2009-03-02

「群れ」についての過去記事紹介

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今日は、蓄積された過去の記事やるいネット投稿の中から「群れ」についてピックアップしてみたい。
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■群れのメリット
●免疫力が上昇
群れることで、外敵圧力に対するストレスが弱まり、免疫細胞が活性化する。人間でも同じだが、免疫系はストレス(不安)に極めて過敏に反応する。群れる仲間が存在せず、生存可能性の低い外敵圧力下では、免疫細胞が活性化せず、容易に病気になる構造にあると考えられる。
ウィルスや病原菌が群全体に繁殖→その分抗体製作スピードが上がると言うこと。ウィルスの感染などは一気に群全体に広がる。これは適応上不利だと感じるが、早期に多様なウィルスに感染することは、それだけ抗体製作も早くなり、群全体では適応力が上昇する。これは人間の子供の実験データとしても解明されており、集団遊びを幼少期から積極的に行っている子供程、免疫力が上昇することが判明している。
●エネルギー消費量を抑えられる 
小型哺乳類は、寒いところでは固まりあうことで、生き抜きます。お互いの身体が熱源になるわけです。ヘビでも、一匹でいるより数個体が固まっている時の方が代謝が低下し、酸素消費量が少なることが知られています。
●外敵から身を守れる
鳥やサルなど群れでいる生物では、ある一匹が敵を見つけて声を上げることで、群れ全体が敵に気づくことによって被害を最小限にするという行動様式がよく観察されます。
●安定して子孫を残せる
群れでいると、生殖のチャンスが増え、安定して子孫を残すことができます。また、群れの個体が様々な組み合わせで生殖の機会を持つことができれば、群れの中の個体の多様性が保たれ、外圧(急な環境変化)や病原体に対して耐性(生き残る確率)が高くなります。
■原始生命の群れ(仮説)
最初の生命あるいは細胞は、我々が今日考える生物とは大きく異なり、極めて未熟な発展段階にあったと考えられる。
こうした不完全な原始細胞が多数集合して代謝産物を次々と交換していく事で、初めて1個の独立した生命として機能を果たしていたのだろう。いわば、様々な異なる機能を持ち互いに補い合う原始細胞の集団が、1個の完結した生物であったと見る事もできる。
つまり、全生物の共通祖先は「1つの細胞ではなく、共同体的にゆるく連帯した多様な原始細胞」の一群であった。生命は独立した細胞とは言えない様な段階から、一種の生態系を形成する事で生きてきたのである。以後、少しずつ1つの細胞内に必要なDNAを集中させていく事で細胞の機能を拡大し、徐々に生物としての完結性・独立性を高めていったと考えられる。
生命は誕生時点から不完全(完結したものでは無い)なものであり、ゆえに共に生きてきた=群れる結果になった。
■組織的階層進化 
真核単細胞生物とは原核単細胞生物が寄り集まって、より上位の階層で全体を統合する組織機構を実現したものと見なすことも可能だ。生物界では真核細胞内に存在する小器官をオルガネラと総称するが、それ以前にはひとつの生命体として存在していた原核細胞生物が、真核細胞時代には、単独では生きていけないかわりに、新しい生命体‘全体’を協働して支えていくオルガネラという‘部分’に継承されることで、生命体自体は真核細胞という新しい次元での生存を勝ち取ったとも言えるだろう。
このような‘組織的階層進化’とも呼べる様相は、真核単細胞生物が多細胞生物に進化していく段階にも見てとれる。言うまでもなく多細胞生物は数限りない真核細胞で構成されているが、これは、原核単細胞がオルガネラに言わば‘後退’することで真核単細胞生物という新しい位相に進化したのと同様に、真核単細胞が要素や部分(≒オルガネラ)に‘後退’することで、多細胞生物という次のステップの統合様式が登場したように見える。
さらに、真核細胞の集合体・統合体として生存している多細胞生物も、次の階層では群れ=集団を形成し、生存そのものを集団に依存しながら、種としての存続を続けている。もっと言えば、集団動物の中でも共認機能を手に入れた霊長類は、集団単位の同類闘争という新しい様式に適応して、集団という階層のさらに上位に位置する社会という場を主要な生存域としようとしている。
つまり生物史とは、前の生命体が部分として活躍できる新組織を実現していく中で、新組織の統合様式が階層的に進化することで今日までの系譜を残してきた。この‘階層進化’とは‘新パラダイム’の到来・獲得に他ならないと思う。我々が最近よく耳にする‘パラダイム・シフト’という言葉も、生物史を紐解いてみれば、生命の進化メカニズムの基底的な構造や摂理のひとつと捉え直すことができるだろう。

List    投稿者 tanizaki | 2009-03-02 | Posted in ①進化・適応の原理5 Comments » 

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コメント5件

 route12 | 2009.05.12 19:52

>現実を対象化して、「どうする?」に応えていく頭の使い方をしない限りは、たとえ何億のシナプスが自我や妄想や解脱で活性化して電気が流れまくっていようと、まったく無意味なのである。
確かにその通りですね。
以前脳科学者の茂木さんが、脳には負荷をかけること、そしてその負荷をかけて達成できた時の喜びを持つことが重要ということを論じていました。
現実の圧力に適応し続けることが脳を活かす最もシンプルな方法なんですね。

 雅無乱 | 2009.05.14 21:34

route12さん、コメントありがとうございます。
その通りです!
そもそも現実の圧力に対応するために脳はできあがっているので、現実の圧力を自ら作り出す=社会の期待を掴みに行ってそれに応えていく嬉しさ・楽しさの中に自分の身を置く…ということが最大の脳の活性化法ということですね^^;)
かなり辛口で書きましたが、ドクター苫米地に期待すればこそです。彼には、儲け主義のエセ学者・専門家の仲間入りをして洗脳の片棒担ぎはしないでほしい!

