2009-03-06

なんでや劇場レポート2『生命誕生のシナリオ~進化とは「エネルギー」の増大と保存』

なんでや劇場レポート1~『生命誕生のシナリオ』
昨日から始まった「第100回なんでや劇場のレポート」の2回目です。
昨日の記事では、濃縮型内部空間=生体膜の獲得までを、ATPのもつエネルギーを中心にまとめました。
今回の劇場で出てきた新しい認識
40億年、生物は一貫して高エネルギー状態に向かう(内圧を高める)方向で適応を続けてきた。それは、高分子化⇒単細胞⇒多細胞化⇒群態化のベクトルであり、高いエネルギー(仕事)成果に収束する反応(運動)である。」
この高エネルギー状態に向かう(外圧を認識し内圧を高める)方向は、生物が誕生する初期の中心体原基から、原核生物が誕生するまでも同じだったと考えられます。今日は、原核生物誕生までのシナリオを順番に見ていきたいと思います。
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昨日の投稿で、中心体原基が周りに生体膜を作るまで進みました。生体膜で囲われると細胞の内部空間に「原始地球の反応系」を閉じこめることが可能となりました。膜で囲まれた濃縮型内部空間の完成です。
これにより、原子・分子を高分子化するための材料を膜内に閉じこめ、エネルギーを上昇させることができます。
生命は、蓄えるエネルギーが増大する方向で進んでいきます。エネルギーを増大するためには、触媒による反応が必要になります。膜を作る時に、ATPに中心体原基が触媒として働き、CTPやUTPを作りました。このCTPやUTPのピリミジンヌクレオチドが膜内に埋め込まれ、生体膜機能を作り、選択透過性の機能の獲得へとつながります。選択透過性により外部から必要なものを取り入れます。
●tRNAの成立
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次に、中心体原基がヌクレオチド(ATP・GTP・CTP・UTP)を凝縮し、RNAとアミノ酸の複合体であるtRNAを形成します。
これは、触媒機能としてより高度に反応を高めるためには、中心体原基より分子量の多いものを作る必要があったからです。これが、4種のヌクレオチド3リン酸(ATP・GTP・UTP・CTP)が脱リン酸化(リン酸が2つ外れる)結合したRNA系です。
RNA系で一番初めに出来たのが、3つのヌクレとアミノ酸が一体となった、一番分子量の少ないtRNAだと考えられます。
●rRNAの成立
rRNA.jpg
次に、tRANから、RNA+タンパク質複合体=rRNAができます。
tRNAがアミノ酸を連結していくことでタンパク質ができあがります。より分子量の多いRNA+タンパク質複合体であるrRNAが出来上がります。
●mRNA/Dヌクレオチド成立と環状DNAの獲得
mRNA.jpg
tRNAからアミノ酸が分離し、単独RNAであるmRNAが出来上がります。
1本鎖のRNAは非常に不安定ですぐに2本鎖を形成し、安定性を高めます。そして、2本鎖を構成するRヌクレオチドがDヌクレオチドになります。より分子量の多いDNAの誕生です。
DNAは、どんどん伸びていき環状DNAが完成します。真核生物のDNAは、末端が非常に不安定ですが、初期のDNAは、環状になることにより安定度を高めました。
●DNAの複製システムの獲得
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そして、もっとDNAを増やすために元の鋳型から、同じDNAを作ります。
環状DNAの2本鎖をほどき、それぞれの鎖(DNA1本鎖)を鋳型にしてDNA(2本鎖)を複製します。
また、DNAからmRNAが情報を読み取り、tRNAとrRNAによりタンパク質を細胞内で合成し、細胞はどんどん大きくなります。大きくなると、細胞の体積当たりの表面積が少なくなります。これは選択透過性を獲得し、外部から必要な栄養分を吸収する細胞に取って不利です。細胞の大きさに比べ外部から取り入れる栄養分を取り入れる細胞膜表面積が小さいので吸収が少なくなります。このバランスが臨界点に達すると、細胞分裂が始まります。分裂することにより、一つの細胞は体積と表面積のバランスを保ち次の成長が可能となります。また、分裂により、細胞の数が増え全体としてはエネルギー量が増大します。
細胞は、エネルギーを増大させて成長していくために、分裂システムの獲得へと進んでいきます。
●細胞分裂システムの完成→原核生物の誕生
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複製により、もう一本の環状DNAが完成すると、細胞を2つに分ける細胞分裂システムを獲得します。
2本のDNAが、タンパク質により両端に引っ張られます。
分裂するために細胞を中央で切る収縮環タンパク質は、この両端に移動するタンパク質との反発力で細胞の中央に集合します。
収縮環(GTP/ATP複合タンパク質)が分解し、収縮することで細胞がくびれていき、ついに2つに分かれます。
細胞分裂システムが完成し、原核生物が誕生しました。
●遺伝とは何か?
生物は一貫して高エネルギー状態に向かう(内圧を高める)方向で適応を続けて行きます。では、その進化の中で「遺伝」とは何でしょうか?
遺伝とは、生命の進化の中で一度獲得した高エネルギー状態に向かう方法を、DNA上に残すことだと考えられます。一度獲得した方法を次の世代でも使えるようにマニュアルのようにDNA上に残してきました。
では、次回3回目は、「生物とは何か?」について、宇宙まで広げて考えてみたいと思います。

List    投稿者 yooten | 2009-03-06 | Posted in ⑦なんでや劇場レポート1 Comment » 

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コメント1件

 あれっくちゅ | 2009.05.16 2:16

哺乳類は子供が可愛いというのも重要な要素かと。
授乳が終わったあとでも、
幼児体型や童顔であれば保護したくなることによって、
多産多死による物質的な消耗を防いでいると思います。
その代わり遺伝病が多いですね。
私なんか先祖代代喘息持ちですから。
哺乳類でも他人の子を虐待する種も居ますが、
(過半数の)人間や猫は他人の子でもかわいがります。場合によっては他の種でも。
うちの子猫なんか、授乳期の母猫が複数居る場合は母乳のはしごをしますからね。

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