2021-10-28

哺乳類の知能進化⑦~外敵闘争と同類(性)闘争は何が違う?~

前回までは哺乳類の連携行動を見てきました。
哺乳類は「外圧+同類の状況把握」を高めることで、連携行動を可能にし、脳を発達させてきました。

今回は「知能が発達すると、外敵闘争に比べて、同類同士の(性)闘争は何がどう違ってくるか?」を見ていきます。

〇外敵闘争
哺乳類以前の魚類や両生類までの本能にも、外敵の把握や、食対象の把握の機能が備わっています。
外敵からは「逃げる」すなわち「関わらない」(=遠ざかる)のが鉄則。
従って外敵闘争においては外敵が「どこにいるか」が最大の問題になってきます。

食対象(餌)も同様。まずは食べられるのか、「毒」なのか。毒や未知の生物にはかかわらないのが原則。
外敵や餌対象に対しては、「関わらない」「捕まえるか」と行動パターンが限定されているのです。

外敵闘争や食対象においては、比較的単純で、必要な情報も限られています。

では同類(性)闘争はどうでしょうか?

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〇同類(性)闘争

過去のブログより http://www.seibutsushi.net/blog/2021/10/7377.html

◆性闘争が知能進化を促進
外敵闘争あれば予め勝敗は決まっている。かつ外敵に対しては「逃げる」、食対象であれば「捕まえる」という単純な行動様式(パターン)である。
一方、性闘争となるとそう単純な行動ではない。同類同士では体格差は大差ないので、勝負の行方は、オスは縄張り闘争の場数や判断力で決まる。
つまり、縄張り闘争によって後天的に形成された要因(場数や判断力)が僅差の性闘争の勝敗を決定するのである。

同類(性)闘争は、体格もほとんど変わらないので「僅差の闘い」です。
僅差の闘いであるならば、ただただ肉体を強化したとしてもさほど変わらない。
そのため同類(性)闘争は頭脳戦になっていきます。
外敵闘争の場合は逃げる一択だったのが、同類(性)闘争は、「相手がどう出るかわからない」ので相手の出方をうかがいます。
(例:にらみつける→間合いを詰め、呼吸を図る→顔を近づけて力量を図るなど)

知能が発達した哺乳類の同類(性)闘争は、

①相手の出方を読む、間合いを取る
②過剰な肉弾戦を避ける傾向に変わる

激しい肉弾戦からマーキングによるアピール→威嚇行動、ディスプレイ合戦のような頭脳戦に変化していきます。

そもそもオスの同類(性)闘争は、相手に闘う意思がなければ、始まりません。
寝込みを襲うなどの卑怯な手なんて使いません。
闘いが始まり、相手が降参を示せば闘いは終わります。殺すまで戦うことはしないのです。
その理由は、本番は外敵闘争だから。つまり外敵闘争の前に身体がボロボロになって外敵闘争に敗北することを避けているといえます。

メスの同類(性)闘争はどうでしょうか?
メスの最大の役割は子育てをすること。さらに母系集団をまとめること
メスはオスのような闘争行為はせず、性成熟度合い、つまり子どもを育てることができるのか、集団をまとめることができるのかでメスの序列が決まっているのです。

これらも同類把握力がないと、できないことです。
◎オスもメスも同類(性)闘争での同類把握力が脳を進化を加速させたといえるのではないでしょうか?

今回は以上です^^

List    投稿者 takayama | 2021-10-28 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 

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