2014-07-12

腸内細菌が私たちの食を変える?微生物と食性の関係を探る

今回は、「腸内細菌」と「食性」というテーマで記事を投稿したいと思います。近年、微生物の未知なる可能性が注目されはじめました。ある微生物は放射性物質を浄化したり、ある微生物は発電装置になったりと、「万能生物」として様々な応用が期待されています。

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 画像はこちらから借りましたhttp://news.livedoor.com/article/detail/4238249/

 

微生物は、実は私達の身体のあちこちに住み着いています。特に腸内に住む微生物は、腸内細菌と呼ばれ、食べ物の消化に大きく関わり、私達人間の免疫や健康に影響を及ぼしています。

本記事では、人間の「食性」という部分に焦点をあてて、微生物が人の食を変えていく、その可能性についてみなさんに知ってもらいたいと思います。

■まずはじめに。消化における腸内細菌の重要性

私たちが生きていく為には、毎日、食事という形で、様々な栄養や、水分を摂ることが必要です。そして、
●腸で分解・消化・吸収された「栄養分」を、
●「酸素」とともに、「※血液(血流)」にのせて、
●60兆個といわれる、体の隅々までの「細胞」に行きわたらせる
ことで、健康を保ち、命をつないでいます。
※毛細血管の長さは約10万km、地球約2周半分もあります。
私達が口から摂った食べ物などは食道を通って胃に運ばれ、食物を胃液(pH1の強酸性)とよく混ぜ合わせ、流動的なかゆ状にし、次に送られる小腸での本格的な消化、吸収に備えます。胃液にはタンパク質分解酵素は含まれていますが、炭水化物や脂肪を消化する酵素は含まれていません。

胃で栄養分などの吸収が行われていると思っている方も多いと思いますが、胃は食物が消化・吸収される前に腐敗しないよう、胃液に含まれる塩酸で食物を殺菌したり、アルコールを吸収したり、食物を少しずつ小腸に送り出すための一時的な保管場所、などの役割をもっています。胃でかゆ状になった食物は、幽門を通り、十二指腸、小腸へと送られます。

腸内の絵

 

 

 

 

画像はこちらから借りました http://biota.co.jp/bacteria.html

 

小腸は身体の中で最も長い臓器で、ヒダが多い上に内部の表面はイソギンチャクのような絨毛突起におおわれています。この絨毛の表面を加えると、小腸の表面積は約200平方メートル(約60坪)、人間の体表面積の百倍以上にもなります。また、腸全体では、約3000万本もの絨毛があり、1本の絨毛は約5000個の栄養吸収細胞で覆われています。
(約3000万本の絨毛×約5000個の栄養吸収細胞=約1500億個の栄養吸収細胞)※腸全体の栄養吸収細胞の数は、約1500億個になります。

さらに、1個の栄養吸収細胞の先端には直径が0.1ミクロン(10000分の1ミリ)、高さが1ミクロン(1000分の1ミリ)という、微絨毛が約2000本も並んでいるといいます。
(腸全体の栄養吸収細胞の数1500億個 ×約2000本の微絨毛=約300兆本の微絨毛)
⇒腸全体にある微絨毛の数は、約300兆本になります。

人間ひとりの全てを構成する細胞の数が60兆個といいますから、それを超える300兆本が腸内にのみ存在するということが、スゴイ事ということがおわかりいただけるでしょうか。
この腸全体の微絨毛(約300兆本)の一本一本から栄養成分を吸収することが、私たちのからだにとっての本当の吸収といえます。

 炭水化物、たんぱく質、脂肪などの栄養成分は、元々は大きい分子なので、これらの成分がブドウ糖やアミノ酸などの最小単位にまで分解されていなければ、微絨毛から無駄なく吸収することができません。 消化において、今まで分解を行うのは「消化酵素」のみと考えられていましたが、腸内に100兆匹もいる「腸内細菌」が「消化酵素」に協力した形で、栄養分に対する、分解、消化、吸収、そして排泄などの作業すべてに大きく関わっているということが解ってきました。

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栄養成分の分解・消化・吸収と「腸内細菌」 より引用http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=600&t=6&k=0&m=291313

 

 このような消化に関わる腸内細菌には、様々な種類がいます。よく言われるのは善玉菌・悪玉菌・日和見菌といった大きく3つに分けた分類ですが、実際には数百種類の腸内細菌が人の腸には住み着いています。それぞれの腸内細菌は、人が消化できない栄養分を分解したり、ビタミンやタンパク質の合成をしたりと様々な役割を持っています。この種類とバランスが、私達の消化吸収に大きく影響しているのです。

 それでは、その腸内細菌の種類はどのように決まるのでしょうか。

 

腸内細菌を形成する上で重要なのは食事!

