雨林に特殊適応した存在?
 生息域を見れば明らかなように、類人猿は熱帯雨林に適応しておりそれ以外の地域では生存できないと考えられます。類人猿が登場したのは中新世で、地球が温暖化し熱帯雨林が拡大して行く時期です。類人猿は熱帯雨林で栄養豊かな果実を独占し、大型化していきました。
 しかし、中新世の後期になると地球が寒冷化し、熱帯雨林が縮小していきます。このとき旧世界ザルは熱帯雨林以外の乾燥地や寒冷地にも適応し生息域を広げます。
 ですが、類人猿は熱帯雨林以外の地域に適応しませんでした。大型化した類人猿は栄養価の高い果実がある熱帯雨林を出ることが出来ないレベルまで特殊化が進んでいました。縮小する熱帯雨林のなかで同類闘争に勝つしか生き残る道がなかったのです。
 類人猿は闘争力を高めるために、体格を大きくし、集団性を高め、そのために知能を発達させ、さらにチンパンジーは母系制を父系制に転換し闘争集団を形成していきます。類人猿は同類との闘争力をとことんまで高めましたが、多様な自然環境に適応する道は選びませんでした。戦えば旧世界ザルに十分勝てるのに、熱帯雨林の減少にあわせて滅亡の道を歩んでいくことになったのです。 😥 😥
■種の絶滅
 過去、種が絶滅した事例は多いです。例をあげるとアンモナイトや恐竜、大型哺乳類といったものがあります。これらは明らかに特殊化して繁栄した種と言えます。
※特殊というのは「大型化」というのもその一つだと捉えると分かり易いかと思います。
 これら繁栄した種も、外圧(急激な寒冷化等)に適応出来ずに絶滅しました。適応出来たのは小さな哺乳類等であったように、種としては特殊化(繁栄)してない敗者側が多い事が特徴です。
※有史以降の生物の絶滅は、人間の活動が原因となる場合が多い事に注意。
※実は、サーベルタイガーやマンモスといった相当強そうな種も人類によると言われています。
%E6%81%90%E7%AB%9C%E7%B5%B6%E6%BB%85.bmp
写真はこちらからお借りしました。
 最後に、遡って『人類は絶滅種なのか?』という疑問を考えてみましょう。哺乳類や類人猿(ほぼ同種)から見ても・・・
・・・明らかに特殊ですよね 
※大型に特化した訳では無いけど観念機能を持っている事自体、特化していると言っても良いでしょう。
 しかし、特殊とは言え、どんな所(環境)でも生きている=繁栄しているという事実があります。 8) 😛 8)
・これには急激な環境変化に適応可能な、DNA進化よりよっぽど早い「観念機能」。
・どんな環境の食べ物(適正な食料)でも食べる「雑食性」。

※他にもありますがこれらの獲得機能が結構大きい気がします。
※多分、地球上至る所にいる種は人類くらいで、肉でも葉っぱ(野菜)でも虫でも何でも食べますね。・・・そういう意味では、現代の若者の「好き嫌い」問題は絶滅に繋がる大問題かもしれません。 😥
 ところで、なぜここまで雑食性を獲得したかと言えば、類人猿間の闘争に負けた人類は必然的に熱帯雨林から出ざるを得ない状況でした。敗者である以上適応しなければ生きられない状況です。
 しかし、この熱帯雨林(ここでしか生きられない)を飛び出す事こそ、特殊化した旧世界猿の派生の類人猿の生き延びる道(絶滅を防ぐ進化)だったと考えられます。

List    投稿者 h100p | 2010-09-30 | Posted in 3)地上へ進出した哺乳類(原猿から真猿へ)1 Comment » 

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.seibutsushi.net/blog/2010/09/1017.html/trackback


コメント1件

 すきま風 | 2016.12.23 2:47

頭が良くて凶暴でスケベなホモ・ダブル・サピエンスが蔓延してしまった地球で、他の中大型生物が新天地を求めるのは不可能でしょうね。
それこそ隕石や地球規模の異変で今の生態系がリセットされるか、人間が絶滅ないし地球から出ていくか・・・
他の種は本能の奥底から、それを望んでいることでしょう。
こんな事態に備えて遺伝子の劣化というものが、あるのかもしれない・・・?
しかし人間は遺伝子操作まで来ている。
地球に生命が存在し得るうちに、人間は他の生物に地球を返すべきだと思う。
そして未来人間の行きつく先は、系外惑星で同じことを繰り返すのではなく、宇宙空間スペースコロニーを目指すべきである。

Comment



Comment