2010-09-02

原猿から真猿へ12 ~縄張り闘争と同類闘争~

前回は類人猿の特徴を見てきました。猿は実に多様で複雑化した集団をつくり生活していることがわかりました。
今回の記事では、猿がどのように集団を維持しているのか?他の一般動物との違いは何か?について追求していきます。
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写真はコチラからお借りしました。

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るいネット「縄張り闘争と同類闘争」より引用。
■猿は性闘争と縄張り闘争が分断している

本能レベルでは、性闘争と縄張り闘争は連動して現れます。ところが真猿集団の内部では、(他の群れとの同類闘争の圧力が強い場合)オス間の性闘争は首雄を頂点とする序列闘争という形に様式化(規範化)され、あるいは序列規範(ex.下位の者は上位の者にあいさつする)によって抑止されてゆきます。
何れにしても、性闘争は(離れ猿が首雄に挑戦してくる場合を除いて)集団内部に封鎖され、他方、縄張り闘争は専ら集団間の闘争として現れ(集団内部からは姿を消し)ます。つまり、性闘争は専ら集団内部で、縄張り闘争は専ら集団間で発現します。


本来、本能である性闘争が発現すると、集団内で縄張り闘争が激化します。性闘争は、殺すまで闘ったのでは、種が絶滅してしまうので、生物は敗れた方が勝った者に従う『敗従本能』を付帯しています。一般動物は、この力の序列によって秩序化されています。
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猿社会も序列によって集団が秩序化されていますが、一般動物と異なるのは、本能にもとづいた力=腕力のみで決まっているわけではない、という点です。つまり、猿は(本来は一体のものである)性闘争と縄張り闘争を別々に作動していると考えられます。

■本能ではなく共認機能が縄張り闘争を生起させている

本能レベルではひとつながりの性闘争と縄張り闘争が、どうしてその様に分断されて現れ得るのでしょうか?それは、真猿の縄張り闘争が、本能ではなく闘争共認に基づいているからです。(この共認回路を、ひとつながりの性闘争本能と縄張り闘争本能の回路の内、目的とする縄張り闘争の回路に接続させれば、縄張り闘争の本能部分だけが生起します。)


猿は基本的に、一から十まで全ての猿に序列がつけられており、力の原理に則って集団が統合されています。しかし、必ずしも腕力に優れた者がボスになるわけではありません。メスやこどもにもやさしい猿がボスとなり、安定した地位を築きます。
ニホンザルと同種のチベットモンキーは、序列下位のオスが子供ザルを抱えて、序列上位のサルに近寄り、子供を差し出し2匹であやすという「ブリッジング」と呼ばれる親和行為を見せます。これは狭く豊かではない地域に住まざるを得ない状況下でオスザル同士が友好関係を気付くために、生み出した行為といわれています。
また、このサルたちは群れをなして遊んでいる時には、「見張り役のサル」が高い木のてっぺんにしゃがみ、偵察や警報、情報伝達の役割を担っているそうです。異常に気付くと、キーキーと鳴き声を上げ、みんなに知らせるのです。
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ブリッジングの様子
写真はコチラからお借りしました。
つまり、猿は性闘争も縄張り闘争も本能まかせではなく、集団内の共認によって作動させていることがわかります。

つまり、真猿の縄張り闘争は本能を下敷きとしつつも、それを共認機能によって作動させています。私が真猿の縄張り闘争を、本能に支配された一般の動物と区別して(本能にはない)同類闘争という新しい言葉で表現した理由が、そこにあります。(なお上記の通り、性闘争本能も同様に、規範共認etcの共認機能によって制御されています。)


真猿以降獲得した共認回路によって、性闘争に立脚せずに縄張り闘争本能を生起させるという点が、猿(さらには人類)の闘争形態の最大の特徴といえます。

縄張り争いは集団を維持していく上で欠かせませんが、猿と一般動物ではその発生の仕組みが異なっているのです。
猿社会を分析していく上で、非常に重要な視点ですね
次回も、猿社会をみていく上での重要な視点を紹介します。
お楽しみに

List    投稿者 andy | 2010-09-02 | Posted in 3)地上へ進出した哺乳類(原猿から真猿へ)No Comments » 

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