2010-04-07

哺乳類の起源と歩み~(原モグラ)時代の性闘争「哺乳類の危機」

「哺乳類の起源と歩み」シリーズも中盤戦です。
前回までは、哺乳類が登場した外圧状況と獲得した機能について追求してきました。

哺乳類、爬虫類とも逆境によりそれぞれ進化した。中でも哺乳類は寒冷化という
 逆境に適応するために恒温性と(卵)胎生を獲得した
哺乳類は両生類から直接進化したと考えられ、爬虫類の系統とは別である
原哺乳類は低酸素という逆境の中で現代の哺乳類につながる機能を獲得した


哺乳類の起源と歩み~逆境の連続が哺乳類を生んだ①「先哺乳類の誕生」
哺乳類の起源と歩み~逆境の連続が哺乳類を生んだ②「原哺乳類の登場」
さて今回は、低酸素時代地上の覇者であった大型爬虫類(恐竜)が突如絶滅し、哺乳類が繁栄を迎える時代を追求していきます
「いよいよ私たち哺乳類の時代!」と心躍る気持ちになりますが、実はその認識は違うのです。
多種多様な哺乳類に進化を遂げる前には、数々の逆境が立ちはだかり、決して平坦な道ではなかったのです。
さて、哺乳類にどんな逆境が待ち構えていたのでしょうか
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◆隕石の衝突と恐竜の絶滅
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写真はコチラから。
るいネット実現論より引用。

約六五〇〇万年前、巨大隕石が地球に衝突し、これに誘発されて火山の噴火が始まり、地球は粉塵に包まれて、急激に気温が低下した(この時期を特殊寒冷期と呼ぶ)。氷河期の場合には数万年かけて徐々に気候が変動する為、それに応じて植物も動物も移動してゆくことができるが、特殊寒冷期には短期間に気温が急低下し、北方に生息していた動物たちはあっと言う間に絶滅、南方にいた大型動物も、(たとえ親が生き残っても)卵を孵化することができず、殆どが絶滅した。その中で、水中や温泉の岩陰など比較的温かい所に生息していた動物たち(ワニ・トカゲ・ヘビなど)は辛うじて生き残り、同様に地中に潜ることができた原モグラも特殊寒冷期をくぐり抜け、生き残ることができた。

約6500万年前(白亜紀末)に恐竜をはじめとする生物の大量絶滅が起きたといわれています。
原因は直径10kmの隕石の落下と言われていて、それにより粉塵や硫酸塩、森林火災に伴う煤などが大気に滞留し、光合成生物(植物プランクトン)の活動を長期間停止させ、食物連鎖の基底をなす光合成生物が死滅したことにより、恐竜などの大型生物は食料を採取できなくなり絶滅したものと考えられています。
参考記事はココをクリック

参考記事では、『この間に生じた温度変化は2℃未満であったことが判明している。』とありますが、大気に植物が死滅するほどの粉塵が滞留すれば何らかの気温の変化があるはずで、おそらくそれは太陽光を遮蔽したことによる寒冷化だと考えられます。
寒冷化した期間は、粉塵が舞い上がっている期間なのでそれほどは長くはなかったと思いますが、動植物が死滅するには十分な期間だったと思われます。

◆生き残った哺乳類を待ち構えていたものは?

生き残った動物たちは、この環境変化を契機に一気に適応放散し、多種多様な種が登場することになった。(適応放散とは、生物史上繰り返し現れる現象で、危機的状況に陥ると新たな可能性に収束することによって、一気に多様な適応態が出現することをいう。)大型爬虫類の絶滅という環境変化によって、小型爬虫類や猛禽類や初期肉食獣が多様化し繁殖していったが、この環境は(相手が10m級の大型爬虫類であるが故に、体長10~20cmのモグラは充分に「隠れ棲む」ことができたが、相手が小型爬虫類や肉食獣になると)モグラ類にとっては、大型爬虫類の時代以上に危険な生存状態となった。この危機的状況ゆえに、モグラ類は急速かつ多様な適応放散を遂げ、現在に繋がる様々な哺乳類が登場することになる。(それらの中で、樹上逃避することによって適応していった原モグラが原猿である。)

この時代の多種多様な哺乳類の登場はいったいどのような外圧状況にあったのでしょうか。
大型爬虫類の絶滅という環境変化は、一見して哺乳類の繁栄を一気に加速させたように感じられますが、これまで追求して見えてきた『生物は逆境下で進化する』という事実と矛盾します。本当にこの時代は哺乳類にとって外敵のいないパラダイス だったのでしょうか?

