2022-04-25

【番外編】優性遺伝・劣性遺伝~なんで劣性の遺伝子をもっているの?~

 

ヨーロッパ人は、眼が青くて、髪が金色。一方で日本人は、眼も髪も黒っぽい。
この2人から生まれた子どもはどんな子が生まれると思いますか?
私はてっきり金髪か黒髪の子どちらかしか生まれないのでは?と思っていました。

しかし、ヨーロッパで生まれた場合は青い眼、金髪になる可能性が高く、日本で生まれた子は眼も髪も黒っぽくなる可能性が高いそうなのです!
生まれた場所によって、発現するものが違うのです!

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メンデルの法則:【優性の法則】によると、
一般的な植物や動物は、遺伝子は両親からそれぞれ与えられ、その場合、必ずどちらか一方の形質が発現するとき、ある表現型について一対を持っています。

この時、両親から同じ遺伝子が与えられた場合、その子はその遺伝子をホモ接合( AA , BB , aa , bb などのように同一の対立遺伝子をもつこと)で持つため、その遺伝形質を発現します。
しかし、両親から異なる遺伝子を与えられた場合には、ヘテロ接合(Aa , Bb などのように同一でない対立遺伝子をもつ)となり異なる遺伝子を持ちます。必ずどちらか一方の形質が発現するとき、その形質を優性形質と呼びます。

つまり、一つの遺伝子座に異なる遺伝子が共存したとき、形質の現れやすい方(優性)と現れにくい方(劣性)がある場合、優性の形質が表れるということ。
優性・劣性はその遺伝子が優れているか劣っているかではなく、発現のしやすさ、つまり現れやすさで決まっています。優性は、次世代でより表現されやすいだけなのです。
(「優性」「劣性」という表現は、優れた遺伝子、劣った遺伝子、といった誤解を招きやすいことから、2017年9月より優性を「顕性」、劣性を「潜性」という表現に変更しているそうです。)

メンデルの優性の法則によると、異なる遺伝子を持ち合わせた時にどちらが発現するかは、すでに決まっていて、変化することはほとんどないということになります。
本当にそうなのでしょうか?

さらに疑問として残るのが、なぜ劣性の遺伝子を持ち続けているのか?ということです。

実現論 前史より、

生きとし生けるものは、全て外圧(外部世界)に対する適応態として存在している。例えば本能も、その様な外圧適応態として形成され、積み重ねられてきたものである。また全ての存在は、本能をはじめ無数の構成要素を持っているが、それら全ては外部世界に適応しようとして先端可能性へと収束する、その可能性への収束によって統合されている。また、外部世界が変化して適応できなくなってくると、新たな可能性(DNA塩基の組み換えの可能性)へと収束し、新たな可能性(例えば、新たな配列)の実現によって進化してゆく。従って、歴史的に形成されてきた存在は(=進化を重ねてきた存在は)、生物集団であれ人間集団であれ、全て始原実現体の上に次々と新実現体が積み重ねられた、進化積層体(or 塗り重ね構造体)である。つまり万物は、それ以前に実現された無数の実現体によって構成されており、それらを状況に応じたその時々の可能性への収束によって統合している、多面的な外圧適応態である。

今現存する生き物たちは、外圧に適応し続け、進化し続けてきた外圧適応態
変わりゆく外圧に適応するために変異を何度も繰り返し、それらを塗り重ねて進化し続けてきました。
その中でも多くの種が外圧に適応できずに絶滅。今生きている生き物たちは進化の結晶の賜物なのです。
今の生物たちも環境が変われば絶滅し、姿形を変えて適応していく生物たちも現れるはず!

ここでひとつ押さえておきたいのは、“環境は常に変化するもの”ということ。
徐々に変化するのであれば優性の法則でも変化に対応できたかもしれません。
しかし環境が急変した時、優性でも適応できない可能性が極めて高くなります。適応できないままでは生きていけません。

つまり顕在(優性)遺伝子だけでなく、塗り重ねてきた(潜在)遺伝子を残しているのは、環境の変化に(特に急変に)“適応するために”持っているのではないでしょうか?

今までの進化を塗り重ねているのであれば、環境の変化にも対応できる過去の進化の中に対応策があるかもしれない。
劣性と思われていた遺伝子を発現させ、少しでも環境=外圧に対応できるように生き延びてきたと思われます。
劣性の遺伝子、つまり進化の塗り重ねを持ち続けていることが、さらなる進化を加速させたのではないでしょうか?

現存する生物たちは外圧適応態。
どんな外圧にも適応していける可能性を広げるために、今までの進化の塗り重ね、劣性の遺伝子を持ち合わせていると考えます。
優性・劣性も環境に応じて、必要に応じて変化していく。これらが生物たちが生き残っていくために必要な戦略だったのです。

今回は以上です。

 

参考:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%84%AA%E6%80%A7

List    投稿者 takayama | 2022-04-25 | Posted in ①進化・適応の原理No Comments » 

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