2013-11-07

シリーズ 免疫とアレルギー3~基礎知識(2)出産前後の免疫~

皆さん、こんにちは 😀

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前回は「胎児期の免疫」を扱い、「アレルギーに関する免疫機構の基礎知識」と「胎児期の免疫(胎児の免疫機能の発達と母体からのIgG移行)」をみてきました。

今回は赤ちゃんがどのように免疫機能を獲得していくのかをみてみたいと思います。

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【出生前後の免疫】
赤ちゃんは免疫系の機能が未発達、かつTh2優先、Th1低下の状態で産まれます。生後まもなくから、腸内細菌などの刺激や外部環境の様々な抗原に晒されたり、授乳などを通してTh1が発達をし、Th2が抑制されていき、バランスのとれた免疫機能が発達していきます。
生まれてすぐはTh2免疫系が優位にあるため、どの赤ちゃんもアレルギーになりやすい状態です。

また、ヒトの免疫は出生時から備わっている自然免疫と生後獲得される獲得免疫に分けられます。

自然免疫
ヒトは微生物に対して、初感染の時点から自然免疫として、対抗する力をもっていることがわかっています。しかし、自然免疫系も出生直後は十分な機能は発揮されません。出生時に、好中球のプールの大きさは成人よりも小さい、機能面でも新生児好中球の遊走性(自由に動き回る力)の低下があります。

自然免疫のもう1つの主役である単球の末梢血の数は、出生後24時間がピークで、生後1週目は1300~2200、3週で700、その後、6歳までに450/㎜3と低下していきます。
ウイルス感染防御に働くNK細胞も新生児ではIFN 産生の低下が知られています。

獲得免疫
無菌状態の子宮内では、免疫生産能は獲得していません。出生と同時に抗原・抗体反応を獲得していきます。
胎児期のT細胞は、胎盤由来のもののために、細胞障害性が抑えられているため、細胞性免疫抑制の状態にあることから感染に対して弱点を残している状態にあります。また、新生児T細胞は外来抗原刺激を受けたことがないため、感染症などに迅速に対応できません。
また、新生児のB細胞のIgG交代産生能もきわめて低いことがわかっています。
成熟したIgG 、IgM抗体産生を行うプラズマ細胞は、生後、小腸に出現し、IgAは生後4日に末梢血で出現し、その後プラズマ細胞の成熟は比較的急速で、生後4~6週間で成人のレベルのIgA産生が可能となります。


図.血清免疫ブロブリン値の年齢による変化
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(成人値を100とする相対値)矢田純一より

【呼吸開始に始まる感染防御】
新生児の第一呼吸と同時に、空気中に含まれている微生物なども取り入れることになります。その、防御機能の一つは、鼻が行い、粘膜上皮にとられられ、粘液絨毛機能により排出されます。この粘液絨毛機能は出生前に作られていますが、成人レベルになるには数週間かかります。
肺の免疫防御機能の主役は肺マクロファージなのですが、出生時にはほとんど出現していませんが、在胎30週以上なら生後48時間で現れます。その機能は肺サーファクタントで増産され、遊走能および貪食が強くなります。また、肺胞隔壁および上皮下には常に樹状細胞が存在し、この樹状細胞はマクロファージの100倍という強い抗原提示力があり、防御の最前線で働いています。肺はリンパ球が豊富で、炎症でその数は急速に増大し、肺胞内に出現し、肺炎などになった場合、防御に働きます。
(補足)出生時にバタークリームのような胎脂が皮膚に付着しているが、これは皮膚の保護に役立っています。



前稿
の冒頭で「アレルギー症状を引き起こすメカニズムに関与している主な抗体がIgE」としましたが、上図にはIgEの変化が記載されていませんでした。
IgE抗体とは、微生物に対抗する抗体(IgAやIgGなど)とは違うのでしょうか?
次回はIgE抗体について調べていきたいと思います。

最後までお付き合い頂きありがとうございます。m(_”_)m

List    投稿者 yoriya | 2013-11-07 | Posted in ⑤免疫機能の不思議No Comments » 

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