しかし、「多種多様な種の登場」という事実に目を向けて、哺乳類の置かれた環境をみていくと、どうやら哺乳類にとって先の時代(恐竜時代)よりも更に過酷な時代であったことが見えてきます。

まず、この時代多種多様な哺乳類が登場してきたにも関わらず、なぜ大型哺乳類は誕生しなかったのでしょうか?(この時代の哺乳類の種の中でも大きいものでも2~3mくらいです。現在の大型哺乳類に近いサイズの種が登場するのはもう少し後の時代。)
先の時代での哺乳類の小型化戦略は、「低酸素時代」の中で生き残る為でしたが、この時代の小型化戦略はいったいどのような外圧状況によるのでしょうか?

―それは、大型爬虫類が絶滅した原因と同じで『食料問題』と考えられます。
巨大隕石の衝突によって、植物が育たなくなり、結果哺乳類が食べる餌も獲得しにくくなったと考えられます。
餌となるものが限られているので、必然的に小型化してエネルギーの消費を抑えるという適応を余儀なくされたのがこの時代の哺乳類です。
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左は【デルタテリジウム】体長12cm カンガルーを含む有袋類のごく初期の仲間。
右は【エオマイヤ】体長10cm 最古の胎盤をもつ哺乳類(有胎盤類)といわれる。
※写真は「古世界の住人」さんからお借りしました。

また、同じように食料難によって小型化した爬虫類や猛禽類と接触する機会が増えたことで、これまで大型爬虫類(恐竜)の目から身を隠すことができた哺乳類は、外敵から身を隠すことが難しくなり、いよいよ生存上危機的な状況に追い込まれたことが容易に想像できます。
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左は【ディアトリマ】体長2m 鳥類(肉食) 恐竜絶滅以降、地上を君臨。
右は【プリスティチャンプサス】体長3m 爬虫類 陸上に適応したワニ類のひとつ。
写真は、「古世界の住人」さん、「生物の進化」さんからお借りしました。

このように、「安定した食料」と「安全な棲家」という生存基盤そのものが脅かされていたこの時代は、哺乳類にとってこれまで以上に逼迫した外圧状況にあったと考えられます。

◆適応放散をする生物って?

この危機的状況ゆえに、モグラ類は急速かつ多様な適応放散を遂げ、現在に繋がる様々な哺乳類が登場することになる。(それらの中で、樹上逃避することによって適応していった原モグラが原猿である。)

一般的には、適応放散というと、空いている空間があると生物は喜んでそこに適応していくと言うイメージがありますが本当でしょうか
ウィキペディアの適応放散には、木に登ったカンガルーの事例が紹介されています。

「ニッチが空いていれば、結構強引にそこを埋めるものが出現するものである。キノボリカンガルーは、最もにぶい樹上動物と言われる。なにしろ元がカンガルーなので、後ろ足は物を掴むには向いていないし、尻尾も柔軟ではないが、樹上で生活しており、その移動速度はかなり遅い。それでもやって行けるのは、天敵になるものがいなかったことと、他にこのような生活の出来そうなものがいなかったためであろう。」


少し考えれば分かると思いますが、天敵がいないのに、体の構造上全く向いていない、木の上に登ることなどありえないでしょう。

もともと地上で暮らしていたカンガルーが、地上での生存闘争に負けて、止む無く樹上に上がり何とか生き延びたと考えるのが自然です。
どの生物も元の生存環境に適応しているのですから、異なった環境に進出するのは苦痛であり、出来れば避けたいことなのです。

弱者ゆえに元の生存環境を追い出され、それまでの生存環境と全く違う逆境に何とかして適応してきた苦難の歴史が適応放散の歴史なのです。

◆まとめ
巨大隕石の衝突は、粉塵による太陽光の遮蔽植物絶滅+寒冷化を引き起こした
生き延びた哺乳類(原モグラ)は、小型爬虫類・肉食鳥類の登場によって、大型爬虫類時代以上の危機的生存状態となった
適応放散とは、弱者故の適応戦略。哺乳類(原モグラ)は弱者故に適応放散した

List    投稿者 andy | 2010-04-07 | Posted in 2)知られざる原始哺乳類1 Comment » 

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コメント1件

 ayoan igokah | 2010.12.13 0:04

>全対象への感謝の念を、このような機会を元に取り戻していきたいですね
大切な考え方ですね。
縄文土器は確かに、全く機能的ではないですが、土器と考えていることが間違っていたのか、とふと考えてしまいました。大変面白い記事です。

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