2009-08-06

動物の陸上進出

 こんにちわ。arincoです。今回は、動物の陸上進出について追及しました。s
まずは、前回までの投稿を踏まえて当時の地上の状況を整理してみましょう。
・植物の陸上進出は完了。
・オゾン層の形成。紫外線▽(とは言っても過酷である事には変わりが無い)
・酸素濃度上昇
・重力は存在

 
ざっとこんなものでしょうか?それでは、この条件のもと陸上適応しやすい条件はというと
・植物や有機物(死骸等)を食料として摂取する事が可能
・重力や紫外線に適応可能

等があげられます。あとは、体内に水分保護を行う事が出来るのも非常に重要です。我々もそうですが、生物は水なしには生存できません。
このような条件に当てはまる動物ってなんだろう?
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□最初の陸上進出は節足動物系?
さて、最古の陸上生物の化石は、多足類に属するアーキデスルスという動物らしいですね。ただし残念な事に画像は見つけられませんでした。
 
 また、昆虫であるRhyniognathaという動物やイシノミやトビムシの祖先もいち早く陸上化したと言われています。イシノミも藻類を食べる草食動物です。トビムシの食性は多くの種が雑食で、落ち葉や腐植を中心に食べています。
 
 彼らの祖先は、バージェス動物群の中のアユシュアイアであると言われていますが、アユシュアイアは化石のそばに海綿の化石が発見されていることから、海綿を食べていたか海綿を隠れ家にしていたと考えられている動物です。このように考えると、Rhyniognathaやアーキデスルスも草食系の流れを汲んでいる可能性が大きいでしょう。
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イシノミの画像
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トビムシの画像
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Rhyniognathaの画像
 アーキデスルス、トビムシ、イシノミ等諸説ありますが、どうやら地上進出をいち早く果たしたのは、節足動物系である事は間違いなさそうです。
□節足動物系が陸上進出できたのはなんで?span>
 では、なぜ節足動物系がいち早く陸上進出を果たせたのでしょうか?注目したいのが、彼らの共通点が、「草食」、「外骨格」、「気管呼吸」であるという事です。
 まず陸上進出した時には植物しかありませんので、草食動物であることが条件となります。そして、外骨格は、体内における水分保持や紫外線、重力等から体を保護するのに役立っています。
さらに、 
 

昆虫類は脊椎動物よりも約4000万年早く陸上に進出することが出来ました。
 小さな体と発達した外骨格が陸上での生活に早く適応することを可能にしたようです。
 彼らの呼吸方法も、陸上に進出する上でほぼそのまま用いることができました。昆虫類の体の側面には、気門という穴が開いています。そこからは気管が体中に張り巡らされ、体中の組織に直接酸素を届けています。
 水の中にいる間は、酸素を含んだ水を気門から取り入れることで呼吸をしていました。陸上に出ても、水を取り込むか、空気をそのまま取り込むかの違いがあるだけでその仕組みは、ほぼそのまま用いることができました。

生命の誕生と進化より
とある様に、彼らの呼吸法が、脊椎動物と比して、陸上適応し易い種であった事が推察されます。
□節足動物が地上化したのはなんで?
 しかし、当時の生物にとって、水中の方が環境が良いのは間違いありません。なぜ節足動物の一部は陸上進出したのでしょうか?もしくは、する必要があったのでしょうか?
まず

昆虫類の体の側面には、気門という穴が開いています。そこからは気管が体中に張り巡らされ、体中の組織に直接酸素を届けています。
「体の組織に直接酸素を送り届ける」という仕組みは、「体に酸素が供給できる大きさまでしか巨大化できない」という制約にもなります。

生命の誕生と進化より
とある様に、彼らの呼吸形態では、体を大きくすると効率が悪くなるのであまり大きくなれません。
従って、節足動物系は、相対的に小さな動物が多く、魚類の餌になっていた可能性が非常に高いという事です。(今でも魚の餌はゴカイ等ですよね)
また、

水域に生活していた昆虫類の祖先はこれらの植物を求めて水際に集まるようになってきた。
さらに、かれらは気管系を獲得し、陸上への第一歩を刻むことになる。この昆虫類の祖先は藻類などを餌とし、現生のイシノミ類によく似たものであったろう。イシノミ類の大顎は単関節丘型であり、咀嚼の面からは不完全で、現生でも藻類を主要な餌としている。また、イシノミ類は、胚を外部の環境の変化から保護する胚膜構造の初原を、昆虫類では初めて、獲得したグループでもある。
 つぎに起きたイベントは大顎の双関節丘化である。これにより堅い植物や生物遺体なども餌とすることができるようになった。これらは双関節丘類、すなわち無翅類であるシミ目と有翅昆虫類である。
 多くの節足動物も、やはり水際に密集していたであろう。それらはムカデ類、サソリ類、クモ類などの多くの捕食者も含んでいた。このため、水際は熾烈な捕食関係の舞台となった。この結果として、有翅昆虫類の祖先は新たなニッチェを半水生・水生の生活型に求めた。この際、有翅昆虫類の祖先は水生生活を保証する気管鰓を発達させることになる。気管鰓は付属肢の基部節の外葉に気管が入り込んでできた葉状の呼吸器で、各体節の背板に側葉として存在する。これらは肢起源で筋肉があり、動かすことでより効率的に呼吸を行うことができた。そしてそ
れらにより遊泳も行い、捕食者などからの回避にも有効であった。そして、恐らく航空力学的理由から、胸部の気管鰓は特に大型であった。

昆虫類の祖先が陸上進出・翅の獲得に至ったシナリオより
とある様に節足動物の中でも弱者が陸上に上がらざるを得ない状況となり、彼らの可能性収束先として、陸上進出が実現したのだと思います。
 このように、「弱者」である事と「草食」、「外骨格」、「気管呼吸」と陸上化に有利な条件を備えていた事が節足動物が最初に陸上進出を果たす事を可能にしたのでしょう。

List    投稿者 arinco | 2009-08-06 | Posted in 6)“祖先の物語”番外編2 Comments » 

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コメント2件

 kawai | 2009.12.17 16:03

なるほど、「利己的な遺伝子」の伝播は、性市場における自我・私権闘争を正当化する近代思想と同様に、自己正当化に都合の良いものであったが故に受け入れられていった、という事なんですね。
 なので、そこには事実も構造も無く、単なる文学的表現に留まった読み物でしかない。
でも、生物系の大学では未だに教科書的に扱われていると聞きました。研究室という閉鎖空間では、社会の事実追求の流れには乗れないのかもしれませんね。

 匿名 | 2009.12.19 22:27

固定概念ありきの発想では自然を素直に受け入れることができないということがよくわかりました。
個人主義をもってきて遺伝子中心主義を解説してくれるところもさすがですね。
研究室に閉じこもってわけわかんない理論を組み立てられるより、素人が潜在思念で考えた生物理論の方がよっぽどまともなものができると思いました。

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