 あれっくちゅ | 2009.05.16 3:25

妻がてんかんであるために、
脳の構造を肌で感じることが良くあります。
発作前後5分の記憶が飛ぶとか、
重篤な発作の後には古い記憶から回復するとか。
面白いものでは、人間は比較的最近出合った人でも名前を覚えているのに、猫の名前は思い出せないとか。
住んでいる地域の関係で、あぶくま養護学校http://www.abukuma-sh.fks.ed.jp/
の生徒さんの絵を見る機会がよくあります。
近付くとある距離に入った瞬間に絵から猛烈な衝撃に圧倒されることがあります。
健常者の絵、特に有名な画家の方の絵の場合はどこから見ても同じです。
とても不思議です。

 雅無乱 | 2009.05.19 1:02

あれっくちゅさん、コメントありがとうございます。
脳の機能の可能性については、4/4にNHKで二つの番組を見て、ほんとにスゴイな!と感激しました。
一つは、「復活した”脳の力”~テイラー博士からのメッセージ~」
   http://ameblo.jp/kirimarukun/entry-10230175241.html(紹介ブログ)
もう一つは
「私の声が聞こえますか ~植物状態からの帰還~」
   http://www.nhk.or.jp/special/onair/090328.html
   http://www.nhk.or.jp/special/movie/player090328_01.html(動画予告)
脳の回復力はものすごい、という話と、脳は、脳だけにあらず~身体と密接に関わっているという話でした。
特に、二つ目の番組では、目は覚めていても呼びかけには応えることがない「植物状態」の患者が治療方法によっては会話ができるまで回復できるという、最新の脳科学による治療法の成果がいくつか紹介されている番組でした。
・患者の体内に埋め込んだ電極を使い脳に直接電気刺激を送る治療法
・全身の運動を強制的に行ったり、味覚や聴覚に刺激を与えたりする治療法
脳そのものではなく、最も原始的な脳である脳幹から刺激をすることで、脳の回路が徐々につながっていくという事のようです。。
まったく反応しない植物状態でも、名前を呼ばれたら、脳の特徴的な部位が反応している。植物状態になったら、うんともすんとも言わないからもうダメだということで、現代医学では見放されてきましたが、実は回復の可能性は大ありだといいう事が分かる番組です。
最初全く反応しなかった19歳の女の子が電極を埋め込んで定期的に電気刺激を送る治療法を初めて何ヶ月かした後に音が出るおもちゃのキーボードを触らせた時に「かえるのうた」を弾き始めたのには驚きました。完全に人格も記憶も破壊されてしまったようにしか見えなかったのが、実はちゃんと脳が働いていて記憶もしていて意識も在るという事です。
それを見た父親が部屋を飛び出して庭で泣いていたのを見て、不覚にも泣いてしまいました…
脳と身体を分離して考えるのは近代医学の人間の狭いとらえ方なんだろうなと思います。

 雅無乱 | 2009.05.19 1:03

あれっくちゅさん、コメントありがとうございます。
脳の機能の可能性については、4/4にNHKで二つの番組を見て、ほんとにスゴイな!と感激しました。
一つは、「復活した”脳の力”~テイラー博士からのメッセージ~」
   http://ameblo.jp/kirimarukun/entry-10230175241.html(紹介ブログ)
もう一つは
「私の声が聞こえますか ~植物状態からの帰還~」
   http://www.nhk.or.jp/special/onair/090328.html
   http://www.nhk.or.jp/special/movie/player090328_01.html(動画予告)
脳の回復力はものすごい、という話と、脳は、脳だけにあらず~身体と密接に関わっているという話でした。
特に、二つ目の番組では、目は覚めていても呼びかけには応えることがない「植物状態」の患者が治療方法によっては会話ができるまで回復できるという、最新の脳科学による治療法の成果がいくつか紹介されている番組でした。
・患者の体内に埋め込んだ電極を使い脳に直接電気刺激を送る治療法
・全身の運動を強制的に行ったり、味覚や聴覚に刺激を与えたりする治療法
脳そのものではなく、最も原始的な脳である脳幹から刺激をすることで、脳の回路が徐々につながっていくという事のようです。。
まったく反応しない植物状態でも、名前を呼ばれたら、脳の特徴的な部位が反応している。植物状態になったら、うんともすんとも言わないからもうダメだということで、現代医学では見放されてきましたが、実は回復の可能性は大ありだといいう事が分かる番組です。
最初全く反応しなかった19歳の女の子が電極を埋め込んで定期的に電気刺激を送る治療法を初めて何ヶ月かした後に音が出るおもちゃのキーボードを触らせた時に「かえるのうた」を弾き始めたのには驚きました。完全に人格も記憶も破壊されてしまったようにしか見えなかったのが、実はちゃんと脳が働いていて記憶もしていて意識も在るという事です。
それを見た父親が部屋を飛び出して庭で泣いていたのを見て、不覚にも泣いてしまいました…
脳と身体を分離して考えるのは近代医学の人間の狭いとらえ方なんだろうなと思います。

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