2010-11-15

雌雄の役割分化5 ~雌雄分化の第三段階=雌雄躯体分化~

雌雄の役割分化シリーズも本日で 回目
前回の記事(精卵分化)を簡単におさらいすると、
精卵分化の本質は、『精子:変異性』と『卵子:安定性』への分化である、ということでした。
今回は更に一段進化した雌雄分化について追求します。
実は、生物は精卵分化したからといって、オス・メスに分かれたわけではないのです
進化の過程で徐々にオス・メスに体=躯体が分かれていったのです。
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まずは、生物がどのように雌雄躯体分化していったのか 進化の変遷について見ていきましょう

1.海面動物:カイメン、カイロウドウケツ など
・カイメンの生殖は無性生殖と有性生殖の両方があります。
無性生殖の方法は体表から芽が成長して繁殖するほか、芽球と呼ばれる芽を体外に放出して繁殖する種もいます。
有性生殖も多様であり、雌雄同体と雌雄異体の双方の種がいます。
多くの種では受精後、幼生になるまでは親の体内で育つ胎生ですが、卵生の種も存在します。
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画像:wikipedia

2.腔腸動物:クラゲ・イソギンチャク・ヒドラ など
・ヒドラは通常体の真ん中やや下あたりから「出芽」して無性生殖をします。しかし、環境条件が悪化すると有性生殖を行うと考えられています。
ex.寒冷地のヒドラは水温が低くなると有性生殖を行い、湖や池が凍りつく前に卵を残します。(逆に温暖地のヒドラは、水温が上がりするぎると有性生殖を行います。)
またヒドラの有性生殖には、雌雄異体・雌雄同体の両方があり、雌雄異体のものでも性転換が容易に起こることが知られているます。
・クラゲは基本的に雌雄異体で、親クラゲ(雌、雄)⇒卵子と精子が受精⇒プラヌラ(幼生)⇒ポリプ⇒子供のクラゲ⇒親クラゲとなります。
多くのクラゲは、卵からプラヌラが生まれると、プラヌラは岩などに定着してポリプというイソギンチャクのようなものになります。ポリプは無性生殖によって増殖するため、これを無性世代、成熟したクラゲを有性世代と言うことがあります。
・サンゴの生殖は、無性生殖と有性生殖があります。有性生殖には、ポリプの中で卵や精子が作られ、それらが外へ放出されて体外で受精するか、ポリプの中で受精して幼生にまで育った後に、ポリプの外に出るという方法があります。それぞれ、配偶子放出型、プラヌラ哺育型と呼ばれています。配偶子とは卵や精子のことです。
 サンゴには1つのポリプで、卵と精子が作られる雌雄同体の種と、雌と雄の群体が別々に分れている、雌雄異体のサンゴがあります。
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画像:wikipedia

■参考投稿:
生殖いろいろ~海綿動物から脊索動物まで~
無性生殖⇔有性生殖を可能にするヒドラの未分化幹細胞
ヒドラの精子・卵子形成
雌雄同体から雌雄異体への分化史

3.棘皮・原索動物:ヒトデ~ナメクジウオ
棘皮動物
ウニやヒトデの仲間。体は五放射相称で、その軸を上下方向に据えたものが多く、そのため進行方向を決めるような前後の体軸は存在しない。
普通は雌雄異体で体外受精。特別な配偶行動は見られず、一定季節の一定の時間に放卵放精が行われる、というのが普通。ただし、他個体の放出が引き金になる例もある。ヒトデ類でペアを組んで生殖を行う例が知られる他、ウミユリ類、クモヒトデ類などで幼生までを雌の体内で保育する例も知られる。

・ヒトデ
雌雄異体で多くは体外受精をおこなう。生殖巣は腕に一対ずつあり、腕の間の位置の盤上周囲に開く。ヤツデヒトデは分裂による無性生殖を行う
こちらのサイトでは、ヒトデの放精や抱卵の写真が見られます。

・ナマコ
ナマコには雄と雌の区別があり、多くの種は体外受精による繁殖を行う。日本周辺でのナマコの産卵期は3月中旬から8月下旬までの間で、この期間に1匹のマナマコが生む卵の数は2,000万個程度と見積もられている。ナマコの生殖口は後頭部にあり、放精・放卵の際には体の前部を大きく持ち上げ、L字型の姿勢をとる。
ナマコの仲間は再生力が強いのですが、何種類かは、無性的に自ら体を切断して分裂増殖することが知られています。
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ナマコの放精
この画像はこちらからお借りしました。

・ウニ
ウニも雌雄異体で体外受精により繁殖します。しかし一部には雌雄同体のものもいるようです。
私たちが、食べているウニの身は、生殖巣と呼ばれる卵とか、精子を作るところです。通常見ただけで、卵巣か精巣かわかりません。味にも大きな違いは無く、卵巣と精巣が混ざったものを食べています。
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この画像はこちらからお借りしました

原索動物
動物分類上の門の1つで,ホヤやナメクジウオに代表される動物群。 脊索とよばれる軸が見られることや,神経が管状であることなどから、脊椎動物にもっと最も近いとされている。尾索類(ホヤ)・頭索類(ナメクジウオ)の2亜門に分類される。

