2013-10-10

シリーズ 超極小『素粒子』の世界29~「色」の秘密vol3.0☆生き物が光るヒミツ~


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皆さんこんにちわ。
色の秘密第3弾(最終回)です。
過去2回にわたって追求した結果、
・私達は物質中の電子が太陽光を吸収し、再放出する際の電磁波を色という形で認識している事。リンク
・その中心機構は電子の励起状態⇔基底状態への移行におけるエネルギー吸収・放出現象である事。
・物質の炎色反応や照明等、発光体も電子のエネルギー吸収⇒再放出で説明できる事
リンクが分かりました。
最終回は、【物質】ではなく【生物】に着目します。
自ら発光する生物は、地球上に4,000~5,000種類もいると言われています。
予想以上に多種の発光生物が存在していますが、どの様な発光生物が存在するのでしょうか、また、そもそもなぜ発光生物が誕生したのでしょうか。この2点に照準を当てて読み解いて行きたいと思います。
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【様々な発光生物】
まずは、発光生物の種類とその目的を整理します。
発光生物①:ホタル
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発光生物と言ってパッと思いつくのがホタルではないでしょうか。
私達が普段目にするのは成虫の発光ですが、実は成虫になって光る蛍は稀で主に光っているのは幼虫です。
幼虫は成虫のように点滅するのではなく、昼間も夜も光り続けています。そして、日がたつにつれて少しずつ強い光りになっていきます。
そして孵化の数日前になると、その光りはさらに強くなり、殻を通して中の幼虫の尾端の2つの発光器を確認することができます。この時期では、何かの刺激を受けると一気に強く発光します。
ホタルが発光する能力を獲得したのは【敵を脅かすため】、【食べるとまずいことを警告するため】【交尾のため】等様々な説が存在しています。
発光生物②:ホタルイカ
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ホタルイカは胴長4cmほどの小形で眼球に円い発光器5個と身体に数百の小発光器を持ち、先端の3個の小さな発光器からは閃光を放ちます。
何かに触れると発光するため、発光目的は【敵を脅かすため】ではないかと考えられています。
また、体表の海底側(腹側)には細かい発光器がありますが目的は【カモフラージュ】です。
腹側が発光する事で海底側にいる敵が海面側にいるホタルイカを見ると、海面からの光に溶け込み姿が見えなくなります。
ホタルイカとは別種類の深海発光イカには墨を噴出する代わりに発光液を噴出する種もいる様です。ちなみに発光タコも存在します。
発光生物③:ウミホタル
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ウミホタルは甲殻類・介形目に属する動物で、2-3cmの二枚貝のような殻で覆われています。
名前の由来となっている青色発光の目的は外敵に対する【威嚇】で、刺激を受けると盛んに発光します。
ウミホタルは負の走光性(光から逃げる性質)を持っているため、発光は【仲間に危険を知らせるサイン】になっていると考えられています。また、雄は【求愛ディスプレイ】としても発光を用いている様です。
発光生物④:チョウチンアンコウ
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深海に棲むチョウチンアンコウは、頭のアンテナの先端にある、連続する発光器と点滅する発光器で小魚を【誘引】し、3つ目の主発光器から発光液を出し光の雲でくらまして【捕食】します。
チョウチンアンコウの発光器官は「イリシウム」と呼ばれますが、イリシウムが光る訳ではなく、そこに発光バクテリアが共生する事によって発光しています。
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発光細菌とは生物発光を行う細菌の事を言います。そのほとんどが海産であり、身近なところでは、魚屋にあるイカの体表面に生息しているのがよく観察されます。
発光細菌には海中を自由に漂っている自由生活型の細菌と、チョウチンアンコウなど一部の発光魚と共生関係を結んでいる細菌の二種類の生活型が存在します。
発光細菌の多くは、グラム陰性桿菌という嫌気性細菌ですが、自由生活型細菌の発光理由は謎に包まれた部分が多い様ですが、共生生活型の細菌ではその理由は明らかです。
宿主である魚類が細菌の発光を制御することにより、【獲物の捕獲】、またはその逆で【逃げる場合のめくらまし、誘導灯】として用いていると考えられています。
以上代表的な発光生物を紹介しましたが、その目的を整理すると
自らする発光する生物は、威嚇やカモフラージュ等、主に【防御】機能を目的としていると考えられます。
一方、チョウチンアンコウ等、自らが光るのではなく、発光細菌と共生して光る生物は捕食等、より【攻撃的】な目的で発光している事が多い様です。
とは言え、【発光本来の目的を明らかにする】という点では不十分。
特に最も原始的である自由生活型発光細菌の発光目的が明らかにされていません。
続いては生物発光の仕組みと発光細菌の特性とから、生物発光の本来の意味を読み解いて行きたいと思います。
【呼吸と似て非なる生物発光】
発光細菌も含め、大半の発光生物は太陽光や電気回路の代わりに、ルシフェリンという発光物質とルシフェラーゼという酵素を使って発光しています。
驚くべき事に発光生物のエネルギー効率は極めて高く、現在の照明技術の効率を大きく上回っています。
以下は生物発光の仕組みです。
①ルシフェリンがルシフェラーゼ+マグネシウムによりATPと結合
②ルシフェラーゼの助けを借りて酸素と結合
③AMP、二酸化炭素を放出する事でオキシルシフェリンとなる
④オキシルシフェリンは不安定物質なので余分なエネルギーを放出する
⑤この時放出されるエネルギーが光として認識される。

