2022-04-29

【番外編】クロロフィルとヘモグロビンの関係①

植物は光合成によって、二酸化炭素を水と光で、ブドウ糖(栄養物)を作り出しますが、その要となっているのが葉緑素(クロロフィル)です。(参考:クロロフィルってなに?

動物にも植物とどうようのエネルギーを創る仕組みはないのでしょうか?
動物の真核細胞も葉緑素の原型のようなものを持っており通常は発現しておらず(封鎖されており)、環境の変化など適応の仕方で発現するとみるべきなのでしょうか。(参考:一次共生はシアノバクテリアだけなのか?

植物のクロロフィルに対して、動物のヘモグロビンに注目してみます。
その前に、クロロフィルの復習を少ししてみます。

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■クロロフィルの生合成
クロロフィルはアミノ酸のグルタミン酸から、およそ15ステップの反応によって生合成されます。ひとつひとつのステップは酵素によって触媒されるので、クロロフィルの生合成にはおよそ15の酵素群が働いています。
クロロフィル生合成経路では、まず、グルタミン酸からアミノレブリン酸を経てピロール化合物のポルホビリノーゲンが合成されます。これが4分子つながって、4つのピロール環により構成されるテトラピロール構造が合成されます。この基本骨格に、マグネシウム(Mg)やフィトール基が付加されてクロロフィルaが作られます。

■クロロフィルサイクル
合成されたクロロフィルaは、クロロフィルサイクルにおいてクロロフィルbに変換され、再びクロロフィルaに変換されます。クロロフィルaとクロロフィルbの割合(a/b比)は、光合成の効率(光化学系のアンテナサイズ)を決める重要な要素で、一般に葉にはクロロフィルaとクロロフィルbが約3対1の割合で含まれています。クロロフィルサイクルはa/b比を決める重要な役割を果たしていると考えられています。
農研機構よりお借りしました。

 

■クロロフィルとヘモグロビンの違いと共通点

ヘモグロビンは、脊椎動物の赤血球に存在する鉄含有色素であり、酸素を肺から体の他の部分に輸送します。したがって、それは呼吸色素と見なされます。

クロロフィルとヘモグロビンは、それぞれ植物と動物の生活に必要な2つの重要な色素です。植物、藻類、シアノバクテリアなどの光合成生物は葉緑素を持ち、脊椎動物の赤血球はヘモグロビンを持っています。それらは異なる生物に存在しますが、それらは類似のピロール環を持っているため、それらの構造はほとんど類似しており、クロロフィルと同様に、ヘモグロビンもC、H、N、Oで構成されています。
しかし、それらは中心イオンによって異なります。クロロフィルにはマグネシウムがあり、ヘモグロビンには鉄があります。

またクロロフィル(葉緑素)は体内に摂取されると、血液中で鉄と結合し、赤血球や筋肉のヘモグロビンなどの色素に変わるとされています。

軟体動物では酸素の運び手として、Cu(銅)やZn(亜鉛)を使っている種もあることから、中心イオンが変わるだけで、重要なのはその分子構造やエネルギー生成システムではないでしょうか。
もう少し追求を重ねてみます。

List    投稿者 m-yoriya | 2022-04-29 | Posted in ①進化・適応の原理No Comments » 

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