2020-08-16

【実現塾】3段階の進化の原理と陸上進出した両生類

前回は『進化の原理、カンブリア大爆発から魚類』までを扱った。今回は、それに次ぐ両生類への進化を扱う。

☆☆☆進化は、駆動物質によってDNA変異が導かれ、獲得形質が遺伝することによって実現される。

中立説と呼ばれる

『進化はDNAの偶然の突然変異によって引き起こされる。』

という理論が、現代主流の進化論の基底にある考え方である。

そして、DNAの偶然の突然変異による進化とは、外圧に関係のないDNAの複製ミスのような現象であり、生物が常時かかる外圧を乗り越えてきた事実に反する。また、このような原理で進化するということは、生物の進化は『運』のみで決まることになる。

実際、DNAの偶然の突然変異は、日常的に起こっているが、そのような無方向の変異では1兆年かかっても進化できない。それ故、大多数の生物が急激な外圧変化で死に絶え、その中でも、偶然の突然変異により進化より、はるかに短期間に外圧に適応する進化を遂げた種だけが生き延びたという、進化のスピードも説明できない。

それでは、DNA変異による進化はどのような原理に基づいているのだろうか?

それは3段階の原理に基づいている。

第1段階・・・小進化

複製ミスなどのDNAの突然変異によるもの。これらの変異のうち外圧適応的なものは極めて少数で、多くは部分的不適応を生み出す。また、修復酵素等の働きで、排除されるものが多い。それを潜り抜けて、外圧適応的な進化遂げたものも少数ながら存在するが、部分的な進化でしかない。その他に、変異DNAとして、発現はしないが将来の変異に備えて蓄積されるものもある。

第2段階・・・中進化

外圧適応的な進化であり方向性が存在する。その代表例が、ラマルクの『用・不用説』である。その特徴は、必要な方向に向かって進化するということ。例えば、魚類のヒレから両生類の足への進化などが挙げられる。

それらは、外圧に適応する方向へ駆動物質がDNA変異を導くことで実現される、大掛かりな進化であり、外圧適応態の証でもある。

ここで、もう一つ重要な点は、獲得形質は遺伝するということである。現在主流の進化論では、獲得形質の遺伝は否定されているが、極めて長い生物史の中の現象を、近代科学の超短時間の現象を捉え、それがすべてであるとしただけで、その他の生命の事実との整合性が全くない。

また、最近の研究では、細胞質遺伝やRNAの遺伝なども含めて、獲得形質が遺伝する現象が発見されている。それは例えば、

『獲得形質が遺伝する構造』

『獲得形質がどのようにして生殖細胞に届くのか? ~RNA干渉の過程で作られたRNA分子により遺伝する!?』

のような現象である。

第3段階・・・大進化

これは、自分の体のなかに別の生物が飛び込んでくることで、起こる極めて大きな進化である。例えば、ミトコンドリアが他の細胞の中に取り込まれて強制し、飛び込まれた細胞のエネルギー供給を担っているなどの事例がある。

このような原理から両生類の進化を見てみよう。

 

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☆☆☆魚類から両生類への進化

☆☆両生類は大きくてのろまだったから、陸に上がらざるを得なかった

両生類の祖先とされるのは、大型の魚類である。より弱い小型の魚類は、敏捷性を発達させ、高い泳力を獲得していったが、大型の魚類であった両生類の祖先は、敏捷性が劣るため、泳力に優れた新しい魚たちに棲みかを奪われたと考えられている。そして、浅瀬へ追いやられていった。Microsoft Word - ②190928両生類と昆虫

大型の魚類は浅瀬を泳ぐことはできないが、大きな体で力強くヒレを動かすことはできる。水底を歩いて進むように、ヒレが足のように進化していったと考えられている。そして、浅瀬から次第に陸の上へと活路を見出していく。

