2010-01-04

ゴリラに学ぶ 霊長類学者 山極寿一さん

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明けましておめでとうございます
昨年はどんな年でしたか?今年1年いい年にするためにも年始にはちょっといい話を、、、ということで、最近の僕のヒット記事を紹介します。

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産経新聞 【新・関西笑談】ゴリラに学ぶ 霊長類学者 山極寿一さん  より引用

■相手に近づき、ただ見つめ合う ゴリラには紛争解決の知恵がある。
 山極 人間の子供は1年か2年しかお乳をすわないが、他の類人猿、オランウータンやチンパンジーの子供は5年から7年、ゴリラだと4年と長い間授乳します。なぜだと思いますか
 --うーん、なぜですか
 山極 それはね、人間は多産だからです。母親がはやく授乳を切り上げて次の子供を産む準備をしたいから。理論的には生涯に10人から20人は産める計算です。ところが、ゴリラは4、5年に1度しか産まない。寿命50年として繁殖できる25年の間に4、5頭、半分は死んでしまうので子孫は増えないです。
 --そこから何が見えるのですか
 山極 人間は進化の過程で乳児が死にやすい環境にいたのではないかということです。ゴリラやチンパンジーは熱帯雨林という非常に豊かで安全な場所に生息し、いまもとどまっているけれど、人間は危険な環境に出ていった。つまり森を出てサバンナに出た。そこは捕食者が多く危険な場所です。それで多産にならざるをえなかった。
 --ウウム
 山極 多産だから複数の育児や食べ物の分配といった社会性を発達させる必要があった。人間の赤ちゃんはよく泣きます。またにっこりとよく笑います。それは早く乳離れするから、お母さんだけでなくいろんな大人に育てられるようできているのです。ゴリラの赤ちゃんはずっとお母さんの手の中にいますから泣く必要はない。
 --というようなことが霊長類学の研究を通してわかってきた
 山極 そうです。ゴリラやチンパンジーやボノボなど人間に近い類人猿の赤ちゃんを観察することによって初めて人間の赤ちゃんの特性が浮かび上がってきたのです。共通の祖先をもっていたわれわれなのになぜこの道を選んだのか。例えば、向かい合って話すとき、私たちは見つめ合いますね。サルは見つめ合いません。威嚇になるから。力の強いサルだけが弱いサルにガンを飛ばすことができる。一方ゴリラやチンパンジーは見つめ返します。でも人間とはまた違う。
 --そうですか
 山極 私たちはちょっと距離を保つでしょう。それは目の動きをモニターしているんです。ゴリラに白目はないのでそれはできません。一体になろう、一緒に何かしたいというとき、ゴリラは相手にぐっと近づき、ただ見つめ合う。実は人間だってそんな瞬間があるでしょう。
 --愛情表現ですね
 山極 そう。だから人間の祖先もかつてはそんな風にコミュニケーションをとっていたのではないか、とゴリラを見ていてボクは思うわけ。ゴリラは実に愛情深く平和な動物です。長い間、凶暴で乱暴ものだと誤解されてきたけど、とんでもない。ドラミングというおなかをたたく威嚇行為は家族を守るためであって、むやみに攻撃するわけではありません。ケンカして仲直りするとき、性行動で求愛するとき、あいさつするとき、じっと見つめ合うゴリラは美しい。だからね、人間社会の途切れない紛争をみていると、なぜゴリラのような穏やかな社会を維持できないのかと思う。
 --だから、ゴリラにもっと学ぼう、と
 山極 いや、ゴリラ社会にこそ、人間社会の紛争を解決する答えがあるとボクは思っているわけ。人間はきっとどこかで間違ってしまったんだと思いますね。(聞き手 石野伸子)

興味深い記事ですね。
人類とゴリラは進化の過程上枝分かれして900万年くらいと言われています。ですから人類のDNAにはゴリラのものも当然刻まれていて、ゴリラの紛争解決能力も人類は当然備えています。
>一体になろう、一緒に何かしたいというとき、ゴリラは相手にぐっと近づき、ただ見つめ合う。実は人間だってそんな瞬間がある
2010年、相手と意見があわないこともあるでしょうが、そんなときは「相手の目をじっと見て相手の気持ちをくみ取ってみる」ということをやってみませんか?そうすればいい年が過ごせるように想います 🙂 。
今年もがんばっていきましょう
※2010年1月10日追記
>人類とゴリラは進化の過程上枝分かれして900万年くらいと言われています。ですから人類のDNAにはゴリラのものも当然刻まれていて、ゴリラの紛争解決能力も人類は当然備えています。
という文章は誤解を与える内容なので訂正します。
ゴリラと人類は900万年前に進化系統樹上分かれているので、ゴリラの紛争解決能力が枝分かれ後に獲得されたものであれば人類のDNAに刻まれていないことになります。
しかし、人類も見つめ合い愛情表現をするように、目を見つめ合うことでわかち合い充足を得る機能は備わっています。この機能(同一視といいます)は原猿段階で獲得しているものなのでゴリラの紛争解決能力も、人類の愛情表現もそれをもとにした機能だと考えられます。
2010年相手と見つめ合いわかちあっていくということを意識していきたいですね。

List    投稿者 MASAMUNE | 2010-01-04 | Posted in 3)地上へ進出した哺乳類(原猿から真猿へ)No Comments » 

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