生命の起源と進化に学ぶ-1-生命とは何か?
こんにちは。
今週の記事は、なんでや劇場「生物史から学ぶ自然の摂理」シリーズ、2007/06/17~2009/03/29まで全16回にわたって追求してきた認識を振り返りながら、そのエッセンスをお届けしたいと思います。
なんでや劇場に参加された方も参加されなかった方も是非ごらんくださいね。
今日はプロローグとして、生物史を学ぶ意義、そして基本的な生命史観を紹介します。
1.生命の起源と進化に学ぶ~大事なのは、自然の摂理に立脚すること~
2.生物史の概観~生命誕生から人類誕生までの軌跡~
3.生命は外圧に対する適応態、生物史は変異の塗り重ねの歴史
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1.生命の起源と進化に学ぶ~大事なのは、自然の摂理に立脚すること~
現代人類は今、様々な社会問題(国家・市場の行き詰まり、環境破壊、精神破壊etc)に直面しています。これらの問題の根本は何なのか、そしてどうしてゆけばよいのか。その答えを探すには、既存の狭い常識群や固定観念にとらわれず、徹底して事実を追求してゆくことが必要になります。
現代社会は長い長い歴史の積み重ねの上に成立しています。こうした社会や人類はどのように成立してきたのか、それ以前の霊長類社会(サル社会)はどうだったのか、さらには生物史まで遡って、その歴史構造を紐解いていく必要があります。
40億年にわたる生物の歴史の中で、生物たちは様々な外圧に対峙し、可能性を模索し適応を実現してきました。そのおかげで私たち人類が存在します。こうした膨大な歳月の中で培われてきた生命の歴史から導き出される「普遍的な事実の体系」、それが「自然の摂理」です。
時代の大転換期にある今こそ、自然の摂理に学び立脚することが重要。生物史から学ぶ自然の摂理は、現代社会の問題を解くためのヒントを与えてくれると同時に、私たちが進むべき道の心強い羅針盤となるはずです。
■生命進化史
(出典:なんでや劇場資料21)
2.生物史の概観~生命誕生から人類誕生までの軌跡~
※生物史の大区分と重要なガイドライン
●約46億年前 地球誕生
・原始地球は隕石のぶつかり合ったエネルギーでマグマに覆われた状態。引力の影響で、地球の周囲に水蒸気等を含む大気を形成、マグマが冷却していく過程で奇跡的に海を形成した。
●約38億年前 原核単細胞生物の誕生
・最初の生命=原核単細胞生物が誕生。原始地球の高エネルギー状態、生命の素材となりうる様々な物質が混ざり合う海、こうした条件が生命誕生の舞台となった。
●約35-30億年前 光合成生物・酸素生物の誕生
・光合成を行う原核生物、そして酸素を利用する生物の登場。生物にとって酸素はもともと猛毒であったが、この酸素を利用した代謝機能により、飛躍的にエネルギー効率を高めた。新たな代謝システムの獲得。
●約20-15億年前 真核生物の誕生
・真核細胞の誕生は、40億年の生物史の中でも、生命誕生とならぶ最も大きな大変異(画期的な大進化)。後の時代の様々な動植物、そして現在の人類にいたるまで、細胞の基本構成は変わっていない。この真核細胞の登場(新たな細胞分裂システム・複製システムの獲得)により、性システム獲得(オスメス分化、小変異蓄積と安定保持の両立システム)への突破口が開かれた。
●約10~5.5億年前 多細胞生物の誕生~適応放散
・約5.5億年前にはカンブリア大爆発:多細胞生物の大規模な適応放散が起こり、現生物種の原型のほとんど、脊椎動物の祖先も登場。性システム(オスメス分化)による小変異の蓄積が、適応放散(爆発的な中変異)をもたらした。
●脊椎動物の進化
・約5億年前に魚類、約4億年前に両生類、約2.2億年前に初期哺乳類が登場。脊椎動物の進化過程は、一貫して「逆境」(外圧)によって収斂されてきたと言える。海から汽水域へ→河川へ→浅瀬や沼地へ→陸へと追われる中で、逆境に適応すべく変異を蓄積させ、魚類→両生類へと進化、さらに寒冷に適応すべく哺乳類へ。(乾燥に適応すべく爬虫類へ)
●約500万年前 人類誕生
・原始哺乳類(原モグラ)のうち樹上逃避したのがサルの祖先。そして、木から落ちたカタワのサルが人類の祖先。初期人類の生存環境が極限的に過酷であったことからも分かるように、人類への進化過程も逆境の連続であった。(逆境の中で、人間らしさ=人類の本源性は育まれた)
3.生命は外圧に対する適応態、生物史は変異の塗り重ねの歴史
生物が進化するとはどういうことなのか。大きく捉えると、生物進化とは、変異の塗り重ねの歴史であると捉えることができます。そして、変異の背後にはそれを促進する外部世界の圧力構造がある。
つまり、生命の歴史は、外圧の変化(自然環境の変化、外敵との闘争etc)に対応して、それに適応すべく大中小様々な変異が試行され塗り重ねられてきた歴史と言えます。
(突然変異説や自然選択説は、現象の一端を示しているが、生命原理そのものは説明できない。既存の学説は「場の外圧」を軽視している点が大きな欠陥であろう)
その意味で人類も、単細胞の時代から今日まで外圧適応態として必要であった全ての諸機能が塗り重ねられた存在です。単細胞や動物たちの摂理は、人間とは無関係ではなく、私たちの中にあるもの(現在形において作動しているもの)と考える必要があります。
今回のレポートの最後に、実現論 第一部:前史より、基本的な生命史観を引用します。
生きとし生けるものは、全て外圧(外部世界)に対する適応態として存在している。
例えば本能も、その様な外圧適応態として形成され、積み重ねられてきたものである。
また全ての存在は、本能をはじめ無数の構成要素を持っているが、それら全ては外部世界に適応しようとして先端可能性へと収束する、その可能性への収束によって統合されている。
また、外部世界が変化して適応できなくなってくると、新たな可能性(DNA塩基の組み替えの可能性)へと収束し、新たな可能性(例えば、新たな配列)の実現によって進化してゆく。
従って、歴史的に形成されてきた存在は(=進化を重ねてきた存在は)、生物集団であれ人間集団であれ、全て始原実現体の上に次々と新実現体が積み重ねられた、進化積層体(or 塗り重ね構造体)である。
つまり万物は、それ以前に実現された無数の実現体によって構成されており、それらを状況に応じたその時々の可能性への収束によって統合している、多面的な外圧適応態である。
※参考:なんでや劇場レポート
●なんでや劇場「生物史から学ぶ自然の摂理」シリーズを振り返る
●2007/06/17理① 生命誕生~種の保存が最重要課題~
├6/17なんでや劇場レポート1「生物史から学ぶ自然の摂理① 生命誕生」
●2009/03/29⑯~「突然変異説・自然選択説」を越えた進化論へ~
├「自然選択説」ってなに?
├突然変異説って何?総合説って何?
├3/29なんでや劇場レポート1『進化=変異のヒエラルキー』
├3/29なんでや劇場レポート2『変異はどのように起きるのか?(変異の仕組み)』
├3/29なんでや劇場レポート3 生命は変異を継承していく存在
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