2013-12-30

「右脳・左脳」 機能分化の真実を探る その1

みなさん、こんにちは :D
2013年もいよいよあと一日ですね。
様々な出来事があった2013年。2014年はどのような年になるのでしょうか。
私としては、今後の未来の行く末を左右する、大きな激動の年となるのではないか・・・と感じています
本ブログでも本年は様々なテーマの追求に取り組み、私自身は「君もシャーマンになれる」シリーズの追求に取り組んできました。
「君もシャーマンになれる」シリーズでは、シャーマンとは何か?から追求を始め、ここ数回は脳回路の分析から、“シャーマン脳”と“幻覚回路”の追求を行っています。
追求の中で見えてきたのは、脳回路の奥深さとそこに秘められた可能性です。
「君もシャーマンになれる」シリーズは協働執筆者の方で今後もシリーズを継続する予定ですが、私の方は“シャーマン脳“の追求から派生して、別の視点から更に深い脳構造の分析をシリーズとして行っていきたいと考えています。

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今回の追求テーマは「右脳・左脳の機能分化」です。
少し前に、あなたは右脳型か?左脳型か?と言った分析が流行したこともあり、右脳・左脳の機能の違いについて、詳しい方もいらっしゃるのではないでしょうか。
右脳型・左脳型の分析・判別テストとしては、下のダンサーのGIF動画(スピニング・ダンサー)が有名です。
Right_spinning_dancer.gif
Silhouette Illusion” by Nobuyuki Kayahara
ダンサーが時計回りに回転して見えれば右脳型、逆に反時計回りに見えるなら左脳型人間と判別されるそうです。この動画は形態の曖昧さを利用して視覚に錯覚をもたらす錯視動画なのですが、人によっては時計回りにしか見えなかったり、反時計回りにしか見えなかったり、方向が逆転して見えたりします。(ちなみに私には時計回りに見えます)
その他、右脳型・左脳型の判別として、指や腕の組み方で判別するものもあります。
一般的に、左脳は分析的・合理的・論理的な脳、右脳は創造的・芸術的・直感的な脳であると言われ、上記のような判別テストで、論理的な左脳型なのか、直感的な右脳型なのかが判別されますが、果たしてそんな単純に右脳型・左脳型と区分されるものなのでしょうか。
020204.gif
右脳・左脳のイメージ
画像はこちらから頂きました
確かに、世の中には非常に直感能力に優れた人もいれば、論理能力に長けた人もいます。
このような特徴的な人を見ていると、確かに右脳型・左脳型と言う区分は成立するようにも思えます。
右脳・左脳にそのような機能分化が存在したとして、では右脳型の人は右脳ばかりが働いており、左脳型の人は左脳ばかりが働いているのでしょうか。
先に答えを言ってしまうと、答えは「NO」です。
サヴァン症候群など極めて特異な事例では、右脳だけが強く働いている事例が存在するのですが、全人類的に見れば極めて特殊な事例であり、通常は右脳と左脳が一体的かつ全体的に機能していると言うのが事実です。
ところが、この右脳と左脳の機能分化を前提とした考えは社会に非常に深く浸透しており、特に教育論やビジネス能力開発などで「右脳信仰」とも言えるような捉われ方をしているように感じます。
・・・現在教育は観念的・論理的教育の中で「左脳中心主義」の教育が行われており、右脳の能力が封じ込められている。このような左脳中心主義教育を脱し、直感能力や創造力に優れた「右脳」の能力を伸ばすことが重要である。天才脳を育てるには「右脳教育」を置いてない・・・。
と言ったような教育論・ビジネス能力開発などを見かけたことが、誰でもあるのではないでしょうか。(ネットで「右脳開発」と言うキーワードでググると、このような内容を展開しているサイトがたくさん出てきます。「右脳開発」を謳った脳トレゲームも有名ですよね。)
生物の脳は、元々一塊の神経節から発生しており、生物史上、所謂「中枢神経」が誕生した段階では、左右分化は見られません。
生物史的視点で見れば、左右分化が始まったのは魚類の段階からであると考えられており、その後は虫類→両生類→ほ乳類→霊長類と進化する中で、“新しい脳“が塗り重ねられるたびに、形状的な左右分化が進んでいきます。
そういう意味で、脳は確かに左右に分化しており、当然、その分化過程には何らかの進化的意味があると考えられるでしょう。
brain.jpgFig_3.jpg
人類の脳と魚類の脳
画像はこちらから頂きました
しかし、右脳・左脳それぞれの認知機能が単独で機能するかと言えばそんなことは無く、また流行の教育論のように右脳(の認知機能)“だけ”を鍛えることなど出来ませんし、そのような偏ったトレーニングは意味がありません。(右脳教育を推し進めた結果、様々な障害が生じているケースさえあります。今後紹介したいと思います)
そこで、本シリーズでは生物史的視点から、脳の左右分化の意味合いを探り、その機能分化の実態について追及していきたいと考えています。
第一回目となる今回記事では、生物の外圧適応戦略から見た右脳・左脳分化について言及した論文を紹介します。

