2008-03-28

免疫細胞の起源?(仮説)

そもそも生物はなんで免疫細胞を必要としたのでしょうか?
今日は、その謎に迫るべく、大胆に仮説を立ててみます。

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<マウスのマクロファージ:ウィキペディアより引用>

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●免疫細胞っていつ頃できたの?
いろいろな免疫細胞がある中で、元祖免疫細胞はマクロファージ。白血球の顆粒球NK細胞等はマクロファージから進化したもの。さらには、赤血球、血管や心臓を構成する細胞(さらには中胚葉系の器官)等もマクロファージ起源と言われている。

海綿動物でマクロファージが発見されている。その後の腔腸動物(イソギンチャクやサンゴ、クラゲ等)以降の生物(無脊椎動物、脊椎動物)にも全てマクロファージがある。マクロファージの起源は結構古く、遅くとも海綿動物等の初期多細胞動物の段階には登場していたと考えてよさそうである。(アメーバのような単細胞生物にもマクロファージと同じような貪食機能が備わっているところから考えると、マクロファージの始原的なものは、それ以前から登場していたかも知れない。)

●免疫細胞が必要になったのはなんで?
いろいろな仮説があり得ると思うが、仮にマクロファージの登場が生物の多細胞化の段階であるとしたら、免疫細胞が必要とされた理由は、多細胞化による運動機能の高度化やそのための細胞間の役割分化と関わっているのではないだろうか?

以前のエントリー(生物がオスとメスに分かれたのは、なんで?)にも、保存と仕事の分化(殖・産分化)が多細胞化の原点であるという話がある。保存を担う生殖細胞と仕事を担う体細胞との役割分化が多細胞化の原点にあるというわけだ。そして、そのような生殖細胞と体細胞との役割分化が進むことによって、生物の運動機能は高度化してゆく。

しかし、そのように役割分化してゆくと、運動機能を担う体細胞には寿命というものが登場する。実はアメーバなどの単細胞生物には寿命というものはない。彼らは死なない。勿論、エサや水がなくなるとか、温度が激変するとかの環境変化によっては死滅するわけだが、いわゆる細胞が老化して寿命を迎えるといった意味での「死」というものはない。「寿命」や「死」というものは、生物が多細胞化した後に登場したものである。

生物の「寿命」「死」と密接に関わる現象として、多細胞生物におけるアポトーシス(プログラムされた細胞死)という現象がある。個体をより良い状態に保つために積極的に引き起こされる、管理・調節された細胞の自殺のこととされる。例えば、オタマジャクシの尻尾がカエルに変態する時にはなくなるとか、人の指の間には初期の胎児段階ではカエルの水かきのようあものがあるのに、生まれてくる時にはなくっているといった現象はアポトーシスによるものである。

そのアポトーシスという現象にはNK細胞が大きく関わっており、NK細胞の指令(Fasリガンドという蛋白質が発現)により、アポトーシスが引き起こされるらしい。(リンク参照)
また、マクロファージージがら放出されるサイトカインによってもアポトーシスが誘導される。マクロファージからは腫瘍壊死因子(TNF-α)が分泌され、これが細胞表面の受容体に結合することで細胞死が起こるとされる。(リンク参照)
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<アポトーシスを起こした瞬間の細胞 :リンクより引用>

その辺りから大胆仮説を組み立ててみると、“多細胞化によって体細胞に「寿命」というものが登場したたため、古くなった体細胞をアポトーシスさせて掃除する(体の恒常性を保つ)ために免疫細胞が必要とされた”という説があり得るのではないだろうか?

※多細胞化と寿命との関係や寿命とアポトーシスとの関係、アポトーシスのメカニズムなど、まだまだ未明な点も多い。様々な疑問は、次のシリーズで詳細解明し、検証してゆく予定です。お楽しみに!

List    投稿者 fkmild | 2008-03-28 | Posted in ⑤免疫機能の不思議No Comments » 

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