2014-07-24

微生物との共生を組み込んだ新しい代謝理論・・・自然の摂理に則した生き方を創造するために

 

eiyo-300x203 戦後アメリカから入ってきた現在の栄養学は、食事を通して摂取した栄養を、自分で分解し吸収することを前提に組み立てられています。

そのため、繊維質を多く含むこんにゃくのような日本食は、栄養が少なく否定的に見られていました。

しかし、そんな意味のない食品であれば、とっくに淘汰され伝統食品として残ることはなかったでしょう。

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 現に、最近の研究では、繊維質は人間が直接分解吸収することはできないが、腸内細菌にとっては重要な餌となり、彼らが増殖するために分解した栄養素を、人間が利用するなどの関係がわかってきています。

つまり、腸内細菌にエサを与えて育てることで、人間が生きるために必要な栄養の一部を彼らに生産させたり、腸内の人体に有用な細菌バランスを整えたりという、細菌との共生関係が新しい栄養学の幹として姿を現してきたのです。

また、腸内細菌との共生は、昆虫も含めたほとんどの生物がとっている普遍的適応戦略で、自らの体の中で、細菌が作り出す栄養素を有効に使いながら飢えを乗り越え、過酷な生存競争を生き抜いてきたのです。

それは、人間に限ってみても同じです。人類の長い歴史の中で発見され高度化されてきた発酵食品文化は、腸内細菌等の共生による代謝を、観念の力で体外にまで拡張したものとも考えられるため、これは極めて自然の摂理にかなった伝統文化であるといえるでしょう。

それに対して、近代科学やそれを基にした近代栄養学は、微生物と共生した複雑な人間の代謝過程を無視し、単純化した化学反応理論に無理やり置き換えたものです。だから、これに則った食生活をしても、効果が無いばかりか、むしろ害になっていることは、戦後の日本の食生活と病気の関係を見れば明らかでしょう。

これらの新しい状況認識から、腸内細菌などの微生物との共生を組み込んだ、新しい代謝理論を作り上げることで、自然の摂理に則した生き方を創造する可能性が出てきたことになります。

今回シリーズは、『微生物との共生を組み込んだ新しい代謝理論・・・自然の摂理に則した生き方を創造するために』というテーマで、微生物の適応戦略から、最終的には新しい時代の新しい生き方までを探求していきたいと思います。

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3微生物との共生を組み込んだ新しい代謝理論を考えるために、まずは、微生物はどのように進化してきたのかの起源を探っていきたいと思います。

それは、その起源にこそ、微生物の進化の秘密が隠されていると考えられるからです。

1.始原生命体から進化した細菌という生物

細菌は、地上数千メートルの大気圏から、水深1000メートルを超える高圧力の深海や、その下にある超高温のマグマだまりの近くまで、およそ真核生物が住めない苛酷な環境でも生息しています。

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数千メートルの上空では、休眠状態でほとんど活動をしていませんが、地下深くの無酸素・超高温・超高圧下の環境では、コロニーを作って活動をしています。そして、この過酷といわれる、マグマ溜りの近くの環境も、30数億年ほど前の生命誕生時の地球では、ごく普通の環境でした。

そうであれば、始原生命体から現在まで、変化する地球環境に、そのつど適応してきたのが細菌で、現在でも当時の環境がのこるマグマ溜り近くなどの中には、何十億年も時を越えて、当時の生命体の末裔がひっそり暮らしていると見た方が理にかなっています。

vol1_pic2_lまた、最近の、遺伝子解析による生物分類法によると、始原生命体に一番近い生物は好熱細菌などが含まれる古細菌です。

そして、古細菌から始原生物へさかのぼる幹は、耐熱細菌の幹といわれ、始原生命体は高温高圧の地中深く生まれたという説が有力視されています。

 

 

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2.今も生きている、苛酷な地球環境の変化に適応してきた細菌の末裔たち

彼らは、当時の環境さえ残っていれば何十億年も生存し続けることができます。たとえば、深海の底にある超高圧・超高温・無酸素状態の熱水噴出口には、硫黄をエネルギーに変えて生きている細菌がいます。

これらの細菌は、地球が高温高圧の時代の末裔が、休眠状態も含めて海洋に漂っており、それが硫黄を求めて集まってきたものと考えられてきました。

しかし最近の調査によると、高温環境を好み、メタンを作る細菌と超好熱発酵細菌が地底(マグマ溜り付近)から噴出していることがわかって来ました。かつ、熱水噴出口の奥では、マントルやマグマの揮発成分である、水素と二酸化炭素を使って、メタン(メタンハイドレード)を作っていることもわかってきました

このような事実から、私たちが今まで考えていた以上に細菌の生息範囲は広く、生命誕生時の環境がいまだに残っている、地中深くに別世界が広がっていることもわかってきました。

それは同時に、そのような過酷な環境に適応している多様な細菌が、現在も数多く繁殖していることを意味しており、直接、間接問わず、私たち人類にも影響を及ぼしていることが解かってきたのです。

たとえば、人類の生活に大きな影響を与えてきた石油の起源は、有機説・無機説と両方ありますが、地中深くにすむ微生物が、地熱などを利用して無機物から有機物を作り出している可能性すら出てきたのです。

3.細菌が人類も含めた壮大な生命進化を支えてきたという新しい生命観

すでに今、西洋近代科学は、自然への一面的同化しかできず、作り上げた論理は人間だけに都合のよいものになっており、その理論に沿って行動すると、さまざまな問題が噴出することは明確になっています。あの原発問題はその一例に過ぎません。

その対極にあるのが、細菌が人類も含めた壮大な生命進化を支えてきたという新しい生命観だと思います。たとえば、原発が引き起こした放射線汚染問題と、乳酸菌の力でそれを低減するという方法への対応を見れば、問題は鮮明になります。

すでに実践されている、乳酸菌による放射能汚染の低減は、事実として効果が出ているのも関わらず、その根拠が自分たちには解からない、もしくは解かりたくないという近代科学を信奉する科学者に否定され、日本人にとって大きな損失を招いています。

ここで新しい生命観からすれは、放射線で一杯だった時代に適応した細菌がどこかで生きていたり、その遺伝子が、環境適応を担うプラスミドに蓄積され、現生の細菌に引き継がれていたりすれば、放射線をエネルギーにしたり分解したりする細菌が登場することは容易に想像できます。

たとえば、高島博士の行った乳酸菌による放射線の低減という事実は、いまだ根拠という点では解明されていませんが、その細菌を増殖させる過程で、かなり初期段階から放射線を含む土壌を培養施設の中に入れています。

これは、細菌の持つプラスミドの中の放射線適応部分の遺伝子を発現させ、放射線低減菌を増殖させているか、土壌中に存在する放射線低減性能を持つ菌を選択的に増殖させているかどちらかだと思います。

このように、細菌が人類も含めた壮大な生命進化を支えてきたという生命観からは、さまざまな可能性が見えてきます。これは、もう役立たずの近代科学への信仰はすてて、現実に使える新しい科学を創造していく時代になったのだと思います。

このような視点で、微生物との共生を組み込んだ新しい代謝理論を考えていきたいと思います。

 

List    投稿者 sinsin | 2014-07-24 | Posted in ⑩微生物の世界No Comments » 

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