・ホヤ
群体で生活するものと単体で生活するものがある。単体ホヤは有性生殖を行い、群体ホヤは有性生殖、無性生殖の両方を行う。ホヤは一般的に雌雄同体、精子と卵子を同時に海中に放出し、自家受精する種と自家受精しない種がある。
ホヤは幼生の時はおたまじゃくしのような形態をしていますが、岩などに固着して生体となります。固着生活をすることから雌雄同体に先祖がえりしたのかもしれません。
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この画像はこちらからお借りしました

・ナメクジウオ
雌雄異体であり、精子と卵を体外に放出し、体外受精を行う。ある程度大きくなった個体では♂と♀で生殖巣の色が違い、♂は精巣が白くなり、♀では卵巣がやや黄色っぽくなるそうです。詳しくはこちらのサイトをご覧ください。(画像もあります)

4.脊椎動物:魚類~両生類~哺乳類
魚類
・有性生殖が基本だが一部無性生殖(単為生殖)を行う種がある。
・雌雄異体が基本だが一部、雌雄同体の種が存在。
・群れ中の体格差により性転換する種が存在。(タイ・カクレクマノミ・ハゼ・ベラ等)
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・(左)カクレクマノミの性転換の仕組み
・(中)性転換魚オキナワベニハゼ。体長2~3㎝。群れ内の個体の体格差により雄⇔雌の双方向に性転換する。
・(右)アマゾンに棲む雌雄同体のメダカ「リヴルス・マルモラトス」脊椎動物で唯一自家受精が出来る。
リヴルス・マルモラトスの写真

■参考投稿
魚類の性転換の事例 
魚類の性転換の目的について
  

両生類
・有性生殖が基本。雌雄異体。
・性決定要因は不明点が多い。遺伝子決定が基本だが(ZW型、XY型それぞれが存在する)一部温度依存傾向あり。

は虫類
・有性生殖が基本。雌雄異体。
・ワニ・カメは孵化時の温度で雌雄が決定。
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・(左)温度依存型性決定のカミツキガメ。孵化時の温度28度前後でオス化し、低温または高温でメス化する。
・(右の表) → 雄と雌が決まる仕組み  

哺乳類、鳥類
・有性生殖のみ。雌雄異体。
・性決定要因は遺伝子決定型

■参考投稿
脊椎動物以前の生物はオス・メス固定度が低い  
動物は生殖能を限定する方向で進化してきた  
性決定のタイプ(両生類から哺乳類) 

4.まとめ
以上より雌雄躯体分化の変遷を押さえていくと、以下のことが言えます。
①生物は生殖能力の限定・特化の流れに進化した
生物の生殖様式は、無性生殖から有性生殖とへと進化し、魚類の段階でほぼ無性生殖を放棄した。
進化すればするほど、生物は雌雄の差異を促進する流れに進化した。
   海面動物の段階では、雌雄同体が基本。
   腔腸・棘皮・原索動物の段階では、雌雄同体と雌雄異体が併存。
   魚類の段階では、ほぼ雌雄異体のみとなり、哺乳類の段階になると
      遺伝情報でオス・メスを決定
つまり、種の保存に係る生殖過程を有性生殖(=生殖細胞の合体→減数分裂システム)に限定させてきました。そうして、最も負担の大きい生殖過程を分離することによってはじめて、体細胞系列を高度に機能分化させていくことが可能になったとも言える

②種間闘争圧力の高まりが雌雄分化を促進させた
雌雄分化が進んでいけばいくほど、摂取機能の高度化が進み、その結果闘争圧力の上昇が起きました。これによって、更なる運動能力・防衛能力(体細胞系統)の高度化が要請され、同時に生殖器官の緻密さが求められます。このような外圧に適応するためには、オス・メスに躯体を分化していくことが適応的だったのです(特に脊椎動物以降に顕著)。
この結果、雌雄躯体分化が進むにつれて、メスの生殖負担が増大すると共に、オスは闘争負担が増大する方向に進化していきました。
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画像の確認

改めて、オス・メス分化史(殖産分化⇒精卵分化⇒雌雄躯体分化)を通してオス・メスの本質を整理してみると、

オスとは、変異性の上に闘争能力(役割)が塗り重ねられた存在
メスとは、安定性の上に生殖能力(役割)が塗り重ねられた存在


といえます。

冒頭で挙げた精卵分化の役割に、躯体分化段階における新たな役割が塗り重ねられました
生物は塗り重ね構造体であり、進化過程を押さえていくことで、その本質が良く理解できますね。
次回はオス・メスを生み出す遺伝システムについて追求していきます。
お楽しみに

List    投稿者 andy | 2010-11-15 | Posted in ③雌雄の役割分化1 Comment » 

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コメント1件

 kshr | 2016.01.21 16:31

お伺いしたいですが、カイメンの体の構造のイラストの出典、または参考文献を教えて頂きたいです。
よろしくお願いいたします。

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