2009-06-08

殺菌・消毒って本当に効くの??

 こんにちわ。arincoです。豚インフルも、もはやなつかしい?今日この頃皆様いかがお過ごしでしょうか
 今回は、インフルエンザの流行に乗じて、殺菌や消毒について調べてみました。予防策として色々言われていました本当に効くのかな?と言うのが発端です。
さて、実際はどうなのでしょう?
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 さて、まずは言葉の定義から
殺菌:病原性や有害性を有する糸状菌、細菌、ウイルスなどの微生物を死滅させる操作のこと
消毒:人体に有害な物質を除去または無害化すること。広義の消毒には有害化学物質の中和(無毒化)なども含まれる。
 どちらも全ての細菌・ウイルスを殺すわけではないと言う大前提があります。ちなみに全ての細菌・ウイルスを殺す事は「滅菌」と言います。
さて、殺菌と言えばアルコールが思い出されると思いますが、アルコールがよく使われる理由には、
・細胞への浸透力が強く,殺菌する速度が他の殺菌剤にくらべ非常に速い。
・炭素数(Cの数)が多いほど殺菌効果が高くなる。
・黄色ブドウ球菌,大腸菌,クレブシェラ,結核菌といった芽胞形成菌を 除く全ての細菌に有効。
・ウイルスにも有効

が挙げられます。
では、アルコールはどのように殺菌を行うのでしょうか?
 
 ポイントは、アルコールが細胞膜と同様に親水基と疎水基を持つ所にあります。 
 
 例えば、エタノールの構造は(CH3CH2OH)でCH3CH2の部分は疎水性であり、水と混ざりにくい性質を持っています。OHの部分は親水性で水と混ざりやすい性質です。
 
 このような性質から、水とエタノールを1:1の割合にした混合液中ではエタノール分子の疎水部分が集まって(疎水結合)エタノール分子が平面状に並ぶ現象が起きるのです。
 
 細菌やウイルスの細胞膜分子の表面は親水基なので、平面上に並んだエタノール分子の集合体(疎水部分)に、影響を及ぼされることにより膜構造が破壊されます。
 また膜(エンベロープ)を持たないウイルスに対しては、アルコールが直接タンパク質の水素結合を変容させる事で殺菌するようです。
 ところで、病院で注射をする時アルコール綿で消毒をしますが、実は、アルコールでさっと拭いたくらいでは消毒になっていないらしいのです。
 むしろ、アルコール綿を作り置きしている病院では、耐アルコール細菌等が繁殖している可能性が高く、一転有害になってしまう可能性すらあるのです。それなのにいまだに使い続けている。まさに思考停止ですね。
さて、お次は、うがいくすりの代表格ポビドンヨード。イソジンといった方がなじみ深いでしょうか。ポビドンヨードは、ヨウ素とポリビニルピロリドンという物質の複合体です。
 
 ポビドンヨードは、ヨウ素の酸化作用で殺菌を行います。具体的には、細菌の蛋白質合成を阻害する事によって殺菌力を発揮します。
 さて、このポビドンヨードの効果はいかに!?という事なのですが、京大保健管理センターの所長さんが面白い実験をしています。
 彼は、「うがいせず」「水道水うがい」「ヨードうがい」の3グループに分け、2ヶ月間にわたり風邪の発生率を調べると言う実験を行ったらしいのですが、うがいをしなかった人の風邪発生率と比較して、「水道水うがい」をした群では、風邪の発生率が40%も低く抑えられたという結果が出ました。
 それに対し「ヨードうがい」をした群では、うがいをしていない群となんら変わりがなかったという結果が出たようです。
 水道水でうがいをすると効果がありそうなのに、ヨードでうがいをしても効果がなかったという事です。ムムムム
 さて、問題は、どうしてこのような結果になってしまったかという所ですが、これは、イソジンのもつ細胞毒性がキーワードになりそうです。
イソジンが粘膜を傷めることは医者には良く知られていることで、粘膜面が見えている傷の消毒にはイソジンを用いないようにしている。
のども粘膜であるから、イソジンが粘膜の細胞を傷害し、かえってウィルスの侵入を容易にしている可能性が指摘される。

とある様に、ヨードを使うことで、かえってウイルスの侵入を助けている可能性もあるのです。
粘膜や皮膚には「正常細菌叢」というものが存在し、分かりやすく言うところの善玉菌が、病原菌(またはウィルス)の付着を妨げている。
イソジンはこれら正常細菌叢を破壊するから、感染を促進するのかもしれない、という意見もある。

うーん。味方を殺して敵をアシストしているという事ですね。
 結局、イソジンの殺菌作用はヨウ素の酸化力によるものなので、その殺菌力は細菌にだけ有効なのではなく,生体細胞全般に分け隔てなく作用するという事です。つまり、細菌を殺すことができれば,人間の細胞も殺すことができるという事です。
 以上、殺菌・消毒の代表格を見てきましたが、総じていえるのがどちらも盲目的に使用してしまうと、予防どころか害を与えてしまうと言う事です。
 こういう身近な所にも僕達の思考停止っぷりが現れていると言う事です。事実を追求する重要性をあらためて感じます。

List    投稿者 arinco | 2009-06-08 | Posted in ⑨おもしろい生き物1 Comment » 

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コメント1件

 kawai | 2009.08.07 13:56

陸上って、海中に比べるとはるかに不安定な空間なんですよね。
今でこそ陸上生活は当り前のように想いますが、この不安定状態に適応できるよう体を組替えていく過程ってのは壮絶な闘いだったのでしょうね。

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