2010-01-30

生物史に興味を持ってもらうシリーズ-3 ~その2.中心体の秘密~

前回記事「その1.中心体が生命活動の統合役」の続きです。
 
中心体が生命活動の統合役を担えるのはなんでなのか。なんでそんなことができるのか。
秘密はその組成にあります。
 
中心体は何でできてる? 
 
下図の一番上を見てください。黄色い丸で表現したのが中心体。真ん中に中心小体が2つあり、その周りに周辺物質で囲まれています。その下の図が中心小体の断面です。細長いチューブがいくつも連なっています。
 
一番下の図はそのチューブを横から見た図です。中心体は細胞分裂のときにこれと同じ形をした微小管という繊維状の分子を放射状に伸ばし、染色体をつかまえて2つに分けます。
 
グレーと白の大きいつぶつぶはタンパク質です。その間にある赤と青のつぶつぶがGTP、GDPという物質で、ヌクレオチドと呼ばれています。これが糊のようになってタンパク質を連結します。
 
chuushintai.JPG
(なんでや劇場資料45より)
 
このヌクレオチドが重要な機能を持っています。 ヌクレオチドってなに?
 
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ヌクレオチドってなに?
 
下図の左の絵がヌクレオチドです。左からリン酸塩基がくっついた構造になっています。このリン酸が付いたり離れたりすることでエネルギーの出し入れができ、物質をくっ付けたり離したりできます。(4種類のヌクレオチドのうち中心体を構成しているGTPを表記しています。)
 
そのような性質を利用して体内では呼吸や代謝の様々な場面で使われています。
さらに驚くのは、RNAやDNAはこのヌクレオチドを連結させたものなんです
 
ヌクレオチドは重要な分子なのです。中心体はその機能を活かして仕事をしています。
  
ポップアップで拡大して見る
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中心体はヌクレオチドをどのように活用しているのか? 
 
中心体がつくる微小管(チューブ)のタンパク質は、GTPがくっつくと連結します(下図参照)。するとGTPのリン酸が取れてGDPに変わります。GTP付きタンパク質がくっつかなくなり、全部がGDPタンパク質になるとバラバラになります(図の一番下の絵)。
  
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詳しくは、GTP、GDPの接着機能
 
そのようにして中心体から伸びた微小管は、タンパク質を連結したり切り離したりして伸縮し、染色体(中身はDNA)をつかまえて2つに分ける働きをしています。
 
全体像はこんな感じです
bousuishi.JPG
(なんでや劇場資料26より) 
 
 
ヌクレオチドとタンパク質の複合体は生命活動を支える普遍構造 
この「ヌクレオチド+タンパク質」の複合体は細胞のあちこちで使われています。
染色体を引っ張る紡錘糸(上で説明)
タンパク質合成で働くmRNA、tRNA、rRNA
細胞分裂の時に細胞の真ん中をちぎる繊維(収縮環)
細胞が動くときに使う繊毛や鞭毛(真核生物)
細胞の形をつくったり細胞内の器官の位置を決める細胞骨格
 
このようにヌクレオチドとタンパク質の複合体は生命活動の重要な役割を担っています。そして、中心体の働きから推測できるように、その基本機能はヌクレオチドを介してタンパク質をくっつけることだと言えます。
 
中心体が生命の起源だとすれば、そのような機能を活用して生命を誕生させたはずです。
 
 
次回は原始地球にさかのぼり、中心体がどのように生命を誕生させたのかを見ていきます。
お楽しみに

List    投稿者 kumana | 2010-01-30 | Posted in 6)“祖先の物語”番外編2 Comments » 

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コメント2件

 sarusaru | 2010.09.26 14:04

種族間同士でもともに協力して食料取得する
なんて凄いですね☆
動画を見てみるとラーテルも蜂蜜を全部食べずに
置いてミツオシエ鳥にあげてたし☆
>でも顔だけでは、皮膚が薄いので、刺されたら痛くてのたうちまわります
このときのラーテルちゃんののたうちまわりは
ものすごく可愛かったですね~♪
癒される動画を教えて頂きありがとうございます!

 さんぽ☆ | 2010.10.02 23:03

動画もみて下さってありがとうございます☆
生物って、こうやって協力して生存しているのですね。
しかも、このミツオシエ、人間にも教えたりするそうです。
ある部族ではそれで蜜を取ったりしています。

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