2008-02-18

ES細胞って何?(基礎編)

皮膚の細胞からES細胞を作ることに世界で始めて成功
昨年の8月、生物学会、医学界では衝撃的なニュースが新聞紙上に発表された。
1981年英国、95年米国によって動物実験を繰り返してきたES細胞のヒトへの実現に向けて日本が最先端の再生医療の扉を開けたことになる。
クローン医療と同様、倫理的に多くの課題を残しながら、一方で適用法令(指針)はすでに整備されている。議論をおきざりにして細胞を人工的に作り出す技術は、はるかに早く実現する可能性が出てきた。

今日はそのES細胞とは何か、なぜ人体への適用が実現できたのか?そこをいくつかのサイトをサーフィンしながら緊急レポートしてみたいと思います。
ES細胞について一番わかりやすく解説しているサイトから紹介します。
ES細胞とは
ES細胞は人体を形づくるあらゆる細胞にへと変ぼうすることのできるおおもとの細胞であるとともに、変ぼうする前の状態のまま自らをいくらでも分裂させて増やすことができる特性を持っています。
そのようなES細胞を手に入れることができるようになったということは同時に、ES細胞を上手に誘導してやれば目的とする必要な細胞、組織、器官を意図的に作り出し、さまざまな治療に生かせる可能性が大いに広がったということを意味します。以来、各国の研究者はES細胞を使った研究に力を注いでいます。日本では昨年秋に文部科学省から「ヒトES細胞に関する樹立と使用に関する指針」が示され、一定の条件のもとでES細胞を利用した研究にゴーサインが出されました。
ES細胞はそもそもどのような細胞で、どこまで研究が進んでいるのか。
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幹細胞
すべての生物は細胞という最小単位によって構成され、人間ではその細胞の数は200種類以上、約60兆個あるといわれています。このような極めて多数の細胞も、もとをたどれば受精卵という一つの細胞に行き着きます。日々生死を繰り返している多種多様な細胞それぞれにも、もとをたどると親の細胞に行き当たります。それを幹細胞と呼びます。英語ではstem cellと呼びますが、stemは木の幹のことです。幹から多くの枝が分かれ大きな木へと成長していくように幹細胞からも多くの細胞が分かれていき、身体の組織や器官を形作るさまざまな細胞へと変化を遂げていくのです。幹細胞には胚幹細胞と成体幹細胞があります。胚幹細胞は英語でEmbryonic Stem Cellと呼ばれるためES細胞と呼ばれるのです。
ES細胞
ES細胞は、胚から取り出されて作られます。胚は受精卵が成長を続ける初期の段階をさします。卵子と精子が一つになった受精卵は胎児へと成長していく途中で二つ、四つ、八つ…と分裂を繰り返し5、6日目には胚盤胞と呼ばれる状態になります。胚盤胞は直径0.1ミリほどの球状の形をしており、外側の細胞層である栄養外胚葉と、将来、体を作るもとになる細胞のかたまりである内部細胞塊を抱く胞胚腔から構成されています(下図)。内側の細胞塊はいずれ内胚葉、中胚葉、外胚葉へと成長し体のあらゆる細胞を形作っていく部分で、栄養外胚葉はそれらの胎盤を形成し、また胚を外界から隔離する袋を形成します。
 この内部細胞塊をほぐした後細胞を取り出し、これらの細胞をある細胞が増殖しても分化しない環境で培養するとES細胞ができあがるのです。
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ES細胞にはいくつかの驚くべき能力があります。
一つ目には、体を形作るあらゆる細胞になり得る多能性を持っているということ。
そして二つ目には培養皿の上である条件のもとで置いておくといくらでも自らのコピーを作り出せる無限の自己複製能力を発揮することです。

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すべての細胞になりうる多様性
多能性について説明しましょう。ES細胞は内胚葉、中胚葉、外胚葉がいずれ行き着く先であるすべての細胞に成り変わっていく可能性を持っています。目的の細胞へうまく導くための方法を見つけ出すことができれば、病気や事故、あるいは老化などの原因で失われた体の機能を、ES細胞から作った細胞を補うことによって治療をすることが可能になるわけです。これがいわゆる再生医療です。
ES細胞は時に万能細胞と表現されていることもありますが、そのままで胎児に成長していく受精卵と違い、ES細胞は個々の細胞、組織、器官にはなり得ますが、そのままでは胎児になることはありません。万能細胞という言葉は受精卵に譲って、やはり多能性細胞と呼ぶほうが正確でしょう。
無限の自己複製能力
もう一つの特徴である自己複製能力は、分裂した時に自分とまったく同じ性質、能力を持った細胞をほぼ無限に作り出すことのできる力です。ES細胞は放っておくと、すぐさま目的の細胞となるべく繰り返し姿を変えていきます。これを分化と呼びます。ところがES細胞をある条件のもとで培養すると、分化をしない幹細胞の状態でいくらでも増えていくのです(下図)。再生医療を現実のものとするためには非常にたくさんの細胞が必要です。この能力によって、目指す細胞、組織、器官を作り出すための”原材料”をいくらでも供給することができるのです。成体幹細胞にも同様に「多能性」と「自己複製能力」が備わっていますが、分化できる細胞の種類は通常限られています。
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ES細胞を利用した再生医療
現在、ES細胞を利用した再生医療として研究が最も進んでいる分野の一つは、脳の神経伝達物質であるドーパミンを作り出す神経細胞に誘導する研究で、これはパーキンソン病の治療に役立てられようとしています。パーキンソン病はドーパミンの分泌が不足することによって運動障害などを引き起こす病気ですが、ドーパミンを生み出す神経細胞は老化によっても減少していくため高齢者では非常に高い率で患者が存在しているといわれています。すでにヒトES細胞に近いサルのES細胞から非常に高い確率でドーパミンを作る細胞に変化させる研究が報告されており、近い将来、治療への道が開かれそうです
さてES細胞とは何かわかりましたでしょうか?
重要なキーワードを並べます。
ES細胞は胚幹細胞である。
ES細胞はすべての細胞になりうる多様性を持っている。
ES細胞は無限の自己複製能力をもっている。
ES細胞を誘導して人体の器官を意図的に作り出すことができる。⇒再生医療への適用

すべての細胞へ?無限の複製能力?不老不死に似た何か怖くなるような話ですね。
それでは動物実験しかできなかったES細胞をどのようにして人に適応させていったのか?次の投稿ではそれを明らかにする記事を紹介していきます。(by tano)
この記事はブログ「生物を数理的に考える」さんにTBしています。

List    投稿者 tano | 2008-02-18 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 

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