2011-02-11

「続・人類の拡散」 シリーズ 初期ホモ属~ヒトはいつからヒトになったのか?~

homohabilis_L.jpg

ホモ・ハビリスの予想図

 今回は「ホモ」、つまり「ヒト」として分類された最古の化石、「ホモ・ハビリス」を含む初期ホモ属に関する記事です。

逆に言えば、前回取り上げられた「アウストラロピテクス・アファレンシス」は、まだヒトではない、ということになります。

では、どこからがヒトで、どこまではヒトでないのか?

なかなか難しい問題です。「ヒトとは何か?」という問いと同義だからです。広く知られているヒトの基準は以下の三点です。(霊長類であることが前提です)

1.二足歩行をすること
2.道具を使うこと
3.脳容量が大きいこと

前回記事にある「アウストラロピテクス・アファレンシス」は二足歩行をしていましたが、2と3の条件を満たしません。(つい、最近のニュースでは、アファレンシスの足には土踏まずがあったとか。かなり長距離を歩けたようです。)

二足歩行に加えて、道具を使い、脳容量が大きい、というすべての条件を満たし、ヒト=ホモという名前を与えられた最も古い化石が、今回取り上げるホモ・ハビリスをはじめとする初期ホモ属なのです。

(とは言うものの、「どこからヒトか」という問い立てそのものが、西欧的価値観のような気もしますが、そこは追々…)

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ではまず、初期ホモ属の特徴について。

●1.化石が発見された場所

 数多くの人類化石が発見されているアフリカの大地溝帯が、初期ホモ属の主な発見場所で、中でも、オルドヴァイ渓谷やトゥルカナ湖東岸のクービ・フォラが有名です。
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●2.発見された化石の特徴

 最初に発見されたのは、北タンザニアのセレンゲティ平原東部にあるオルドヴァイ渓谷でした。ここでは、200万年近く前の堆積物から粗製の石器が発見されていたのですが、同じ年代の地層から、アウストラロピテクスとは異なる、よりヒトに近い化石が発見されます。彼らこそ石器の製作者であるとされ、道具の製作能力があったという理由で、ホモ・ハビリス(器用なヒト)と命名されました。

その後、北部ケニアのトゥルカナ湖東岸にあるクービ・フォラという場所で、2つの頭骨が発見されましたが、それらが同種のオスメスなのか、別種なのかで大論争。現状では、別種、つまりこの時代のホモには2種類あったのではないか、ということになり、小型のものはホモ・ハビリス、大型のものはホモ・ルドルフェンシスという名が付けられました。それら2つの化石の特徴を記します。

(1) KNM-ER 1470

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【種別】ホモ・ルドルフェンシス
【発見場所】ケニア・トゥルカナ湖東岸のクービ・フォラ
【年代】190万年前
【特徴】脳容量750mlでアウストラロピテクスと比べて明らかに大きく、矢状稜は全く見られない。しかし、ホモ・ハビリスとされた化石より顔は大きく非常に平坦。幅広の歯冠や歯根が複雑でエナメル質の厚い大臼歯と犬歯を持つ。脳容量は大きいが、形はヒトに似ていない。

(2) KNM-ER 1813

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【種別】ホモ・ハビリス
【発見場所】ケニア・トゥルカナ湖東岸のクービ・フォラ
【年代】190万年前
【特徴】顔や歯はヒトに近づいたが、脳容量は500ml程度でアウストラロピテクス類と大差なし。

(3) OH 62

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【種別】ホモ・ハビリス
【発見場所】オルドヴァイ渓谷
【年代】185~175万年前
【特徴】上顎はヒトのプロポーションをしていたが、骨格は小さく、アファレンシスよりも類人猿に似ているため、ホモ・ハビリスをホモと称するかどうかという議論もある。「ルーシーの子」と呼ばれている。

●3.初期ホモ属の存在時期

 200万年前から175万年前。(中央ケニアのバリンゴ湖にあるChemeron層から発見された化石は、240万年前のものという測定結果もりますが、化石が不十分で判定は見送られました。)時代区分で言えば、アウストラロピテクスと同じ鮮新世末期となります。

●4.初期ホモ属の生存環境

 200万年近く前の遺跡からは、石器類に囲まれた大型中型哺乳類の部分的な骨格が発見されています。これらの動物骨には、しばしば解体を示すカットマークや骨髄を取り出すため打ち砕いた痕が残っていました。ホモ・ハビリスが石器を製作、使用していたことについては、概ね事実と認められているようです。

●5.初期ホモ属の骨格的特長

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ホモ・ハビリスとホモ・ルドルフェンシスとでは違いも大きいのですが、アウストラロピテクスと初期ホモ属との違いは以下のようになります。

脳が大きくなったことにより、類人猿で顕著な「眼窩後狭窄」が減衰、また脳頭蓋に比べて顔面が小さくなり、脳頭蓋を構成する骨は厚くなった。

歯は顔の下に引き込まれるようになり、顎骨と歯は類人猿ほど丈夫ではなくなる。エナメル質は厚くなるものの、全体として擦り潰し運動の必要が減った作りになっている。大臼歯は小さく、切歯は大きく、小臼歯は幅が小さくなっている。これらより、徐々に肉食の割合が高まっていることが示唆される。オルドヴァイ渓谷から出土した資料には完全に揃った手の骨が含まれていたが、その作りは道具を作ったり使ったりできるものであった。ただし、全身骨格が発見されたOH 62については、そのプロポーションは足より手の方が長いサル型であった。

今回は、「本当にホモ?」という議論さえ残る初期ホモ属について扱いましたが、次回は正真正銘?のホモ、「ホモ・エレクトス」です。お楽しみに。


今回の記事は、クリス・ストリンガー、ピーター・アンドリュース共著「人類進化大全」、R・ルーウィン著「ここまでわかった人類の起源と進化」を参考にさせていただきました。図版の出典は上記による他、Wikipedia、http://www.windcloak.it/https://www.msu.edu/~heslipst/contents/ANP440/ によっています。

 

List    投稿者 blogger0 | 2011-02-11 | Posted in 5)人類の拡散No Comments » 

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