躯体のオスメスってどうやって決まる?~第87回なんでや劇場より~
2月10日の日曜日、なんでや劇場87回「生物史から学ぶ自然の摂理⑦ オスメスって、どうやって決まるの?2 ~変異と安定、どうなっているの?~」が行われました。
今日から4回に渡り、その内容の復習をしておきましょう。
今日は、その中から第1回目として「躯体のオスメスってどうやってきまるの?」から気づきを整理してみたいと思います。
私達人間(哺乳類)は、染色体の中に性染色体があり、それがXXだと女(メス)、XYだと男(オス)となります。しかし、動物界全般を見渡すと、Y染色体のないXO型(バッタやコオロギ他)とか、ZW型(鳥類他)、ZO型(トカゲの一種)に分類されたりします。
またこのブログでも、「魚類の性転換の事例」や「性決定のタイプ(両生類から哺乳類)」で紹介されているように、オスからメスへと性転換したり、卵の孵化時の温度条件によってオスになったりメスになったりする事例も沢山あり、性決定の仕組みも単純ではなく様々です。
しかし、どこかにそれを決定している仕組みがあるはずです。その仕組みをもとに、様々な外圧環境に適応し、性決定システムも多種多様に進化してきたと思われます。では、その普遍的な構造を見ていきましょう。
まず、いつものように、ランキングの応援、よろしくお願いします。
真核単細胞生物から、多細胞生物にいたる段階で、まず、殖産分化を行い生殖細胞と体細胞に分かれ、さらに生殖細胞は、精卵分化したことは、前回構造化されました。参照:オスメス分化の塗り重ね構造
●雌雄同体型の精巣と卵巣の分化
初期の生物は、カイメン等に代表されるように雌雄同体です。同じ体で精子も作り卵子も作ります。
精子を作るDNAと卵子を作るDNAをどちらも持っています。この2つの未分化生殖腺の一方が卵巣へ、一方が精巣へと分化して卵子と精子を出し、他のカイメンの精子・卵子と受精し、同類他者を作り、有性生殖生物として機能しています。
この段階では、まだ躯体分化は行われず、雌雄同体のカイメンから精子と卵子を放出します。
その後動物は、雌雄同体・雌雄異体を繰り返しながら進化していきますが、雌雄異体となっても、現在のクマノミのようにオスメスの固定度は低かったようです。
詳細は、「脊椎動物以前の生物はオス・メス固定度が低い」をご覧ください。
●性転換型・温度依存型の造卵・造精拘禁因子の登場
現在でも、雌雄固定度の低さでの代表格であるクマノミのように、群の中で最も大きなものがメスになる等の外的環境によって躯体分化を行う生物がいます。これらの生物は、外的環境によりオスにもメスにもなれます。
躯体分化して精巣を作りオスとなり、環境により雌雄が逆転して卵巣を作ってメスとなったり・・・一体、この仕組みは、どうなっているのでしょう?
これらの生物は、精巣を作るか?卵巣を作るか?、言い換えると精巣形成のDNAを解除するか?卵巣形成のDNAを解除するか?を、染色体上にある造卵(g)・造精(l)拘禁因子により制御していると考えられます。
g 因子→l及び卵巣形成DNAを拘禁、l因子→g及び精巣形成DNAを拘禁と相互に拘禁する関係。
↓
温度・体格・pH等の影響で拘禁因子に強弱が生じ2つの生殖腺が精巣か卵巣の一方に統一される。
(性転換型や温度依存型もこの仕組みで、オスメスが変わる。)
↓
精(卵)巣由来のホルモンが、躯体をオス(メス)化する。
●まとめ
その躯体がオスになるかメスになるかを決定するのは、
造精機能←造精拘禁因子(l)の解除により発現
造卵機能←造卵拘禁因子(g)の解除により発現
初期の多細胞生物に温度・体格・ph等の環境条件によりオスメスが性転換する種が多いのは、その環境条件により、拘禁因子(造精・造卵)のどちらかが解除されるからだと考えられる。この拘禁因子の解除により、性ホルモンによりその生物の躯体はオス・メスへと変化する。
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