2010-08-15

原猿から真猿へ9 ~新世界ザルの進化と特徴~

前回の記事では、真猿の起源とその進化の歴史について追求していきました

今回からは、真猿の祖先であるオモミス類から現存する真猿までどのように進化し、分化してきたのかを追及していきます
その中でも本記事では、新世界ザル(広鼻猿下目)の進化と特徴について見ていきます :roll:

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(画像は「サルの百科 杉山 幸丸ほか著 データハウス (1996/06)」よりお借りしました)

その前に復習として、これまでの記事も併せて覗いてくださいね
【過去シリーズ記事】
原猿から真猿へ1 ~原猿って何?~ 
原猿から真猿へ2 ~猿の拡散と進化過程~
原猿から真猿へ3 ~真猿への進化を、現存する原猿の特徴から探る~
原猿から真猿へ4 ~原猿が陥った「本能不全」~
原猿から真猿へ5 ~共感回路の獲得~
原猿から真猿へ6 ~闘争集団の形成~
原猿から真猿へ7 ~サルの共認統合~

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新世界ザル(広鼻猿下目)の特徴
新世界ザルとは、主に生息している地域(中南米)の名前から呼ばれるようになりました。なぜ、アフリカで進化した真猿類が中南米に生息しているかは、いくつかの仮説が存在し、まだ未解明です。
アフリカ大陸での同類闘争に負けた負けザルのうち小型の種が、流木に乗って大西洋を渡ったという節が現在では有力なようです。
他には、北米で絶滅したと考えられている真猿の祖先がそのまま南米へ移住したという説等があります。
では、このように過去の経緯に、まだまだなぞの多い新世界ザルですが、どのような特徴を有しているのかを現段階で解明されている範囲で紹介していきます。

生態、食性等の特徴
・旧世界ザル(狭鼻猿類)に比べて樹上性が強く、地上生活に適応した種は稀。
・表情や姿勢、あるいは性的な場面や攻撃的な場面で見られる視覚的ディスプレイには紋切り型のものが多い。
・マーモセット科の猿は真猿類の中でも最も小さな種。(一番大きいライオンタマリンで700g)
・霊長類には珍しく、1産2仔の種がほとんど。
・主な食物は果実。樹脂や樹液も食す。
・遊動域は他の真猿類に比べて小さく、10ha程。
・群れの遊動域は数10ha~数100haが多い。

メスの性機能、生殖収束
・オスメス間の性差は小さい。群れ内に2頭以上の成熟メスがいても繁殖できるのは1頭だけであることが多い。
・父親や兄姉が育児に参加することがよく見られる。

集団形成
・縄張りを形成し、群れ同士が出会うと特有の声を出したり、ディスプレイを行う。
・リスザル・クモザル・オマキザル・タマリンは他の種と混郡と呼ばれる一時的な集団を作り、捕食者の発見効率や採食効率を高めるといった行動が見られる。
・多くの種が一夫一婦制の繁殖システムを持つ。
・小型のオマキザル類・ティティは一夫一婦制の小さな群れ(オスメスペアとその子供)を形成。大型化すると少し個体数の多い群れを作る。
・集団の基本型は母系・父系集団両方がある。

群れ内のコミュニケーション、集団統合
・一般に音声コミュニケーションや嗅覚コミュニケーションが発達。大型の種の多くは森林内でもよく聞こえる遠距離用の大きな音声を持つ。

同類闘争
・基本的には群れ内での闘争は安定している種が多い。
・群れ間の闘争は、音声などによって縄張りを維持し、攻撃的干渉は稀である。
・コモンリスザルは交尾期に、オスたちが連合して他のオスを攻撃することがある。

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ピグミーマーモセット          ライオンタマリン

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ダスキーティティ          フサオマキザル            コモンリスザル

※参考文献
サルの百科 杉山 幸丸ほか著 データハウス (1996/06)
※画像の新世界ザルそれぞれの特徴はコチラへどうぞ

まとめ

新世界ザルは他の真猿類と比べ、非常に特徴的な様式を持つ種が多いことがわかりました。

このような多様性を持つに至ったのは、最も初期に種間闘争に敗れた広鼻猿類の祖先は、寒冷化・乾燥化の中で、 新天地を求めて大幅に狭まった大西洋を島伝いに移動し、中南米に到達。
到達した中南米には広大なアマゾンの森林が広がっており、広鼻猿類の祖先はそれまでサルが存在しなかった世界で適応拡散したものと考えられます。

そして中には、原猿の生息域など、よりニッチを求めて進化した種もいたと考えられます。

それ故、生存圧力(種間圧力)が激化せず、それまでに比べて外圧が極端に低下した為、一夫一婦制のような集団形態を有していたり、小型化したまま進化していくことも可能だったと考えられます。

新世界ザルの特徴とその進化の歴史を追っていくことで、我々ヒトへ繋がる進化の歴史は、サル間の同類同士の種間闘争の歴史だということが解ってきました

次は私達にも馴染みのある旧世界ザルの分野へ光をあてていきます :roll:
アフリカでの種間闘争に勝利した旧世界ザル達はその後、どのような進化の歴史を歩み、そしてその中で、どのような特徴を持つに至ったのでしょうか?

真猿の追求もだんだん、我々ヒトへ近づいてきました!是非お楽しみに

List    投稿者 tyani | 2010-08-15 | Posted in 3)地上へ進出した哺乳類(原猿から真猿へ)1 Comment » 

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コメント1件

 サルピテクス~saru910~ | 2011.03.30 13:01

いつも面白い記事をありがとうございます(^o^)/
記事のアップをいつも楽しみにしています♪
>>私権の性が衰弱し、性を封鎖し、課題収束した最先端の意識は、みんなの役に立つにはどうしたら良い、社会の役に立つにはどうしたら良いという方向に向かっています。これらの意識は、私権の性から本源の性へ、個人第一からみんな第一集団第一へ、意識が転換する可能性でもあります。
今の世の中を見ても、自分たち30代前後よりも、20代前後(若い)の年代の方が本源性や皆第一の意識が高まっていますね(^ω^)
そんな若い方がドンドン増えていく(時代と共に人口層▲)のは可能性が高い(嬉しい)ですね(^○^)/
>>しかし、このような意識も個人がばらばらのままで、受け皿となる集団が存在しなければ何も実現できません。
そうですね・・・
皆の意識の中では生起しているものの制度やそれを受け止めれる集団や社会共認が成されていないのは、すごい勿体無いですね(>_いつも面白い記事をありがとうございます(^o^)/
記事のアップをいつも楽しみにしています♪
>>私権の性が衰弱し、性を封鎖し、課題収束した最先端の意識は、みんなの役に立つにはどうしたら良い、社会の役に立つにはどうしたら良いという方向に向かっています。これらの意識は、私権の性から本源の性へ、個人第一からみんな第一集団第一へ、意識が転換する可能性でもあります。
今の世の中を見ても、自分たち30代前後よりも、20代前後(若い)の年代の方が本源性や皆第一の意識が高まっていますね(^ω^)
そんな若い方がドンドン増えていく(時代と共に人口層▲)のは可能性が高い(嬉しい)ですね(^○^)/
>>しかし、このような意識も個人がばらばらのままで、受け皿となる集団が存在しなければ何も実現できません。
そうですね・・・
皆の意識の中では生起しているものの制度やそれを受け止めれる集団や社会共認が成されていないのは、すごい勿体無いですね(>_<)
本源性や皆第一意識を持っている集団を作って、皆(日本全体)で活力を上げて活きたいですね(^o^)/

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