2013-12-01

シリーズ「がんの正体に迫る」その5 ガン諸説紹介② 20億年前に共生した“解糖系”の反乱

前回はガン発生の原因をDNA損傷とDNA変異の2つに分類し、両者のうち最もポピュラーなDNA損傷説をまとめました。今回はDNA変異説です。
変異説は、大きく捉えれば、様々な外圧(主に異物)に対する生体反応という視点です。元々身体には、異物を排除したり、異物の蓄積をリセットしようとする仕組みが備わっています。異物が過剰に蓄積されると処理が追いつかずに(あるいは機能不全に陥り)、破滅的な変異になってしまうという考え方です。この考え方は、学会等では認められていない特殊な説です。
なお、損傷説の場合は、外圧によるDNA損傷=【異変】が長期に亘って蓄積するのに対して、変異説は【異物】が蓄積するという考え方です。
それでは、DNA変異説を紹介します。

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1-「解糖系」による高血糖抑制説
我々の身体を構成する(真核)細胞は元々糖をエネルギー源としていた「解糖系原核生物」に酸素をエネルギー源とするようになった「酸素系ミトコンドリア」が寄生して誕生したものです。以後、それぞれがエネルギー産生器官として、相互の短所を補い長所を活かし合いながら、今も共生しています。
体内環境の「高血糖」が続くと、これを抑制する、すなわち糖を吸収する反応として解糖系細胞(原・原核嫌気性細胞系)がミトコンドリアとの調和を破り、細胞を支配する。それが細胞の癌化=先祖返りの解糖系細胞化と考えられる。
だから、癌になりやすいと言われている環境(癌患者の生活環境)と解糖系細胞が活性化する環境は似ています。たとえば、
 
A)がん細胞は通常細胞の30倍以上のブドウ糖を欲しがる。
  ⇔解糖系細胞は糖を分解してエネルギーを得る。
 
B)癌は低体温による免疫力低下でなりやすくなる。
  ⇔細菌による解糖=発酵の適温は18~26℃。体温より低い温度で活性。
 
C)酸性の環境で癌細胞は活性化する。
  ⇔細菌の代謝(ex.発酵)は低pHで活性化する。
 
D)低酸素でも癌は生きられる。あるいはそのような環境を好む。
  ⇔解糖系は嫌気性由来なので酸素不足で優位となる。
では高血糖の何が悪いのか。糖尿病になるだけではない。
a)血管に糖が付着し、活性酸素と結びついて血管を傷つける。その結果、血管の傷にかさぶた(血栓)ができると、血流を悪化させ、動脈瘤や脳梗塞等の障害を引き起こす。
b)生体反応として悪い血液の行き渡りを抑制、糖による流動性低下もあり、血流が悪くなる。
c)体内環境を酸性に傾かせるため、癌を誘導する。※上記C)に関係
d)高血糖になると免疫力の要である白血球が減少する。
 
参照:
癌の正体を暴露した男オットー・ウォーバーグ、ロスチャイルド家に一蹴され怖気づく その1  
 
 
2-赤血球による解毒説(ex.千島学説など)
 
異物が蓄積すると、赤血球が異物(あるいは異物を蓄積させた体細胞からの信号)を感知する。赤血球は体細胞と融合しながら、変異し、異物(毒)を摂取・蓄積する。この細胞は、異物排除のためのいわば“ゴミ貯め細胞”。通常はマクロファージによって食べられて排泄されるが、過剰になると処理が間に合わず癌組織へと成長してしまう。
 
参照:
赤血球分化説~赤血球は凡ての細胞の母体~
千島学説の原理を読み解く~第一原理 赤血球分化説
赤血球は体のすべての細胞に分化する
赤血球の運命と赤血球貪食細胞
 
 
3-寿命促進説
癌は、自細胞が暴走=異常増殖し、各臓器に転移して機能不全を起こします。その現象は、あたかも寿命を早めようとしているように映ります。異物が過剰に蓄積し、それが生殖への影響にまで及ぼうとする場合、種の適応戦略として、個体の死滅という選択が用意されている。類似の現象として、健康な生体でも、胸腺(T細胞養成器官)は免疫系T細胞により萎縮させられ、これが寿命に大きく関わっている。

List    投稿者 kumana | 2013-12-01 | Posted in ⑤免疫機能の不思議No Comments » 

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