2009-07-21

知られざる善玉ウイルス

img10604508029%5B1%5D.jpg
いままでウイルスの研究は人類に対して悪影響を及ぼしているものにだけ焦点をあてていたこともあり、ウイルス=悪という考えが根付いてしまっています。
しか~し調べてみると人の役にたっているウイルスがたくさんあることがわかってきました
例えばインスタントの肉製品やメロンに、細菌を抑える食品添加物としてウイルスが使用されていたり、抗生物質が開発される以前はウイルスによる治療も行われていました。
今回は知られざる善玉(人類の役に立っている)ウイルスを紹介していきたいと思います 😀

 にほんブログ村 科学ブログへ



体内で活躍していた善玉ウイルス
>30億年にもわたって存在していたウイルスが単に病気の原因として働いていたとは考えられません。しかし、これまでウイルスの昔の名前、病毒が示すように、我々はウイルスを悪玉とみなしてきました。しかし、最近、ウイルスがほ乳類の存続にきわめて重要な役割を果たしていることが明らかにされました。
 それは人内在性レトロウイルスです。このウイルスは霊長類の祖先の染色体に2500万年前に組み込まれたウイルスで、まさに化石のような存在と考えられてきました。一方、人の胎児は母親と父親の両方の遺伝形質を受け継いでいます。父親由来の形質は母親にとっては異物ですから、本来ならば臓器移植の場合と同様に、免疫リンパ球により排除されてしまうはずです。
その母親由来リンパ球による攻撃を胎児から守っているのは、胎盤の外側を取り巻く合胞体栄養膜です。この膜は胎児の発育に必要な栄養分を通しますが、リンパ球は通しません。この膜のおかげで胎児は発育できるのです。
この重要な膜はシンシチンと呼ばれるタンパク質により形成されますが、最近シンシチンは人内在性レトロウイルスの産生するタンパク質であることが明らかにされたのです。

治療で活躍している善玉ウイルス
>細菌ウイルス(バクテリオファージ)は細胞の中で増殖し細菌を溶かしてしまうウイルスです。
フランスの田舎やインドではファージを用いて赤痢の治療をおこない、成果をあげていました。これがファージ療法の最初で、その後米国でもおこなわれ、1940年代には大製薬会社が黄色ブドウ球菌や大腸菌などを標的としたファージの製造をおこないました。
そののち、抗生物質が開発されて多くの細菌感染の治療が可能になったことから、ファージ療法はほとんど姿を消してしまいました。
 20世紀の後半になって、抗生物質が効かない耐性菌の問題が深刻になってきたため、ファージ療法がふたたび注目されるようになりました。ファージは特定の細菌を破壊する性質を持っています。抗生物質のように多くの種類の細菌には効果がありません。しかし、逆に目的の細菌だけを攻撃するので、抗生物質のように善玉の細菌まで攻撃してしまうことはありません
 二一世紀に入って、ファージ療法の開発は非常に盛んになっています。利用をめざしている分野も多岐にわたっています。ウシやニワトリへの抗生物質の乱用が耐性菌を生み出す大きな原因になっていますが、それに代わるものとして、大腸菌O157などを標的とした多くの研究も始まっています。
また、メロンやソーセージなどの食品の細菌汚染を防止する試み、稲やトマトなど作物に被害を与える植物細菌の防除といった、新しい分野への応用も試みられています

 いままでウイルスの研究は人類に対して悪影響を及ぼしているものにだけ焦点をあてていたこともあり、ウイルス=悪という考えが根付いてしまっています。普通に考えればウイルスも生存する為に種間闘争戦略をしているだけなのです
そして彼らは30億年の歳月の間に地球上の生命を滅ぼしていません。それどころか魚の病気を治すウイルスや、研究段階ではありますが、皮膚がんの悪性黒色腫を人への病原性が無い「センダイウイルス」によって増殖を止め細胞死を促すなどの治療の研究もされています。また人類にとっても欠かせない役割を担ってくれているウイルスも存在します。
 もちろん危険なウイルスはたくさん存在していますが、悪と決め付けて根絶することだけを考えるのではなく、自然の摂理や共存といった視点から考えていくことも必要なのではないでしょうか。

http://www.primate.or.jp/rensai/zakki/20081222.htm
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsvs/05_byouki/prion/pf171.html

List    投稿者 mizuguti | 2009-07-21 | Posted in ①進化・適応の原理4 Comments » 

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.seibutsushi.net/blog/2009/07/835.html/trackback


コメント4件

 まつこ | 2009.11.24 22:47

パンダって愛くるしい外見に似合わずすごく苦労してるんですね。
それでも適応しようと(=生きようと)しているということに生命の強さを感じます。

 ファイテイングドックス | 2009.11.25 21:41

言われてみればなるほど!なんですが、消化器官で、草食か肉食か見分けていたんですね。
そして、笹や竹が大好きで、パンダには悩みがないと、勝手に思ってました。。。
笹や竹など他の動物が食べないってことは、それだけ、メリットが少ないっていうことなんですね。草食動物は、肉食に狙われない限り安泰かと思っていたんですが、このようにして生き延びて来たんですね。

 さんぽ☆ | 2009.11.28 19:22

まつこさん
コメントありがとうございます☆
あんなに愛くるしいのに、意外にすごいことをしているんです!
いろいろな適応の仕方があるのだなって思います!

 匿名 | 2009.11.28 19:33

ファイテイングドックスさん
コメントありがとうございます☆
>笹や竹が大好きで、パンダには悩みがないと、勝手に思ってました。。。
私もそう思ってました(笑)
>笹や竹など他の動物が食べないってことは、それだけ、メリットが少ないっていうことなんですね。
確かに!そこにあえていったということは、追いやられたということですね!

Comment



Comment