2007-11-06

動物の再生細胞と非再生細胞――闘争と死の必然(1)

現代の生物学では、現存する多細胞動物を、成体を構成する細胞の分裂(再生)能力によって3群に分けているそうです。


●第1群:生体がすべて分裂能力を持った再生系細胞だけからなる動物。
     生物を構成している細胞は、幹細胞によって次々に補われる。
     プラナリア、ヒドラetc.
●第2群:発生の初期には分裂性の細胞があるが、成体になると、生殖細胞
     を除いて、体細胞はすべて分裂能力を失った非分裂性の非再生系
     細胞からなる動物。
     C.エレガンスなどの線虫や昆虫etc.
●第3群:成体になっても、体細胞のなかに分裂能力を有する再生系細胞が
     あり、再生系細胞と非再生系細胞が同居している動物。
     固体発生の過程で、
     ex. [分裂性の再生細胞]   ⇒ [非分裂性の非再生細胞]
       神経芽細胞(神経幹細胞) →  神経細胞 
       筋芽細胞(筋幹細胞)    →  心筋細胞
     のように分化し、高度な機能を維持し続ける。
     ヒトを含めた多くの脊椎動物tec.
*これらの3群は、生物進化の系統発生の順になっている。
★出典:「人はどうして老いるのか」(田沼靖一著/ちくま新書)

併せて、以前の当ブログ記事を参照ください。
↓↓
参照:多細胞生物はなぜ登場したのか?~高度化の戦略(後編)
    細胞分裂の分化史(なんで屋劇場資料より)


一見ヒルのようにも見えるが、よく観察すると、2つの眼をもっており、なかなかキュートな顔立ちだ。実は、眼だけではなく、筋肉や消化管、脳までももつ、れっきとした動物だ。このプラナリアの何がすごいか。それはイモリやミミズを凌駕する高い再生能力だ。例えば、メスのような物で10個の断片に切る。すると死ぬどころか、全ての断片が一週間ほどで完全な個体へと再生し、10匹のプラナリアになるのだ(図1)。
【中略】プラナリアは、通常、ある一定の大きさまで育つと、胴体の中央にある咽頭の少し下でくびれを生じ、2つに切れてやがてそれぞれが個体となる。つまり無性生殖、言い換えればクローン増殖するのだ。さらに驚くべきことは、栄養条件や温度などの環境が悪化すると、自らの体の中に精子と卵子をつくり、受精して新たな遺伝子セットをもった子孫を残すのだ。つまり、無性生殖と有性生殖を使い分け、個体の数を効率的に増やすと同時に、遺伝的多様性も維持することのできる、生命力あふれる生物なのだ。

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図1 プラナリアをメスのような物で切断すると、
    それぞれの断片が一週間ほどで完全な個体に再生する。
出典:「人はプラナリアになれるのか」
*京都大学生物物理学教室・阿形清和教授の「インターカレーションモデル」を紹介する動画なども見れます。

 
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(さらに…)

  投稿者 ayabin | 2007-11-06 | Posted in ①進化・適応の原理1 Comment »