2020-07-20

植物の成長戦略(自給自足)

生物史を通して、植物は自然共生や自然循環社会(大気・動植物・土壌・微生物・水)の中心的存在である事が解かります。

前回、微生物を介して、「ヒトの腸と木の根は基本的に同じ構造」と投稿しましたが、 植物は、動物の様に動かず、一定の場所に千年以上、環境の変化に適応しながら成長して行きます。

植物の基本戦略は、「自給自足≒高度な体内栄養リサイクルシステム」の様です。

又『佐野千遥氏によると「体内の有機物質の炭素原子を基に別の炭素原子と酸素原子を創出し二酸化炭素を作る→土中から吸い上げた水と自ら創出した二酸化炭素と光合成を行い、余った酸素を放出」との仮説があります』

>植物は、根の周辺にある限られた栄養素を有効利用するため、一度吸収した栄養素を何度も再利用しながら成長していきます。

>特に、葉の細胞で光合成を行う「葉緑体[3]」には大量の栄養素が投資されるため、植物は時に葉緑体を積極的に取り壊すことでその栄養成分を回収し、より若い組織や次世代となる種子を作るために再利用します。

参考記事を投稿します

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二大分解系が独立に支える植物の成長戦略 リンク

-葉緑体分解をめぐる一つの議論に決着-

理化学研究所(理研)環境資源科学研究センター分子生命制御研究チームの泉正範研究員、萩原伸也チームリーダー、東北大学の日出間純准教授、オックスフォード大学のポール・ジャービス教授、アリゾナ大学のジェシー・ウッドソン准教授らの国際共同研究グループは、主要な細胞内分解システムの「オートファジー[1]」と「ユビキチン・プロテアソーム系[2]」が植物では独立に働き、生体内の新陳代謝を支えていることを発見しました。

本研究成果は、植物が持つ高度な体内栄養リサイクルシステムの一端を解明するものであり、少ない肥料で環境負荷を低減しながらも、十分な収量・品質を維持できる農作物の設計に役立つと期待できます。

オートファジーとユビキチン・プロテアソームは、動植物問わず広範な生物が持つ細胞内成分の分解システムです。

ある時は独立して、ある時は直接情報交換することにより、細胞内の老廃物分解と栄養リサイクルを担うことが多くの生物で報告されています。

今回、国際共同研究グループは、国際的議論の一つとなっていた植物の葉における二大分解系の関係について明確な結論を得るために、モデル植物のシロイヌナズナを用いて遺伝子欠損株や変異株を作出し、成長やストレス耐性を評価しました。

その結果、二大分解系は独立に働くことで植物の栄養代謝を支えており、両者が同時に破綻すると活性酸素が過剰に蓄積し、葉が早期に枯れ、種子形成にまで異常が生じることを明らかにしました。

背景】

植物は、根の周辺にある限られた栄養素を有効利用するため、一度吸収した栄養素を何度も再利用しながら成長していきます。

特に、葉の細胞で光合成を行う「葉緑体[3]」には大量の栄養素が投資されるため、植物は時に葉緑体を積極的に取り壊すことでその栄養成分を回収し、より若い組織や次世代となる種子を作るために再利用します。

このような細胞内成分の分解は、老廃物が蓄積し、過剰に老化が進むことを防ぐためにも重要です。

「オートファジー」は植物に限らず、真核生物における細胞内成分の分解を担う主経路です。

泉正範研究員らはこれまでの研究で、オートファジーが葉緑体の分解を担うことを明らかにしてきました注1-2)

オートファジーのほか、もう一つの主要な細胞内成分の分解系として「ユビキチン・プロテアソーム系」があります。

ユビキチン・プロテアソーム系は「ユビキチン」という小さな目印をつけた成分を選び取って分解する仕組みで、近年、この分解系も葉緑体分解に関わることが明らかにされました注3-4)

これらの二大分解系は、独立して働くこともあれば、ユビキチン化された成分がオートファジーで壊されるというように直接情報交換をして働くこともあります。

しかし、葉緑体の分解においては二つの分解系がどのように作用し合っているのかは不明で、一つの国際的な議論となっていました。

研究手法と成果】

・・・

近年に報告された葉緑体のユビキチン化の仕組み注3-4)がなくとも、オートファジーによる葉緑体分解が正常に進むことが明らかになりました。生化学的なタンパク質解析も同様の結果を示しました。

・・・・・

葉緑体のユビキチン化はオートファジーの活性化に必要ないこと、つまり二つの分解系が独立に働いていることを実験的に証明しました。

以上の成果により、二大分解系が独立して働くことで成長を支える植物の生存戦略の一端が明らかとなりました。

複数の分解系が互いに補い合って働くことで、植物の成長を効果的に支えているものと考えられます。

今後の期待 本研究は、植物科学の議論の一つに結論を出すとともに、植物が複数の分解システムを組み合わせることにより体内での高度な栄養リサイクルを実現させていることを示すものです。

今後、その詳しい仕組みに踏み込んでいく必要がありますが、そのような研究が進展することで、植物の体内栄養リサイクルを人為的に効率化する技術が開発されると考えられます。

そのような技術は、少ない肥料で環境負荷を低減しながらも、十分な収量・品質を維持できる農作物の設計に貢献すると期待できます。

【補足説明】

  • 1.オートファジー植物、動物、酵母など、真核生物に広く保存されるタンパク質などの細胞内成分の分解システム。細胞質の一部や細胞内小器官(オルガネラ)を二重膜小胞で取り囲み、細胞内で高い分解活性を持つ酸性の小器官の液胞(あるいはリソソーム)に運ぶことで、分解・消化する仕組み。タンパク質や脂質をアミノ酸や脂肪酸にまで分解することで、それらを新しいタンパク質の合成や若い器官の形成に再利用できる。オートファジーの仕組みの解明によって、大隅良典博士が2016年のノーベル生理学医学賞を受賞した。
  • 2.ユビキチン・プロテアソーム系真核生物に進化的に保存されるタンパク質の分解システム。ユビキチン活性化酵素E1、ユビキチン結合酵素E2、ユビキチン転移酵素E3が働くことで、標的タンパク質に小さなタンパク質タグであるユビキチンを付加する。あるタイプの鎖状のユビキチン化が起きたタンパク質は、細胞質のタンパク質分解装置であるプロテアソームにより分解される。さまざまなE3が存在し、それらが特異的なユビキチン化標的を持つことで、非常に高精度な選択的タンパク質分解が可能であるとされている。また、特に哺乳類細胞において、ユビキチン化を受けた細胞内小器官がプロテアソームではなく、オートファジーの分解対象となる現象が報告されている。ユビキチン化システムの発見は、2004年のノーベル化学賞の受賞対象となった。
  • 3.葉緑体植物の葉の細胞で光合成を担っている細胞内小器官(オルガネラ)。光を集めるための色素(葉緑素)、二酸化炭素をキャッチするためのタンパク質群を持ち、太陽光エネルギーを利用し、大気中の二酸化炭素を炭水化物に変換する光合成反応を行う。その反応を支えるため、大量の栄養素が投資される。窒素は植物が最も多く必要とする栄養素だが、イネ、コムギ、モデル植物シロイヌナズナといったC3植物群では、葉の全窒素の7割以上が葉緑体に投資される。
List    投稿者 seibutusi | 2020-07-20 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 

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