2016-06-09

DNAの違いではなく、細胞質遺伝による機能発現システムの違いに依存する進化

カンブリア大爆発などの大進化は、DNAの進化(新たしい遺伝子の獲得)によるものであるとする説は、ただのDNA信仰に過ぎず、まったく事実に反する。カンブリアの生物のDNAは、カンブリア大爆発の数億年も前にほぼ完成している。

これと同じような誤解が、チンパンジーと人間の遺伝子は2%しか違わない、この2%が進化の原因であるという考え方である。これは、同じ人間でも、遺伝の際のコピーミスからもっと高い比率で差異が出ることから、たとえ、人間の遺伝子をチンパンジーの遺伝子と同様に書き換えても、人間はチンパンジーにならないという説もある。

それでは何が種を決定しているのか?

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例えば、人間とチンパンジーの違いの主要なものは幼形成熟(ネオテニー)に起因している。これは、チンパンジーの子供の状態のまま人間は成熟することで、人間はサルに比べて性成熟が遅く柔軟な子供時代が長くなることを指す。

これにより、柔軟性にとみ、好奇心に満ちた探索行動が死ぬまで続き、置かれた自然外圧や同類外圧に適応するため、生後も脳機能が進化するという人間特有の適応方法を獲得できた。

この機能は、DNAや遺伝子そのものにあるのではなく、遺伝子に刻まれた機能を発現するタイミングに左右される。ほとんどチンパンジーと変わらない遺伝子をもつ人間では、脳部分の遺伝子を発現させるスイッチがチンパンジーより遅れるという傾向が強いという事実が分かってきている。

そして、その機能発現システムを担っている物質のひとつは、クロマチンといわれるDNAを巻きつける糸巻き状のタンパク質であることも分かっている。

このタンパク質はストレスを受けると、機能発現しやすい状態(糸巻きが緩む)に変化し、子孫に遺伝する。またこれは、精子や卵子の構成要素で、DNA以外の遺伝であることから、獲得形質は遺伝するということになる。

つまり、進化は、DNAの違いではなく、細胞質遺伝による機能発現システムの違いに依存する。これは、全世界のオサムシの遺伝子による系統分類と、形態による分類にまったく相関関係が無いことなどからも裏付けられる。

以下引用
『親の受けたストレスは、DNA配列の変化を伴わずに子供に遺伝』(リンク

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-ストレスが影響する非メンデル遺伝学のメカニズムを世界で初めて発見-

これらが、熱ストレスや浸透圧ストレスでdATF-2がリン酸化されると、ヘテロクロマチンから外れ、その結果、ヘテロクロマチン構造が弛緩し、抑制されていた転写が誘導されること、その状態が子供に遺伝することを突き止めました。

親の世代だけが熱ストレスを受けると、その影響は子供にだけ遺伝し、孫には遺伝しなかった(緑囲み)。しかし、二世代にわたって熱ショックストレスを受けると、その影響は子供だけでなく孫にも伝わることが分かった(黄囲み)。その影響はストレスが無くなった後も、何世代にもわたって遺伝する可能性がある(黄第5世代)。

List    投稿者 seibutusi | 2016-06-09 | Posted in ⑧科学ニュースよりNo Comments » 

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