私たちの体に今も生きる単細胞生物の…
みなさん こんにちは
突然ですが、 の生き物、見覚えありますか?
分かった方は、ぽちっ と押してから、続きへGO
中学校の理科の教科書によく載ってましたよね、この生き物。
そう、ミドリムシです 😉
今日はミドリムシの特徴の一つでもある、鞭毛(べんもう)に注目してみたいと思います
実はこの鞭毛、ミドリムシだけのものじゃない
なんと私たちの体の仕組みにも関わってるんです
まず、鞭毛について確認しましょう
一口に鞭毛と言っても、構造的に真核生物鞭毛と真正細菌鞭毛、古細菌鞭毛とに分けられるようです
真核生物鞭毛
・動植物の精子から、クラミドモナスやミドリムシといった藻類や原生生物にまで広く見られる。
・真核生物の鞭毛は、鞭毛それ自体が能動的に屈曲し、運動する能力を持つ。
・断面を観察すると、微小管配置が観察され、その微小管の間にはダイニンというタンパク質分子モーターがある。
・ダイニンがATPを加水分解してエネルギーを取り出し、それによって運動する。
真正細菌鞭毛
・大腸菌をはじめとするバクテリア表面に見られる。
・フラジェリンというタンパク質が重合して伸びた繊維から成る。
・真核生物の鞭毛と異なり、この繊維自体に運動能力はない。
・それぞれの繊維の付け根に回転モーターがあり、イオンの透過によってエネルギーを取り出す。
古細菌鞭毛
・古細菌の表面に見られる。
・表面上は真正細菌の鞭毛にとても似ているが、構造等明らかに違うよう。研究が進んで折らずよく分からない部分が多い。
以上ウィキペディア参照・引用
真核生物と真正細菌の鞭毛は、構造もさることながら運動エネルギーの取り出し方に違いがあるようです。以前このブログでもあったように、両者の大きな違いを産んでいるのはミトコンドリアの有無
ミトコンドリアによって酸素をエネルギー利用に使えるようになり、真核生物のエネルギー効率はそれ以前の生物の約20倍にもなりました
さて、そんな生命起源の初期から運動器官として使われている鞭毛
多細胞生物へと進化してからは、直接的に運動器官として活躍することはほとんどなくなりましたが、実は私たちの体にも関わる、ある役割があったのです
それが…体の左右を決めることでした
心臓は左側に,肝臓や盲腸は右側に,と私たちの体の左右は厳密に定まっています。私たちの体が出来る過程では,まず背腹軸,続いて頭尾軸が決まり,最後に左右が決まるのですが,その機構は全くわかっていませんでした。私たちは最近,この時期の胚(初期の胎児)の腹側表面のノード(原始結節)で左向きの水流が発生していること,そしてこの水流の向きで体の左右が決定されていることを発見しました。
http://www.u-tokyo.ac.jp/public/public01_170513_01_j.htmlより引用
他東京大学HP参照
この水流を作り出しているのが、胚の表面に生えている繊毛(鞭毛)だったのです
注:たくさん生えている鞭毛を繊毛と呼びます。鞭毛と繊毛は構造的には全く同じ
繊毛(鞭毛)の運動に必要なタンパク質が作られないと、体の左右が決まらずに、心臓が右にあったりその延長上で腎臓病を発症したりするようです
単細胞生物の時代から受け継がれてきた運動器官である鞭毛(繊毛)が、私たちの体の発生にも大きく関わっているなんて、とても不思議ですね 🙄
生物は進化積層体リンク、と改めて感じた事例でした
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コメント6件
ロスジェネ | 2010.01.30 0:40
ご無沙汰しております。
中心体のテーマは生命の活動ひいては
進化の本質につながるテーマなので、
すごく期待しています。
私自身は中心体がどこから来たのか、という
ことにも興味があり、わくわくしています。
さんぽ | 2010.01.30 16:44
分かりやすく説明して下さり、ありがとうございます☆
>DNAを含む核を取り除いても中心体は複製を続けました
すごい!!
DNAに頼らず複製できる中心体。
あまりクローズアップされることが少ないですが、生命起源解明のカギを握ってる感じがします!
シリーズ楽しみにしています!
匿名 | 2010.01.31 2:20
中心体が生命の起源だとすると、細菌や古細菌にも中心体は存在するのでしょうか?
私はそのような例は知りません。
(特定の真核生物における)生命活動の統合役という点には同意できないこともないですが、生命の起源に関しては飛躍しすぎではないでしょうか?
くまな | 2010.02.01 16:33
>土竜さん
中心体の自己複製についてはその「周辺物質」に秘密があると思います。でも、それが何なのかは未解明なんです。
面白い事実があれば、このシリーズの中に盛り込みたいと思います。
>ロスジェネさん
>中心体がどこから来たのか
そこを明らかにできればと思っています。どこまで肉薄できるか、ご期待ください。
>さんぽさん
中心体は140年も前に発見されていますが、約60年前にDNAの二重螺旋構造が提唱されてからは皆がこれに魅了されて中心体は隅に追いやられてしまいました。
でも最近は、DNAでは手に負えないがんの研究の延長上で注目され始めているようです。これなどは中心体がより根源的な役割であることを表わしていると思います。
くまな | 2010.02.01 16:36
>(匿名)さん
ご指摘ありがとうございます。言葉足らずでした。
ご指摘の通り、細菌や古細菌には「中心体」という器官はありません。
しかし、同様の機能(染色体の分配)を果たす物質は存在しています。真核生物ではその物質が基盤となって中心体という器官を形成したと考えています。
ですので、細菌や古細菌では器官としては見えませんが、真核生物の中心体と同じ起源をもつ「中心体原基」と言える物質があると考えています。
そのあたりは「その3」で記述する予定です。
土竜 | 2010.01.29 22:44
>中心体は分裂を統合しているだけでなく、自らの複製→分裂を独自に行っています。ある実験によれば、DNAを含む核を取り除いても中心体は複製を続けました。
中心体って自己複製するんですね!!
DNAやRNAは中心体からの指令で動くのは分かるのですが、中心体が複製されるのはどうしてか?がスッキリしませんでした。
正に統合役だからこそですね。
次回の「中心体が生命活動の統合役を担えるのはなんでなのか?」が楽しみです♪