造卵機能の進化過程
ニジマスの外観と解剖図(この画像は多様な生物たち(5)からお借りしました)
前回は卵の進化が紹介されていましたが、卵を進化させる為に体も進化させています。上の図はニジマスの体の構造ですが、生殖巣とあるのが卵巣です。おなじみのたらこや明太子はタラという魚の卵巣です。ご覧の通り水の中に卵を産む魚類は比較的単純な構造で、卵巣は短い輸卵管を通じて肛門(総輩出口)につながっておりすぐに外に出て行きます。
卵の進化にしたがって、造卵機能はどのように進化していくのでしょうか。続きを見る前に応援もお願いします。
両生類になるとかなり進化してきています。輸卵管が長くなり、直部、曲部、子宮で構成されています。輸卵管の長い曲部は、卵を保護するためにゼリー層で覆うように進化したようです。このゼリー層は卵の保護だけでなく、受精も助けているそうです。
この画像は「脊椎動物の陸生化と受精」からお借りしました。
たまごの代表といえば鶏のたまごですが、鳥類は輸卵管の機能をさらに発達させて、輸卵管、子宮を通って産卵される間に、白身がつき殻がついていきます。順番を見ると次のようになります。
卵管の部位名称 長さ(cm) 滞留時間 卵形成における役割
卵 巣 - - 卵母細胞の成長
漏斗部 11 15~25分 卵黄周囲膜の外層形成
筒 部 34 3~3.5時間 卵白構成物質の分泌
狭 部 11 1.25~1.5 時間 卵殻膜の形成
卵殻腺部(子宮) 10 18~22時間 卵殻形成
膣(ちつ) 7 1~3分 粘液(クチクラ)分泌
ニワトリの輸卵管(この画像はウィキペディアの輸卵管の画像を加工しました。)
爬虫類の輸卵管の構造は調べられませんでしたが、爬虫類の中でも比較的原始的なヘビやトカゲは固い炭酸カルシウムの卵殻は持っておらず、柔らかいタンパク質の殻です。固い卵を持っているのは、ワニ、カメ、鳥類と比較的進化した種類になります。柔らかいからを持った爬虫類の卵は黄身だけで白身が無いため、一度胎生になってから二次的に卵生に戻ったのではないかという説もあります。
哺乳類の場合は、子供を育てる子宮が発達し、輸卵管は短くなります。輸卵管は受精が行われる卵管膨大部と子宮に受精卵を運ぶ卵管狭窄部で構成されています。
人の輸卵管(この画像はウィキペディアの輸卵管の画像を加工しました。)
哺乳類は胎生が殆どですが、カモノハシなどの単孔類は卵を産むことで有名です。この卵は爬虫類と同じ形態で、爬虫類の卵と同じ発生の過程を経るそうです。有袋類は子宮で子供を発生させますが、胎盤を持っていないか持っていてもあまり発達していません。胎盤を持っている場合も、有胎盤類のような尿膜性胎盤ではなく卵黄嚢胎盤で、胎盤がない場合は、胎児は子宮の分泌液を卵黄嚢で吸収して発育します。
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