2018-08-09

ヒトの細胞は細菌とウイルスと表裏一体の関係にある。

近年、生物学上でもマイクロバイオームの研究が進むにつれて、近代西洋哲学(個人と外界は対立するもの)の誤謬(自然界の事実と異なる)が明らかになってきた。

>・・共生細菌、そして共生ウイルスまで含めたマイクロバイオームは、正にヒトと「而二不二」の関係にあるといえる。(ヒトの細胞と共生細菌:http://www.ekoko.jp/blog/files/34ff454c77f1475d582383447d0e4272-6.php

※「而二不二(ににふに)」とは、「而二」と「不二」の二つの言葉がくっついたものです。「而二」とは、一つのものを二つの面から見ることで、「不二」とは、二つの面があっても、その本質は「一」である、ということです。

>・・ヒトゲノムには4000万年前のウイルス遺伝子が組み込まれている https://science.srad.jp/story/10/01/12/0126248/

大阪大学微生物病研究所の朝長啓造准教授率いる研究チームが、ヒトやサルなどのDNAに「ボルナウイルス」の遺伝子が取りこまれていることを発見したそうだ。この遺伝子は、少なくとも4000万年前までに取り込まれたと考えられるとのこと。

今までも生物のDNAにレトロウイルスの遺伝子の一部が取りこまれることがあるというのは知られており、ヒトゲノムではその8%がウイルス由来のものだとされている。しかしレトロウイルス以外のウイルスがゲノムに取りこまれていることが明らかになったのは今回が初めてだそうだ。取り込まれた遺伝子は今もタンパク質を作り続けているという。

 

>・・人類も、単細胞の時代から今日まで外圧適応態として必要であった全てのDNA配列=諸機能or 諸本能は、今も現在形において(しかも最基底部から上部へと段階的に塗り重ねられて)その全てが作動しているのであって、単細胞や動物たちの摂理を人間とは無関係な摂理と見なす様な価値観は、人類の傲慢であり、かつ大きな誤りである(http://www.rui.jp/ruinet.html?i=100&c=1&t=1#02 実現論 前史)

 

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ヒトの細胞と共生細菌

マイクロバイオームという言葉がある。これは人体には自身の細胞の10倍もの数の細菌が存在しており複雑な生態系を構築している姿をマイクロバイオームと呼んでいる。

(中略)

ヒトの細胞の数はひとつの小宇宙とも呼べる程に膨大なものではあるが、更に驚くことは、このヒトの口や鼻の粘膜、胃や腸、皮膚や膣などには、このヒトの細胞数の10倍ともなる約1000兆個の細菌(常在菌)が生息していることである。  マイクロバイオームに含まれる微生物(細菌)はヒトの体(心身)の維持や活動に深く関わっており、善玉菌も悪玉菌も混じっているがそれぞれが単純に善玉、悪玉と決めつけ難い複雑な関係を維持しながら、体と共生菌の複合社会を構成している。

例えば、胃に生息するピロリ菌は、胃酸を制御する働き以外にも食欲に関わるグレリンとレプチンという二つのホルモンを作る働きもしている。グレリンは空腹感を伝え、レプチンは満腹感を体に伝える。このため胃潰瘍や胃ガンの原因ともいわれたピロリ菌を抗生物質で除去した人は体重が増えるといわれている。また、ピロリ菌がなくなると逆流性食道炎を起こしやすくなる弊害も出てくる。

肺炎連鎖球菌は通常人の鼻腔におとなしく住みついているが、身体がインフルエンザウイルスに応答して体温を上げ、ノルアドレナリンなどのストレスホルモンを放出すると遺伝子のパターンが変化して呼吸器細胞に致命的な影響を与える。

このように体内・体表に生息する細菌は、人の健康や病気に間接・直接に心身にわたって複雑に関わっている。

ヒトの遺伝子の数は2万~2万5千といわれるが、マイクロバイオーム全体ではその数が約330万となる。これから見ても共生細菌のヒトの体に対する影響力が甚大であることが想像できよう。

ヒトの細胞と体に生息する細菌は区別できる。ヒトの細胞にはヒトのDNA(遺伝子の構成要素)が内蔵されており共生細菌はヒトとは異なるDNAを持っている。顕微鏡でその共存状態を確認すれば、それぞれの個体も区別・識別できる。

しかし機能的には、ヒトの細胞も共生細菌も極めて密接な関係が実在しており、機能的には完全に区別することは難しく現実的ではない。

例えば、赤血球は体内にありヒトのDNAを持っており間違い無くヒトの細胞であり、機能的にも人体の維持に深く関わっている。この赤血球は微細なピンセットで摘むことができ、個体として独立した細胞でもある。

共生細菌(例えば、ピロリ菌)は機能面でこの赤血球とどう異なるのであろうか?ピロリ菌は胃粘膜の外側に付着しているが赤血球は内側にいる。場所は多少異なれども人体の維持にそれぞれ関係している。ピロリ菌はヒトの一部なのであろうか、それともヒトの外界なのか?

赤血球とピロリ菌をヒト細胞と共生細菌の例として述べたが、個体としては別、人体の維持という機能面では共通、といえよう。これは、ヒトを主体(内界)と環境(外界)の両面からとらえる場合、ピロリ菌は個体として見るならば外界の存在であり、機能から見るならば内界に含まれる存在ということができることになる。

この場合、ヒトの細胞と共生細菌の関係は、而二不二(ににふに)という関係が成り立っているといえる。 実は、細胞膜を持たずDNAと核酸のみからなっている(細菌より更に微小な)ウイルスも共生細菌と同様にヒトに付着し、ヒトの健康・病気に関係している。このウイルスの数は細菌を更に上回るのはまちがいない。

ヒトの体内にある遺伝子の99%はヒトの細胞ではなく共生する微生物のものであるという事実は厳粛に受け止めなければならない。

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List    投稿者 seibutusi | 2018-08-09 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 

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