2007-01-15

アレルギー発症の原因は、外圧の低下(潔癖症)にあり。

今回は、免疫機能とアレルギーとの関係を調べてみました。
allergy.jpg
http://www.mukokyu.com/allergy/index.htm 画像をお借りしたサイト
生物進化にとって、免疫機能の働きはとても重要な位置を占めています。
免疫機能はどうやって獲得したの?
でも紹介されていますが、
東京都神経科学総合研究所
免疫、その功罪
(以下、引用は全てこのサイトからのものです)
によると、

私たちの体にはおそらく100億種類もの抗原受容体を持ったB細胞が存在することになり、この数でほぼ一生涯に出会うすべての抗原に対応できるものと考えられています。

さらには、個体ごとの持つ抗体に加え、人類集団が多様性を持つ中で獲得、保持されている抗体を掛け合わせると、種としての免疫機能はものすごい適応力を持っている事になります!
しかし、最近はその免疫機能の不全現象が様々なところで見かけられるようになってきても居るのです。
具体的にどのような症例が該当するかというと、
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例えば、最近良く耳にするのが鳥インフルエンザ。

心配になるのは人為的に操作が加えられた動物たちです。特徴的な外観をもつペットたち、卵をたくさん産む鶏、乳をたくさん出す乳牛、走るのがやたらと速い競走馬などなど。彼らは、多様性に乏しいため特定の病原体に対する免疫反応が極端に落ちている可能性があります。昨年暮から今年の初めに養鶏場で鶏インフルエンザが猛威をふるい、数万羽の鶏が死んでしまったのは、飼育環境に問題があったのは主な原因なのでしょうが、ひょっとすると多様性の少なさも関与していたのかもしれません。

つい先日も、宮崎県の養鶏場で鶏が大量死し、鳥インフルエンザと認定、大量処分が確定しています。たった一日で、同じ箇所にいる鶏が1400羽も突然死する、といった異常事態も、人為的な囲い込みによる多様性の喪失から引き起こされた免疫不全と考えると、頷けますね。
また、近年増加の一途を辿っている日本のアレルギー症の増加原因も、実はこの免疫機能に原因がある事が解ってきています。
アレルギーの引き金となるのも、実は抗体 👿 IgE 👿 の仕業なんです。
このIgEは、本来寄生虫などを攻撃する際に積極的 に働いてくれている抗体だそうです。
さらにっ!

病原体はウイルスや結核菌のように細胞の中でしか生きられないもの(細胞内寄生体)と、普通の細菌、かびなどのように細胞の外で生きていけるもの(細胞外寄生体)とに分けられます。細胞内寄生体を攻撃するのはキラーT細胞、細胞外寄生体を攻撃するのはB細胞によってつくられる抗体です。実は、免疫システム全体に指示を出す指揮者ヘルパーT細胞が、その働きによって大きく二種類に分けられることが明らかとなってきました。すなわち、キラーT細胞担当のTh1細胞とB細胞担当のTh2細胞

という2種類のT細胞が役割を分担して機能する事によって、私達の体は守られているのです。
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しかし、このヘルパー細胞の働きのバランスが大きく崩れ始めた事が、アレルギー症増加の直接的な原因ともなっているのです。

一般的に、人口密度が高ければ高いほど、衛生状態が悪ければ悪いほど、体内のヘルパーT細胞のバランスはTh1優位に導かれるとされています。いわゆる発展途上国の多くはこうした環境におかれており、事実そういった国ではアレルギー症状に悩まされる人は先進国ほど多くはありません。今から40年ほど前の日本、ちょうど高度成長期に入る直前のこの国では、衛生環境は良好とは言い難いものでした。都会のごく一部を除くと下水道は完備されていませんでしたし(ということはトイレはくみ取り式)、各家庭に風呂、洗面所が完備されてはいませんでした。自身を省みても、極端に不潔な人間であったとは思いませんが、当時夜寝る前に歯を磨く習慣はありませんでした。店に出回る野菜は特に断るまでもなく有機栽培による野菜、それも人糞を肥料にしたものが多かったためか、小学校時代にはクラスの生徒の半分くらいは、回虫やらギョウ虫を腹の中に飼っており虫下しを飲まされていた時代です。そのころ自分の周囲を見る限り、確かにアレルギー症状を持っている人はまれだったと記憶しています。
 付け加えると、回虫、ギョウ虫などの寄生虫を飼っていると、Th2優位に傾きます。しかし、前に説明しましたように寄生虫駆除の際に主体的に働いてくれるのはIgE抗体であり、IgE抗体産生のためにTh2細胞が優位になることは当然必要な出来事ですから、この場合にはアレルギー発症につながることはまれです。むしろ問題なのは、生物の長い歴史の過程で培われてきた免疫システムにとって急激に攻撃の相手がいなくなった場合です。衛生状態が改善されることは感染症を減らす意味ではいいことなのですが、免疫系にとっては活躍の場を失ってしまい暴走することにつながりかねません。したがって、環境要因は、アレルギーの発症にとって重要な背景であると考えられます。

なるほどですね!
過去、何千年、何万年にも渡って、私達の体を外圧から守ってくれていた免疫細胞が、自然外圧の低下、及び過剰な衛生環境の整備に伴って役割を見失い、体の中で暴走を始めてしまった。快美欠乏優位となり、自然の摂理を逸脱した過剰な人工物質の生産が、人類へのしっぺ返しとして先進国を襲っているのです。そして、環境破壊は既に我々の体内にも進行しているという、恐ろしい現実を受け入れなければなりません。生物進化の仕組み、そして自然の摂理を学び、過去の過ちを正す時期がとっくに来ている、という事ですね。
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List    投稿者 kawait | 2007-01-15 | Posted in ①進化・適応の原理, ④脳と適応, ⑤免疫機能の不思議2 Comments » 

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コメント2件

 匿名 | 2007.02.09 20:28

えっと、そのグラフですけど。。。
単位が「million of years」ですよ。百万年。

 かわい | 2007.02.09 21:56

グラフの読み間違えについては既に指摘がありますが、原人だけが氷河期に適応できなかった、って考えもあまりにも強引ではないですか?氷河期って、一部地域だけが寒冷化した訳ではないですから。
それよりも、私は
「ウィルスや微生物との闘いという逆境~免疫機能の差異が生存と絶滅を分けた」http://www.jinruisi.net/bbs/bbs.php?i=200&c=400&m=128369
こちらの説の方が論理的に整合していると思います。

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