2008-02-13

なぜ拘禁因子でオスメス分化を決定するようになったのか?~第87回なんでや劇場より~

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この画像は イソギンチャクの繁殖HP よりお借りしました。
(イソギンチャクの生殖腺  上から♂、♀、雌雄同体の生殖腺を示します。)
  
なぜ拘禁因子でオスメス分化を決定するようになったのか?
  
今回の劇場で一番印象に残ったのは、オスメス分化が決定されるのは、 オス(メス)になれ! というシグナルが性を決定しているのではなく、 オス(メス)になるな! というシグナルの働きにより、オスメス分化は決定されていくという視点です。
  
このメカニズムに深く関わっているのが 「造精(造卵)拘禁因子」 です。
  
今日は「造精(造卵)拘禁因子」ってなに?の復習です。
 
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まずは私たち哺乳類がオスメスに分化していく過程をみていきます。
 
●哺乳類の躯体分化過程
   
第一のステップは 受精 で,この時点で性染色体の組み合わせが決まります。
哺乳類の場合 XYで雄,XXで雌となります。
 
第二のステップは生殖腺の性分化です。
生殖腺は中間中胚葉と呼ばれる特殊な中胚葉の一部から発生しますが,この領域は「性染色体の組み合わせのいかんに関わらず,基本的には 「精巣へも卵巣へも分化できる能力」 を備えています。
そしてこの未分化の生殖腺が精巣誘導、卵巣誘導ホルモンの作用により、雄では精巣が,雌では卵巣が分化することになります。
 
第三のステップが躯体の分化です。分化した雌雄の生殖腺(精巣・卵巣)からオス躯体誘導ホルモン(テストステロン等)、メス躯体誘導ホルモン(エストロゲン等)が産生されオス型躯体・メス型躯体を形成していきます。
 
 
つまり、オスメス躯体を形成する直接の要因は、躯体誘導ホルモン。
そのホルモンは精巣・卵巣で作られる。
そして精巣・卵巣に未分化の生殖腺が分化する要因となるのが精巣・卵巣誘導ホルモンで、これがオスメスの性を決定します。
 
   
ところで雌雄同体型の場合未分化の生殖腺から精巣も卵巣も同時に作られます。ホヤ、カイメンはこのタイプです。彼らの特徴は移動距離が小さい、ほとんど動かないことにあります。
 
そういった生物の中からヒトデやゴカイといった進化が生まれ雌雄異体生物が登場します。概ね6億年くらい前です。その後5億年くらい前には雌雄躯体分化された魚類が登場します。ホヤと魚類を比べれば明らかですが、圧倒的に運動機能が向上しています。運動機能の向上とは縄張りの拡大=餌場の確保=闘争力に直結します。
闘争力の向上⇒雌雄躯体分化 です。
だとすれば、なにもしなければ精巣も卵巣も同時に作り出してしまう未分化の生殖腺に対し、どちらか片方の機能を  「作るな!」という指令をだす因子 が必要になります。これが 造卵・造精拘禁因子 の登場です。
   
●造卵・造精拘禁因子
造卵・造精拘禁因子は遺伝子の中に組み込まれています。雌雄異体生物(性転換型・温度依存型など)では温度、体格、PH等の影響で拘禁因子に強弱が生じ、2つの生殖腺が精巣か卵巣の一方に統一され、精(卵)巣由来のホルモンが躯体をオス(メス)化させていきます。3.6億年前に登場する両生類までがこの雌雄異体生物です。
その後約3億年前くらいに雌雄固定生物が登場します。両生類から進化した原始哺乳類や鳥類の登場です。
両生類にくらべ体格は大きくなり、闘争機能=摂食機能はさらに向上していき、有胎盤類(母親のお腹の中で子供(胎児)をある程度育てて産むというヒトと同じ繁殖方法をする哺乳類)など様々な生物進化につながっていきます。
雌雄固定生物は、へテロ染色体による変異(闘争機能の向上)・雌雄差別化のメカニズムを取り入れた生物です。
闘争力の向上⇒変異のスピードUP⇒雌雄躯体固定分化 です。
そしてこの変異スピードをUPするため、相同染色体がその相同性を捨て、 修復されにくく変異蓄積度が高いヘテロ染色体 をつくりだします。
     
2n→ n + N に変異したものが 性染色体の起源 であり、そのヘテロ染色体に造卵拘禁因子(=造精解除機能)を重ねることで、オスという性を固定的にしていきます。
こうして蓄積された変異情報はオス躯体誘導ホルモンに伝達され、オス躯体に変異をもたらすことで、闘争力の向上に繋がっていきます。
   
   
精卵分化(雌雄同体)→躯体分化(雌雄異体(性は固定ではない))→躯体分化(雌雄固定)の3段階をへてオスメス分化は完成します。時間でいえば6億年前に躯体分化を獲得して以降一気に多種多様な生物が登場していきます。オスメス分化の歴史は、変異と進化を促進してきた歴史=種間闘争を高めていった歴史であると考えられます。

List    投稿者 chai-nom | 2008-02-13 | Posted in ⑦なんでや劇場レポートNo Comments » 

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