2018-08-11

グリア細胞の協調が支える脳機能・・・機械論的脳理論を超えて、思考の可能性を探る  

☆☆☆機械論的脳理論を超えて、思考の可能性を探る

脳及び、それとひとつながりになった脊髄内にある中枢神経系は、この100年間ほど、電気信号を伝達する複雑なニューロンネットワークモデルで、理解されてきました。

しかしこの回路は、所詮単線的なつながりしかなく、例えば『行動する、しない』などのデジタル的な判断が主になります。

 

画像はこちらよりお借りしました

 ところが、人間の判断はもっと有機的で、膨大な感覚情報から、照準を合わせて絞り込んでいき、最後に行動につなげていくという、多段階な絞り込みと判断を行動につなげていると考えるほうが現象とも整合します。

その感覚を頼りに、かつて

○『脳は判断する雰囲気を先につくる』・・・脳回路の全体性

○  脳回路の2段階構造

という仮説で、ニューロンネットワークモデルの不整合点を解決しようと試みました。

ところが、近年それを裏付けるような多くの研究成果がでてきて、注目を集めています。

その成果は、

○書籍:『もうひとつの脳 ニューロンを支配する陰の主役「グリア細胞」』

に幅広くまとめられています。この書籍を題材に、脳はどんな機能構造をとっているのか?について、こころの領域まで含めた仮説を、シリーズで『グリア細胞の協調が支える脳機能』として、アップしていきます。  

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☆☆☆グリア細胞の新しい所見

神経組織の細胞の約 85 %程度 はグリア細胞で、残りの15%程度がニューロン細胞という構成になります。グリア細胞は、今まで注目されていなかったため、まだ全部わかっているわけではありませんが、アストロサイト、オリゴデンドロサイト、ミクログリア、その他多くの仲間が発見されています。

グリアが注目されなかった理由は、ニューロンのように電気的な通信をおこなわないため、計測できなかったからです。しかし最近は、生きたグリア細胞同士の分子信号を計測する技術が開発され、一気に研究が進んできました。

その注目すべき所見は、

☆脳神経の発生段階を制御する細胞

グリア細胞は脳の発生段階で、ニューロンより先に脳空間を埋め尽くします。その後、グリア細胞が作り出す架橋を、ニューロンが成長しながら渡っていきます。その際に、グリア細胞はニューロンを成長させる物質を放出して、その成長を支えます。

また、この架橋がなければ、ニューロンは正しく結線できず、機能を果たせなります。 これは、脳神経の正しい繋がりは、グリア細胞が記憶しているのと同義で、ニューロンはただそれに導かれて結線を完了するだけであることを意味します。

また、脳回路の正しいつながりそのものが本能等の記憶であるという意味で、グリア細胞は、世代を超えた過去からの体験記憶(≒本能記憶)を受け継いでいるとも言えます。

☆ニューロン細胞の組み換えで、学習機能を支える

成熟した脳回路でも、学習による部分組み換えが行われます。それはまず、グリア細胞が作り出す架橋を、別のグリア細胞が破壊してニューロン細胞の通る空間を作ります。

次に、そこに新しい架橋を作り出し、神経成長因子を放出してニューロンを誘導することで組み換え(=新しい神経回路の形成)が完了します。

また、大脳皮質内の縦に通るカラム構造の軸索のうち、例えばピアニストの指の運動に関連する部分は、複数の軸索をひとまとめにした、学習の結果としてミエリン鞘という絶縁部分が厚く強化されます。おそらく複数神経の電気的協調と強化を目的にしていると思われます。

☆神経伝達物質等を介して広域に交信

グリア細胞には、ニューロンが使う神経伝達物質のすべてを感知するレセプターを持っています。また、これらの物質を自細胞から放出できます。これらの機能を利用して、脳内のかなり広域に、神経伝達物質等を放出して、グリア細胞同士が交信・協調を行っています。

☆ニューロン間の信号のやり取りをモニターして、適切にニューロンを支援

グリア細胞(主にアストロサイトと、ミエリン鞘を形成するオリゴデンドロサイト)は、軸索の電気信号やシナプスの神経伝達物質の放出をモニターして、活性度を上げるためのエネルギー供給や、シナプス空隙で過剰になった神経伝達物質を回収して次の信号を送りやすい環境に整えるなどの、ニューロンに対する支援を行っています。

☆脳神経を外敵から守る免疫細胞

脳血管からエネルギー物質だけを取り出し、それをニューロンに与えるアストロサイトは、血液脳関門を形成し、感染から神経細胞を守ると同時に、各種サイトカインなども放出し、感染源や、感染細胞を破壊します。このようにグリア細胞は中枢神経系の免疫機能も担っています。

また、アルツハイマー病も含めた脳神経疾患も、その殆どがニューロン自身の障害ではなく、グリア細胞の疾患であることがわかってきました。

それは、免疫機能の過剰な発現が、ニューロンを制御するグリア細胞自体を破壊し、その結果、グリア細胞はニューロンを支援できなることで、ニューロン自体が機能不全を起こすというものです。

☆☆☆多段階にわたる脳の絞り込みと判断の構造仮説

膨大な感覚情報から、照準を合わせて絞り込んでいき、最後に行動につなげていくという、人間の総合的な判断は、アナログ的(≒重みつけも含めた判断)な多段階な絞り込みがなければ成立しません。

これを、上記の新しい所見から類推すると、 感覚刺激を受けることより、視床下部から脳下垂体を経てプラスorマイナス等の判断基調をもつ神経伝達物質(=ホルモン様物質)が、ニューロンネットワークを含む広範囲な脳の領域に放出されます。

その際に、まず、神経伝達物質にグリア細胞同士が反応・協調・各種神経伝達物質の放出などで、グリア細胞が保持している過去の体験記憶の中から、可能性のありそうな回路を絞り込みます。

そして、可能性のなさそうな記憶回路は直ちに、鎮静物質でポテンシャルを落として反応を止め、さらに範囲を狭め、神経伝達物質の濃度を高めながら、回路の絞り込みを何回も繰り返していきます。これは潜在意識の位相で照準を合わせることなのだと思います。

そして、 ある程度絞り込みができた段階(=必要な回路が概ね絞れた段階で)、その中にあるニューロンを活性化させるようにグリア細胞が働きかけます。このあたりから判断内容を顕在意識で捉えられるようになのではないか?と思います。

つまり照準の絞り込みは、脳内の神経伝達物質の濃度によるアナログ的判断で行い、最終判断と行動は、反応スピード上有利な電気信号を使ったニューロンのデジタル的判断というふうに使い分け、多段階にわたる脳の絞り込みと判断を、スピーディーに行動につなげているのではないか?と思います。

これは、脳は進化の過程で、古い脳の上に新しい脳が塗り重ねられ、その際に古い脳自体も新しい脳の影響を受け、組み換え再統合され、過去の外圧適応の歴史を現在も有効に利用しているという、生物本来の構造とも合致します。

また、これらから類推すると、潜在思念も古い脳と新しい脳をつなぐグリア細胞も含めた神経回路上の意識であり、どんな判断も行動も、観念で先に考えているのでなく、半ば無意識の潜在思念が導いているということではないかと思います。

List    投稿者 sinsin | 2018-08-11 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 

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