2008-02-19

なぜES細胞研究が人に適用できるようになったのか?

前投稿で以下の記述がありましたが、さりげなく読んだ方,もう一度読んでみてください。
もう一つの特徴である自己複製能力は、分裂した時に自分とまったく同じ性質、能力を持った細胞をほぼ無限に作り出すことのできる力です。ES細胞は放っておくと、すぐさま目的の細胞となるべく繰り返し姿を変えていきます。これを分化と呼びます。ところがES細胞をある条件のもとで培養すると、分化をしない幹細胞の状態でいくらでも増えていくのです
さてある条件の元で培養するとはどういうことなんでしょうか?
それをレポートした記事がありました。
理化学研究所さんのプレスリリースより抜粋して報告します。
ちょっとSFじみていますが、ここまで医学は進んでいるのです。
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研究グループは、細胞内の特定の酵素に対する阻害剤を培養液へ添加するという単純な処理を行うことで、ヒトES細胞の生存を著しく亢進させる技術を樹立しました。また、この方法により、これまで困難であったヒトES細胞から効率の良く大脳神経細胞を産生することを可能としました。
ヒトES細胞は、単一細胞に分散して培養すると99%が細胞死を起こし、コロニーを形成することができません。このような細胞死を引き起こす現象は、マウスES細胞では認められず、霊長類(ヒト及びサル)ES細胞に特有の現象です。これまでに、笹井グループディレクターを始め、多くの研究者が細胞死の阻害剤(カスパーゼ阻害剤など)を用いて、この細胞死を抑制し、ヒトES細胞の生存を高める試みを行いましたが、十分な成果は得られませんでした。ヒトES細胞を効率よく培養することが出来ないために、ヒトES細胞の大量培養はもちろん、分散培養やコロニー形成を必要とする研究開発は、実際上不可能でした。
ヒトES細胞の「内なる殺し屋」Rhoキナーゼ(ROCK)を同定
研究グループでは、運動神経細胞などのごく特殊な細胞死に関わっている可能性のみが示唆されていたRhoタンパク質と、Rhoが結合することで活性化されるRhoキナーゼ(ROCK)という酵素に注目しました。このRhoタンパク質がヒトES細胞で果たす役割を調べたところ、ヒトES細胞をバラバラに分散するとすぐにRhoタンパク質の活性化が起こることを発見しました。Rhoタンパク質の活性化は、続いてROCKの活性化を引き起こしますが、ROCKの選択的阻害剤であるY-27632※3を作用させたところ、ヒトES細胞の分散による細胞死を強く抑制し、1個の細胞からの細胞塊(コロニー)形成率が約30倍に亢進しました。分散したヒトES細胞の生存促進は、Fasudil※3などY-27632以外のROCK阻害剤を添加することでも認められました。
 このことは、分散培養の際にヒトES細胞の「殺し」をつかさどる細胞内因子が、実は、一般的な細胞死にはあまり関係しないとされてきたROCKであることを世界で初めて証明したことになります。
ヒトES細胞への遺伝子導入改変細胞を作成
ROCK阻害剤の生存促進作用は非常に強力で、たった1個のヒトES細胞を培養皿にいれた場合でも、そこから細胞塊を成長させることができます。また、分散後12時間作用させるだけで、細胞死をほぼ完全に抑制することが出来ます。
 さらに、ROCK阻害剤存在下で培養すると、ヒトES細胞は、ES細胞特有の性質を失いません。すなわち、自己複製能や多能性を保ったまま培養する、維持培養が可能となります。また、ヒトES細胞は、分散培養をしなくても中程度に細胞死が起こりやすく、殖えにくい性質がありますが、ROCK阻害剤は、分散培養以外でもヒトES細胞の生存、増殖を促進することが判明しました。
 長らく解決されなかったヒトES細胞の細胞死の問題は、このように単純なROCK阻害剤の薬剤処理でほぼ解決することができました。
 ちなみに、大量培養を考えた場合、従来の「株分け」培養法では1ヶ月かけてやっと100倍程度に細胞を殖やすことができるのみでしたが、今回のROCK阻害剤を使う新しい分散培養法では、計算上1ヶ月で1万倍以上に細胞数を殖やすことが可能になる効率になります。
ヒトES細胞からヒト大脳皮質細胞を産生
これまでに、同研究グループは、マウスES細胞から大脳神経前駆細胞を効率的に産生する手法を開発しました(2005年2月7日プレス発表)。しかし、この方法は、細胞分散および浮遊培養(細胞を培養皿の底に接着させず、培養液に浮遊させて培養する)のステップを含んでいたため、ヒトES細胞にこの手法をそのまま適用すると、強い細胞死を惹起し、細胞がほとんど全滅してしまうという問題がありました。
 そこで、ROCK阻害剤をこの培養系に添加したところ、ヒトES細胞は、分散および浮遊培養にも関わらず良く生存しました。さらに神経分化を阻害するWnt、Nodal、BMPという3つの細胞外シグナル因子を働かなくするために、それらの阻害剤を加えると、培養開始35日後には9割以上の細胞が神経系細胞となり、その33%の細胞が大脳神経前駆細胞または大脳神経細胞に分化していることがわかりました。こうして育った大脳細胞を詳細に解析した結果、それらの大部分は大脳のなかでも皮質の前駆細胞であることが判明しました。大脳には皮質以外に、その腹側に存在する基底核という運動制御中枢がありますが、培養の過程でソニックヘッジホグというタンパク質を添加すると、同様の分散・浮遊培養法でヒトES細胞から基底核の神経細胞も産生できることが判明しました。

ついに医学は脳や神経を作り出すことに成功したのです。
ES細胞が注目されているのは副作用が伴う他者の臓器などの移植医療とは異なり、原理的には自らの細胞因子を増殖させる事で異物拒絶という副作用を伴わないそうです。つまり副作用のない移植医療といわれる所以です。試験管の中では成功しています。後は生体実験を待つばかり。これが成功したらどうなるのでしょう?ついに人は創造主である神を超えたのでしょうか?もちろんそれは自然の摂理を冒涜したともいえます。その意味ではとんでもない副作用が待っているようにも思います。以下の指針がES細胞の発表の1年前に制定されていることが何か性急さを感じさせます。欧米に追いつき追い越した再生医療研究の現場は今、国家事業という名の下にとんでもない方向へいっているのではないでしょうか?

ヒトES 細胞の樹立及び使用に関する指針概要

List    投稿者 tano | 2008-02-19 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 

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