性転換と雌雄同体(魚類の性)
※マングローブ・キリフィッシュ:画像引用元→The RivMar Webpage
今日は、雌雄分化についてです。
『性』(オス・メス)はどのように決定されるのか?
そのとっかかりとして、魚類の性を中心に考えてみたいと思います。
以前このブログでも紹介されましたが、魚類の中には、「性転換」するもの、「雌雄同体」のものがいます。
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哺乳類では性染色体によって性決定されることがわかっていますが、魚類では性染色体(性決定遺伝子)が確認されている種はわずかです。
性決定が遺伝子によるとは限らないとしたら、他にどのような要因(作用)があるのか?
その要素としては温度、pH 、幼魚期の環境条件などがあり、例えば、北大西洋にすむトウゴロウイワシ科では、繁殖期前半の水温が低いときに産まれた卵は雌に、繁殖期後半に水温が高くなってから産まれた卵は雄に性分化する傾向があるそうです。
また、性決定遺伝子が同定されている種においても、その固定度は低いものがあり、例えばマス類は遺伝的に性決定されるが、人工的に性ホルモンで雄化させることができ、養殖に利用されています。
つまり魚類は、性的には未分化あるいは分化の固定度が低い種が多いようです。
それゆえ、魚類の生殖様式・性様式は多様で、純粋な卵生魚から完全な胎生魚、普通の雌雄異体から、幼時雌雄同体、雌性先熟雌雄同体、雄性先熟雌雄同体、同時的雌雄同体、雌性発生を行なう天然のクローン魚、自家受精を行う雌雄同体のクローン魚等があります。
ちなみに、「性転換」「雌雄同体」は以下のタイプに分類されます。
1.異時的雌雄同体(隣接的雌雄同体)
性転換をすることにより、一生の間に両方の性で繁殖できる雌雄同体。
・雄性先熟:雄として成熟し、のちに雌に性転換
コチ科、クロダイ・キチヌ(タイ科)、スズメダイ科クマノミ亜科、ドジョウ科などの9科。
・雌性先熟:雌として成熟し、のちに雄に性転換
べラ科、ブダイ科、キンチャクダイ科、タウナギ科などの約20科。
生まれながらの雄と雌から性転換した雄が存在する種(キュウセン、ホンベラ、シラスキバハゼなど)と一次雄が存在しない種がある。
・双方向性転換:雌雄いずれの方向にも性転換
ダルマハゼ、オキナワベニハゼ(ハゼ科)、ホンソメワケベラ(べラ科)、アカハラヤッコ(キンチャクダイ科)など。
2.同時的雌雄同体
両性生殖腺をもち、雌雄いずれの性でも生殖可能。
深海性のヒメ目、浅海性のハタ科ヒメコダイ亜科などは性役割を交代しながら産卵行動を行う。
マングローブ・キリフィッシュ(リヴィルス・マルモラトス)という魚は「自家受精」できる同時的雌雄同体(!)
不思議ですね~
なんで、こんなことになっているのでしょうか? 🙄
次のエントリーでは、雌雄同体の生態を紹介する予定です。
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