食事を変えれば腸内細菌の種類はたった一日で変化する

http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=600&t=6&k=0&m=291313 より引用

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肉体や精神の健康は、腸内細菌と密接な関わりがあり、果てにはわれわれの思考にまで影響を及ぼすことが明らかになっている。以前、「腸内細菌は両親から受け継がれ、生涯変わることはない」という研究結果をお伝えしたが、今回の実験はそれに疑問を投げかける結果となっている。なんと肉食から菜食へ、菜食から肉食へと食事内容を変えるだけで、腸内細菌の種類は大幅に変化した。それも変化は一日という早さで起こることが確認されたのだ。

 
「変化は細菌の種類だけではなく、それらの活動に伴う遺伝子の発現にも変化がみられた。腸内微生物はわれわれの食事内容に大きく反応するのかもしれない。そして以前考えられていたよりもこの反応は短い時間のうちに起こる」と、説明するのは米デューク大学ゲノムサイエンス研究所のローレンス・デーヴィッド。何兆という腸内細菌が人間の体内に住みついており、それらは消化、免疫、体重変化にも大きく関わっていることが明らかになっているが、今回の結果は「人の健康を語るにおいて何を意味するかはまだわからない」そうだ。

実験は、21歳から33歳までの男性の被験者6人と女性の被験者4人を対象に行われた。最初の4日間は普通に食事をしてもらい、次に5日間ずつ完全肉食か完全菜食だけをしてもらい、それぞれ腸内細菌を採取した。肉食の内容は「朝:卵にベーコン、昼:リブやブリスケット、晩:サラミ、生ハム、チーズ、おやつには豚の皮を揚げたもの」、菜食の内容は「朝:グラノラ、シリアル、昼:米に玉ねぎ、トマト、ズッキーニ、にんにく、グリーンピース、レンズ豆などを調理したもの、夜:昼と似たようなメニュー、おやつにはバナナとマンゴー」だった。

肉野菜

 

 

 

 

 画像はこちらから借りました http://www.ohsawa-ap.jp/746

 

結果は、肉食をした場合、22種類の細菌の増殖に拍車をかけ、菜食をした場合は3種類の細菌が増殖した。驚くべきことは、腸内細菌の種類が一日という早さでシフトしたことだ。これが健康にどう影響するのかは定かではないが、肉食では肝臓が脂肪を分解するのに胆汁酸を分泌するので、それに強い細菌が増殖するのは説明がつくという。逆に菜食により増殖した細菌は食物繊維を分解するのに特化したものだと考えられている。

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引用終わり

 

もし腸内細菌の種類を短期間で変えることができるのであれば、例えば人も草食動物のように、植物からたんぱく質やビタミンを分解して吸収でするといったように、腸内細菌によって食性を変えていくことができるのではないでしょうか。

 実際、これまでの生物史において、肉食の動物から草食の動物が進化するということは珍しいことではありませんでしたが、その変化にかかる時間は少なくとも数十~数百万年の月日がかかるとされていました。そこにはDNAの変異が必要だからです。しかしながら、パンダはどうでしょうか。パンダは肉食の(植物を分解する酵素をもっていない)身体でありながらも、笹や竹を食べて生きています。これはDNAの変異によって実現されたものではありません。

一体パンダはどのようにして笹や竹を消化できるようになったのでしょう。2013年に出版された著書の中で夏井睦氏は次のように述べています。

 ■パンダは他者の分解菌を取り込んで笹を消化できるようになった

http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=-3143 より引用
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パンダがもともとは肉食だったことは、腸管の構造からほぼ確実とされている。しかし、何らかの原因で、本来の生息地を追われて高緯度地域に移動し(人類の祖先がパンダ本来の生息地に侵入して、パンダを追い出したという説が有力)、そこでタケやササという新たな食料に適応したとされている。高緯度地域にはエサとなる動物が少ないため、動物以外のものを食物にするしかなかったからだ。
しかし、他の哺乳類同様、パンダはタケ(=セルロース)を分解する酵素を持っていないため、以前から「タケを消化することができないのになぜ、タケだけ食べて生きていけるのか」は長らく謎とされてきた。