もちろん、いきなり上陸して陸上生活を始めたわけではない。普段は水中で暮らしているが、水位が低くなると水辺を移動し、水中にエサがないときには水辺でエサを探し、敵に襲われたときには安全な陸上へと逃げた。

こうして、陸上という環境を少しずつ利用しながら、次第に水中と陸上を行き来できる両生類へと進化していった。4億年前から現在まで生き残っているハイギョは、エラ呼吸だけではなく肺呼吸もするため、水がない所でも生きてゆくことができる。ハイギョのような魚が両生類へと進化したと考えられる。

 ☆肺呼吸を進化させて陸上進出した両生類

魚類における原始の肺は、肺魚に見ることができる。肺魚はえら呼吸をする魚類だが、肺呼吸も出来る。肺魚は基本的に泥の中にいるが、乾季には水の流れがなく なり、水中の酸素がなくなってしまう。そこで、空気から酸素を吸収する肺呼吸の仕組みを作り出した。

肺の期限は、魚類の呼吸器官である「えら」から漸進的に進化したものではなく、「消化管(腸)から飛び出した袋」のように消化器官の一部を呼吸器官に改造したものである。それは一から新しい機能を創り出すより、既存の機能を改変したほうが簡単だからである。

例えばドジョウは水面から顔を出して空気を吸いこみ、「腸」で酸素を呼吸することができ、そのため水中が酸素不足になっても腸呼吸で生き長らえる。

 

また、肺魚は、泥の中を動くためにヒレに骨を作り、さらにこのヒレを四足へと進化させていった。Microsoft Word - ②190928両生類と昆虫 - コピー

こうして最弱を決定するトーナメント戦に負け続け、もっとも追いやられた魚が上陸を果たし、両生類へ進化し、爬虫類や恐竜、鳥類、哺乳類の祖先となる。

 

☆☆☆常識とされている『進化の原理』の塗り替え

肺魚の登場から両生類が陸上に本格進出するまで、たった5千万年。つまり、5千万年で肺呼吸を強化し、ヒレを足に作り変えることができたことになる。

もし、DNA中立説の主張する通り、DNA変異が無方向かつ偶然の突然変異によるものだとするならば、何兆年かかっても陸上適応できるようにはならない。このスピードは、用・不用論のように、駆動物質によってDNA変異が導かれ、獲得形質が遺伝することによって実現されていることの証明ともいえる。

それに加え、新しい機能を一から新規に作る、ヒレを四肢に改良するように、すでにある機能を改良して進化していくことで、スピードを上げていくという法則性もある。

 ☆☆進化は逆境からしか生まれない?

前回から、魚類・両生類までの進化を見てきた。それらの原理をまとめると以下のようになる。

弱い魚を汽水域へと追いやり広い海を支配したサメの仲間は、現在、古い時代の魚類の特徴を今に残す「生きた化石」とされている。

サメはサメ肌と言われるような固い皮で覆われているだけで鱗がなく、ミネラルを蓄積するような高度な仕組みの骨もない。(サメやエイの仲間は軟骨魚類と呼ばれている。)

無敵のサメは更なる進化を遂げる必要がないので、現在でもその古い型を維持しているのだ。進化しなければダメなわけではない。変化する必要がなければ変化しなくてもいいし、サメもまた現在でも成功している魚類である。

それに対して、汽水域に逃げ込んだ硬骨魚類は、多種多様に進化を遂げ、川や湖、海とあらゆるところへと分布を広げてゆく。現在では、サメやエイを除く魚類は、ほとんどが硬骨魚類である。逆境に追い込まれることが、新たな進化を生みだすことは間違いない。

38億年に及ぶとされる悠久の生命の歴史の中では、実に不思議なことに滅び去っていったのは強者である勝者たちであり、最終的に生き残ったのは常に敗者の方であった。そして、その敗者たちによって、生命の歴史が作られてきたのである。私たちは、その進化の先にある末裔である。言わば敗者の中の敗者なのである。

List    投稿者 sinsin | 2020-08-16 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 

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