2007-01-19

派手な姿は強者の証拠!?

ここのところ、ホルモン・免疫・副甲状腺等の人類の免疫機能、内分泌系機能、そして脳の分析記事が続きましたが、今回は、再び生物に戻って追求したいと思います。今回のテーマは「雌雄の肉体的特色」です。

一般の生物ではメスはむしろ地味な姿で、発情期の視覚的アピールを性闘争の手段としているオスの方がずっと派手だ。このことからも、真猿そして人類のメスの特殊性が分かる。(1月9日 『「性的存在」へと肉体改造を果たした、真猿のオンナ』s.tanakaさん)

確かに一般生物では、雌は地味な姿をしていることが多いです。中でも孔雀などの鳥類では、雄は非常に派手 であるのに対し、雌は地味。このような違いは、魚類の段階から既に存在しており、例えばグッピーやベタと言った熱帯魚では、雄は凄く派手でカラフルだけど、雌は非常に地味です。
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ベタ(ショーベタ:改良品種)のオス(上)とメス(下)
哺乳類では、ライオンやシカ、セイウチやゾウアザラシ等が雄が非常に派手 で、見た目ですぐに区別が付きます。
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立派なオスシカの角
なぜ雄が派手 なのか?
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その理由は、メスを巡って雄同士が争う闘い=「性闘争本能」に密接に関係があります。
ベタなどの熱帯魚が最も解りやすいですが、これらの魚は性闘争でお互いの「ヒレ」を攻撃し合い、相手の「ヒレ」をボロボロ にするまで闘い続けます。(でも殺しあうまではしない)
つまり、雄の特徴である「ヒレ」が美しい状態を保っている=強い雄の証拠 となる訳です。
哺乳類の鹿やセイウチでも同じで、雄は角や牙をぶつけ合って激しく性闘争を行います。
立派な角や牙は、ベタの「ヒレ」と同じように強い雄の証となります。
また、鳥類は一般的に羽をボロボロにするような性闘争は行いませんが、孔雀に代表されるように、その姿の立派さ を競いあって性闘争を行っています。
ヒレ・角・牙・羽、いずれも同じですが、立派な容姿を保とうとすれば、しっかりと餌を確保する必要があります。
(以前ベタを飼っていましたが、少し餌を与えないだけでヒレが急速にみすぼらしくなりました :-( 。立派な容姿の維持には、それだけ食料確保が重要と言うことですね)
また、派手な容姿と言うのは、それだけ外敵に見つかりやすくなります。
つまり立派な角や牙、あるいはヒレや羽を有していると言うことは、それだけで外敵闘争を生き抜き、しっかり餌を確保できる優れた雄 と言うことになる訳です。
前述のベタなどの熱帯魚や哺乳類の場合は、これに加えて、その強さの証をぶつけ合って、同類闘争=性闘争を行っている訳で、生存圧力(=外敵圧力+食料確保)+同類圧力(=性闘争圧力)と言う過酷な圧力状況の中で、保たれる容姿の立派さ、派手さ と言うのは、まさに「強者の証」となる訳です。
雌は、確実に子孫を残す為、強い雄・優れた雄を交尾相手に選択します。
雄の精子は、卵子を作るのに比べエネルギーが少なくて済み,量も膨大に作れる為、多くの雌と交尾し、子孫を残すことができますが、雌の卵子は多くの栄養を含むため、作るのに多くのエネルギーを必要とし、精子のように沢山作ることはできません。その為、受精のチャンスは極めて限定的になり、その限定されたチャンスの中で、確実に強い子孫(=生き残れる子孫) を残す必要があります。
「強者」の遺伝子は、それだけ強い子孫を残せる可能性が高いので、雌は強い雄・優れた雄を交尾相手に選択する訳です。これを雌の「強者選択本能」と言います。
言うまでもなく、雄の「性闘争本能」はこの雌の「強者選択本能」と一体になって機能します。
雄が性闘争を行い、より強い雄・優れた雄の決着をつける。
雌は強者選択本能により、性闘争に勝利した雄と交尾する。
こうして優れた子孫 が残されていくと言う訳です。
この構造は、真猿・人類に至るまで変わっていません。
1月9日の記事「「性的存在」へと肉体改造を果たした、真猿のオンナ」に書かれているように、真猿時代、雌は性的役割へ収束⇒性機能収束したことで、性器・乳房の発達等の肉体改造(=性的な視覚アピールの強化)を行っていきますが、雄同士の「性闘争本能」が継続されていることに変わりはなく、やはり体格差や毛並みの派手さ等が「強者の証」である構造も変わっていません。(ボス猿は体格が大きく、毛並みも実に立派。マンドリルなどでは、強い雄ほど非常に派手な顔をしている。成長したゴリラ雄では、強い雄ほど「シルバーバック」と呼ばれる見事な銀色の毛並みをもつ)
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見事なシルバーバックを持つオス(画像は新学社様のHPよりいただきました)
逆に言えば、魚類から連綿と続いてきた、「性闘争を巡る雄の容姿の派手さ」と言う構造が霞む程、真猿、そして人類における雌の性機能収束が強く、それによる肉体改造(=性的な視覚アピールの強化)が、強力であると言うことができると思います。

List    投稿者 crz2316 | 2007-01-19 | Posted in ①進化・適応の原理1 Comment » 

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コメント1件

 小澤晋平 | 2011.10.25 0:00

『AO -最後のネアンデルタール人』を上映致します!
ネアンデルタール人をテーマにした日本未公開の映画『AO -最後のネアンデルタール人』を
京都ヒストリカ国際映画祭にて上映することが決定致しました! 是非お越しください!
フランス|2010|84分|ジャパン・プレミア
英題:AO THE LAST NEANDERTHAL
監督:ジャック・マラテール
出演:サイモン・ポール・サットン、アルナ・シールズ
【みどころ&あらすじ】
絶滅してしまったネアンデルタール人の血は、我々ホモ・サピエンスのなかに流れているのか。歴史学上の謎を、ロマンチックなストーリーで読み解く作品。
30万年以上もの昔に地球上を支配していたネアンデルタール人。ところが3万数千年前、彼らは絶滅の危機に晒されていた。群れが襲われ、妻と生まれたばかりの娘をも失い孤立したネアンデルタール人・アオは、生き別れた双子の兄弟に再会すべく北から南への大移動を決意する。旅の途中、アオはホモ・サピエンスの美しい娘・アキに出会う。
詳細はこちらから→ http://www.historica-kyoto.com/

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