パンダ

 

 

 

 

 

画像はこちらから借りました http://karapaia.livedoor.biz/archives/52045273.html

 
その謎が解明されたのはここ数年のことだ。パンダの消化管内から、他の草食動物の腸管内に生息しているのと同じセルロース分解菌が発見され、タケ食で生きていけるメカニズムが解明されたのだ。しかし、本来肉食である動物が、タケのみを食べる生活に簡単に切り替えられるのだろうか。肉食動物の腸管に、肉食動物とは無縁のセルロース分解菌が、そんなに都合よく住み着いてくれるものだろうか。

 
こういうことを考える時、私たちはともすれば「進化とは数万年、数十万年かけて起こるものだ。パンダだって数万年かけてタケのみを食べる生活に適応したのだろう」と考えがちだ。だが、人間に追われて高緯度地域に避難したパンダにとって、今日明日、食物にありつけるかどうかは生死を分ける問題なのだ。何かを食べて栄養をとらなければ、数日後には確実に餓死するしかないのだ。数万年かけてタケ食に適応すればいい、というのは机上の空論で、獲物を見つけられない肉食パンダにとっては、数日以内にタケを食べて栄養を得なければ死が待っているのだ。しかし、肉しか食べていなかったパンダがタケを食べたところで、それを消化も吸収もきず、これまた死を免れることはできない。

 
その地域には、これまでパンダがエサとしてきたような動物は少なく、肉食を続けることは不可能だった。何日間も絶食状態が続いたパンダはそこで、生えているタケやササを口にしたのだろう。もちろん、パンダはセルロースを分解できるわけではなく、タケをいくらたくさん食べても、栄養にはならない。だが、その地に草食動物がいるかぎり、セルロース分解菌は必ず存在する。草食動物の消化管内にいる常在菌(=セルロース分解菌)で、排泄物と一緒に外に出てしまった細菌だ。これらの細菌は当然、タケの表面にも付着していて、パンダはタケとともに、これらの細菌も摂取する。そのうちの大部分の細菌は、胃酸で消化されてしまうだろうが、一部の菌は生きたまま、タケの破片とともにパンダの大腸に運ばれる。

 
そして、肉食獣パンダの大腸に、噛み砕かれたタケとともに到達したセルロース分解菌は、それまでしてきたようにセルロースの分解を始め、短鎖脂肪酸やビタミンを分泌し始める。彼らにとっては、日常が戻ったようなものだ。そしてそれらは、パンダの栄養源となった。新たなすみかでも肉食の習慣を捨てようとしなかったパンダは滅び、タケやササという未知の食物を口にしたもののみが、生き延びることができたと想像される。もちろんタケやササだけ食べているパンダは、タンパク質(アミノ酸)をどこから調達しているのかという疑問が残る。残念ながら、現時点でのパンダに関する研究ではこの謎を解き明かしてくれるものはなく、今後の研究を待ちたいと思う。

 
いずれにしても、肉食パンダが短期間に草食パンダに変身したことは事実である。しかも、その変身は1週間程度の短い日数でなしとげられたはずだ。食を絶たれた肉食パンダが生きられるのはそのくらいが限界だからだ。この変化が現実に起きたのであれば、他の動物に起きても不思議はない。
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引用終わり

 これらのことは、食性が腸内細菌次第で簡単に変えられること示してくれています。

もし実験で示されたように人が腸内細菌の種類を短期間で変えることができるのであれば、例えばパンダのように、肉食であるにもかかわらず、植物を食べて生きていけるような食性の進化が、人にも簡単に起こりえるのではないでしょうか。青汁だけで生きていける腸をもつ人や、食べても食べても太らない腸をもつ人は、もしかしたら人間の食の進化の最先端にいるのかもしれません。

 

List    投稿者 MATUSYO | 2014-07-12 | Posted in ⑩微生物の世界1 Comment » 

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コメント1件

 平山典彦 | 2015.12.26 20:02

一通り、読んで観ましてその通りだし、言い切って戴きたいです。
アメリカの助教授は、研究テーマーと成果が発表出来なければ契約書通りで契約完了です。
地球上にある物質は、地球の産物ですから、マグマに渡すと同化される筈です。
日本の学者先生は、学者谷町でゴッツハンですね。
学者先生の憶測想定から物語始まるものですが、その憶測もできない置家の枕芸者以下です。
飯が食えないと、真剣に仕事はすると思いますが。
無礼千万はお許しください。

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