脳の進化と活用、その可能性を探る ~脳進化の飛躍は両生類→哺乳類→サル→人類~
前回の投稿では、脳の進化は体重に対する脳の重さ(≒大きさ)で測ろうと提起しました。今回は、そこから生物進化上の脳進化の様相に迫ります。
脳は哺乳類→サル→人類と飛躍的に進化した
ヒトへと続く進化史上、脳が明確に現れるのは魚類です。その後の脳進化(脳の拡大)はいつ起こっているのでしょうか。かつて脊椎動物198種について脳の重量と体重について調べられました。
脳の大きさは、体の大きな動物では大きくなるので、体重に対する比率として見る必要があります。脳の重量を縦軸に、体重を横軸にとると、概ね下図のような右肩上がりのグラフとなります。細かく見ていくと、魚類、両生類、爬虫類、哺乳類ごとのまとまりがみられます。
上記のプロット図を類ごとのまとまりとして表わしたのが下図です。なかでも哺乳類と鳥類は他の動物に比べ高い値を示しています。哺乳類の中でも霊長類、さらにヒトは高い値を示しています。
(細川博昭著「鳥の脳力を探る」より)
以上に見られる傾向がスネル(ドイツの医学者)によってh=p×k^2/3と表わされました。脳の重さは体重の2/3乗に比例し右肩上がりの直線となり、類によって傾き(係数)が異なるということです。その式を同じ体重で比較したものが下のグラフです。
画像を拡大して見る
(Newton「脳のしくみ」より)
このグラフからわかるのは、脳進化は魚類から両生類まではほとんど見られず、脳が顕著に進化したのはヒキガエル(両生類)→哺乳類→サル(とくにチンパンジー)→人類との間だということがわかります。
人類においてはホモ・ハビリスからホモ・エレクトゥスの間に大きな変化が見られます。両者は原人に分類されているが、ホモ・ハビリスは猿人と原人の要素を持っており、長い手や骨格の構造からより猿人に近いと考えられます。
次回は、哺乳類について見てみます。
つづき⇒脳の進化と活用、その可能性を探る~恒温化が哺乳類脳の進化をもたらした~
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.seibutsushi.net/blog/2010/11/1051.html/trackback