■天敵からの回避は右脳の働き
脊椎動物の進化の初期に、右半球が予想外の刺激を感知しそれに反応するための機能をもつようになったという仮説はどの程度有力なのだろうか?さまざまな動物で捕食者に対する反応を調べた研究から論拠が得られている。魚類、両生類、鳥類、哺乳類はすべて、左視野(脳の右側で処理)に見えた捕食者に対して右視野の天敵より大きな回避反応を示した。また、ワシントン大学のフォックスらはこれらの研究をまとめた総説で、ヒトの警戒システムは右半球にあると結論づけた。警戒システムは、即座の行動が必要となるような予想外の刺激に対して右利きのヒトでも左手(右半球の支配下)の方が右より早く反応したのだ。
■仲間を認識するのも右脳の力
天敵の突然の出現以外に、初期の脊椎動物がすばやく反応しなければならない大切な場面は、同種の仲間との出会いだった。魚類や鳥類では群れの仲間を認識し、すぐに反応する必要があるような社会行動を右半球を支配している。従って顔の認識における右半球の役割は、比較的初期の脊椎動物がもっていた、同種の仲間の外見を認識する能力に由来するに違いない。鳥類にはお互いを認識する能力がある。担っているのは右脳半球だ。
英国ケンブリッジ大学にあるケンドリックは、ヒツジが他のヒツジの顔を記憶をもとに認識できること、また、これには右半球がかかわっていることを明らかにした。
最近になって、ヒトでは、顔を認識する機能が右半球にあることが明らかになった。相手の顔を認識できなくまる「相貌失認」は右半球によることが多い。
■部分か全体か
ヒトの右半球は「場面の全体像」を把握し、その環境の全体的な状況に注意を向けていて、限られた少数の特徴にはあまり注目していない。この能力のため、右半球は空間関係の分析では、かなり優位に立っている。右半球に蓄えられた記憶は、1つ1つの項目がつながったものというより全体的なパターンとして体系化され、想起される傾向がある。対照的に左半球は環境の部分部分に注目する傾向がある。イスラエルのハイファ大学のナボンが考察した実験から全体か部分かというヒトの脳の二分性に関する驚くべき事実が明らかになった。約20個の小さなAが大きなHを形作るように並んだ図を脳損傷患者に見せ、それをまねた図を描いてもらった。左半球が損傷した(右半球が働く)患者は、小さなAの文字をまったく含まない単純なHを書くことが多かった。右半球が損傷している患者は、小さなAの文字を紙全体にばらばらと書いた。これにより、右半球が全体を認識し、一方で左半球は部分に着目する傾向があることがわかった。
(出典:Scientic American 2007年7月、日経サイエンス2009年10月記事より)

上記の論文を整理すると、生物史上の右脳・左脳の機能分化として、以下のような機能分化が見られることが解ります。
 ①魚類から哺乳類に至るまで、右脳が天敵からの回避を行う機能を担う
  (その反対として、左脳はパターン化した日常的な行動を行う機能を担う)
 ②同時に右脳が仲間認識の機能を担う
 ③右脳は全体視を行うに対し、左脳は部分視・中心視を行う。
以上から、まずは「危機逃避=外圧適応戦略」として右脳・左脳分化が発生したことが見えてきました。
次回は、この外圧適応戦略としての右脳・左脳分化により詳しく迫って見ます。
本シリーズでは、最終的には「右脳教育論」に代わる、脳回路から見た本物の能力開発にまで言及できれば・・・と考えていますので、2014年からの本格的スタートにご期待下さい :twisted:

List    投稿者 crz2316 | 2013-12-30 | Posted in ④脳と適応No Comments » 

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