免疫の認識機構は、同類認識が根源
3/24のエントリー「掃除屋マクロファージ」に引き続き、マクロファージの秘密に迫りたいと思います。
免疫機能の原初的形態は、おそらくマクロファージの食作用です。免疫機能にはリンパ球も含めいろいろありますが、その元祖ですね。マクロファージの食作用の主な役割は、病原体への対処と、細胞死の残骸の処理ですが、、、いったいマクロファージはどういう仕組みで、細菌、ウイルス、死んだ細胞等の異物を認識しているのでしょうか?
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なお、昨日のエントリー「獲得免疫の認識機能」にあるように、リンパ球のB細胞とT細胞では、個々の抗原を特異的に認識して攻撃しています。つまり「個別認識」ができるように進化しているわけですが、、、マクロファージはもっと原始的な仕組みの認識機構のようです。
まず、正常細胞と異物を見分ける仕組みはどうなっているのか?
※マクロファージによるアポトーシス細胞の認識とそれに続く応答の調節機構(pdf)
正常な細胞はleave me away signalを出してマクロファージの貪食を抑制するのに対して、アポトーシスを起こした細胞はleave me away signalを送れなくなりeat me signalが働いてマクロファージに貪食されると言われている。
※理科年表オフィシャルサイト マクロファージ・樹状細胞などの病原体関連分子パターン ( PAMPs ) を認識するレセプター
B細胞や T細胞は表面の抗原レセプターで相手 ( 微生物などの抗原 ) に反応し、相手を排除するための反応を開始するが、食細胞 ( マクロファージ ・ 好中球 ) ・ 樹状細胞などはパターン認識レセプター ( PRR ) で、ヒトなどには存在せず微生物に普遍的に存在する物質に反応して微生物排除のための反応を行う。
物理的な仕組みとしては、正常細胞や異常細胞・異物から発せられる様々なシグナルを、マクロファージ細胞膜表面の多様なレセプターで認識しているということです。
もう少し別の角度から考えてみます。
マクロファージの起源は何か?
これは、原生生物(単細胞真核生物)の細胞そのものであると考えられます。その機能は、おそらく同類以外の細胞を食べることにあり、少なくとも個体差よりも大きな同一性を認識し(=同類認識)、認識できないものに対し無差別攻撃をしかけています。
(カイメンの原生細胞とか腔腸動物のアメーバ細胞とかは食作用を持ち、マクロファージの原始型だと考えられます)
★重要なことは、免疫の元祖であるマクロファージは、同類だけを識別し、それ以外のものは(厳密には識別したとは言い難いような乱暴な方法で)攻撃対象と認識している・・・つまり認識機構から見れば(自己-非自己認識ではなく)「同類認識」が根源であるという点です。
この認識機構の起源については、るいネットでも追求されていますので、紹介します。ぜひ読んでみてくださいね。
●仲間の認識と集団性
●「同類」を認識することが生物にとっては根源的
●根源的認識の理解、免疫系に見る…その2
●免疫機能は、自己か非自己かではなく、仲間か仲間でないかを認識する
追求はまだまだ続きます!
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