ここで注目すべきは
・酸素を取り入れて二酸化炭素を放出している点。
・ATP=エネルギーを使用している点です。
酸素を取り入れて二酸化炭素を放出する等、生物発光は一見すると呼吸と似ていますが、決定的に異なるのが
【呼吸ではATP(エネルギー)が生産される】のに対して、
【発光反応ではATP(エネルギー)を逆に消費している】という点です。
また、もう一点注目すべき点は
発光細菌の多くは【グラム陰性桿菌】である事です。グラム陰性桿菌は嫌気性細菌といい、その名の通り【酸素】を嫌う生物です。
我々は、呼吸といえば当たり前の様に酸素呼吸を思い浮かべますが、酸素は反応性が高く(=エネルギーが大きく)生物にとって扱う事が難しい物質なのです。
原始生物にとっては酸素は毒でしかなく、窒素等それ以外の物質を使用して呼吸を行っていました。
実現論にも

生物史上の大進化はいくつもあるが、中でも生命の誕生に次ぐ様な最も劇的な進化(=極めて稀な可能性の実現)は、光合成(それによって生物界は、窒素生物から酸素生物に劇的に交代した)であり・・・・

とある通り、進化上も嫌気性生物→好気性生物への進化は生物史上最も劇的な変化として位置付けられています。
【生物発光の目的は酸素の無毒化】
・生物発光の大部分が嫌気性細菌であること
・わざわざエネルギーを使って酸素を吸収し二酸化炭素を放出している事

これらを合わせて考えると、発光反応の本来の目的は、威嚇でもカモフラージュでもなく、酸素濃度が増え始めた原始地球において、一部の嫌気性細菌が有害な酸素を除去するために用いられた一種の適応反応であったと考える事が出来ます。
つまり、生物発光とは、
酸素呼吸という適応を実現出来なかった一部の嫌気性細菌が、害となる酸素を無毒化する為に行う反応の過程で生成される、エネルギーの余剰分(=酸素無毒化過程の副産物)
なのです。
以上、「色」についての追求から始まり、最後は発光生物の目的にまで辿りつきました。
追求すれば追及する程新しい事実が見つかり認識が塗り替えられていきますね。
次回からは新しいテーマに臨みたいと想います。よろしくお願いします

List    投稿者 arinco | 2013-10-10 | Posted in ⑬相対性理論・量子力学・素粒子No Comments » 

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