両生類からホ乳類へ-3-卵胎生とは
両生類から哺乳類への進化をたどると、陸上へ適応する為の「羊膜化」→より広い温度域で生活できるよう「恒温性」といった機能を獲得していっている。
そして、これから哺乳類の特徴である「胎生」に繋がる部分を見ていきたい。
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まず、「胎生」の特徴は、確実に子孫を残す適応形態であると言えるだろう。
つまり、卵生の欠点である「湿潤の必要性」と「一定温度の確保」を解消した寒冷陸地においても子孫が残せるという事である。
・卵生:卵を産む。
…主に魚類・両生類・爬虫類。
・卵胎生:卵を胎内で孵化させて子を産む。
…石炭紀頃に出現した両生類をはじめ、魚類~哺乳類に至る生
物のごく一部
・胎生:母体から胎児に栄養供給して、ある程度育ててから産む。
…哺乳類
では、「卵胎生」とは何なのであろうか?という疑問が浮かぶ。いかにも中途半端な「子孫を残す形態」と言えるのではなかろうか?
一般には、派生した時期・多種類に渡る生物種という事象からみても、生物進化の軸となる大きな外圧に適応した機能とまでは呼べない事からも、「平行進化」と呼ばれている(実際、胎生と卵胎生の区分けは難しく、両方共胎生であるとも言える)。
では、実際に卵胎生を行う動物の一例を以下に紹介する。(ウィキぺディアより)
コモチカナヘビは、同種の生物であるにもかかわらず、地域によって卵生と卵胎生の違いがあることが知られている。ピレネー山脈南部では卵生、気温のより低い地域では卵胎生で、より確実に子孫を残す適応をしていると考えられている。
つまり、「卵胎生」という機能は、生物にとって「卵生」→「卵胎生」→「胎生」という流れでは無く、「卵生」→「胎生(卵胎生含む)」であるというのが正しいように思われる。
最後に、冒頭の「両生類から哺乳類への進化をたどるに当たっての卵胎生」について考えてみたい。
上記にて既に「卵生」→「胎生(卵胎生含む)」という大きな進化系統を述べたが、ここで重要なのは、爬虫類との分岐点です。
教科書的には未だ「両生類」→「爬虫類」→「哺乳類」という流れを示唆しているものも多く残っていますが、るいネットにもあるように
爬虫類の大半は卵生で、現生の卵胎生爬虫類としてはマムシなどの毒蛇の一部が知られているだけです。一方、卵胎生両性類は、初期爬虫類の登場の直後(orほぼ同時期)に登場しており、かつ、初期哺乳類の出現は卵胎生爬虫類の出現よりも先行しているという事実から考えると、哺乳類は直接卵胎生の両生類から進化したと考える方が妥当です。
その流れを進化系統樹としてまとめると以下のようになります。
┏━━鳥類
┏━(卵生有羊膜類)━爬虫類━━━┻━(卵胎生爬虫類)
両生類━有羊膜類━┻━(卵胎生有羊膜類)━━━━━━┳━(胎生両生類)
┗━━哺乳類
ここで重要なのは、爬虫類は「乾燥陸上」に適応(追いやられた)した「卵生」種であり、哺乳類は「乾燥陸上→寒冷地」に適応(追いやられた)した「胎生」種であるという大きな違いであるという事です。
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