2009-02-04

GTPと結合タンパク質から生命の起源を探る

GTPimage.jpg
※GTPの構造式

1/25のなんでや劇場では、生命の司令塔としての中心体~その中心体の原基~そして生命の起源へと迫る議論が展開されました。
そこで改めて興味を持ったのは、中心体原基=ヌクレオチド(GTP/GDP)とタンパク質の複合体
GTP/GDPとタンパク質の作用機序に、何か生命にとって根源的なしくみが潜んでいるのではないか?・・・と想像たくましくしておりました 🙄

で、調べてみました。

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まずは基本から・・・

●GTP(グアノシン三リン酸)
GTPとは「グアノシン三リン酸」の略で、グアニン塩基と糖と3つのリン酸が結びついたヌクレオチド。このGTPからリン酸が1つ外れたものがGDP(グアノシン二リン酸)。

グアノシン三リン酸は、グアノシン二リン酸 (GDP) からアデノシン三リン酸 (ATP) のリン酸を受容して生合成される。類似した構造を持つ ATP が生物体内で高エネルギーリン酸結合のエネルギーを利用して、様々な生合成や輸送、運動などの反応に用いられるのに対し、GTP は主として細胞内シグナル伝達やタンパク質の機能の調節に用いられる。
(中略)
生合成反応では RNA 合成やその他ヌクレオチドの合成に用いられる。そのほかに多糖の生合成では中間産物である「GDP糖」(GDP-グルコース、GDP-マンノースなど)の合成に用いられる。また動物のクエン酸回路ではスクシニル CoA 合成のエネルギー源、オキサロ酢酸からホスホエノールピルビン酸の合成でのリン酸供与体として機能する。

ウィキペディア:グアノシン三リン酸) 

●GTP結合タンパク質
GTP、GDPと結合してはたらくタンパク質群が「GTP結合タンパク質」。
これらは、GTPが結合すると活性化し、GDPが結合すると不活性化する性質があります。
GTP⇔GDPが細胞内の生化学反応を切り換える「スイッチ」になっているのです。
GTP結合タンパク質には非常に多くの種類がありますが、代表的なものをあげると・・・

○シグナル伝達系
・ホルモンや神経伝達物質を運ぶ「三量体GTP結合タンパク質」。
細胞膜を貫通する受容体タンパク質からのシグナル伝達に関わり、Gタンパク質とも呼ばれる。GTPが結合した状態が活性化し、下流のエフェクターへとシグナルを伝達します。

・細胞の増殖因子、分化因子となる「単量体(低分子量)GTP結合タンパク質」。
これもGTPを結合すると活性化し、シグナル伝達のほか、細胞機能の調節、分裂(増殖や分化)に関わっています。

※三量体というのはα、β、γと呼ばれる3つの異なる部品からつくられているという意味。単量体はひとつの部品で分子量も小さい。
※こちらのページ「Gタンパク質」 「体内ブレーカ GTP結合タンパク質」(pdf) が図入りでわかりやすい、おすすめです。

○タンパク質合成系
・タンパク質翻訳の際、リボソームの「開始因子、伸長因子、終結因子」としてはたらくタンパク質群。

○細胞骨格系
・これは当ブログではおなじみの「チューブリン」のこと。GTP 結合型が重合して微小管を形成、GDP に加水分解すると脱重合します。(伸び縮み)

ここで注目したいのが、上記のシグナル伝達系の部分。
GTP結合タンパク質は細胞の中でも極めて重要なシグナル伝達分子なのですが、とりわけ以下の性質に着目

●膜タンパク質と密接な関わりをもっている
1/25なんでや劇場でも、原始膜タンパク質の出現(単なるリン脂質の物質膜から選択透過性という認識機構を備えた生体膜への進化)が細胞生命誕生のひとつのキーになることが議論されましたが、GTP結合タンパク質と膜タンパク質の密接な連携には生命誕生前夜からの記憶が刻まれているのかも知れません。

●細胞分裂(増殖や分化)の制御に関与している
実際にGTP結合タンパク質の制御がきかなくなると、細胞のガン化進行の要因にもなります(GTP結合タンパク質が活性化したままの状態であると、細胞増殖がどんどん進行していってしまう)。
また、GTP結合タンパク質は、細胞の分裂軸の決定(分裂の対称、非対称を決め、細胞が均等に増殖するのか、それとも異なる細胞に分化するのかを決定)に関与していることや、細胞質分裂にも関与していることが分かってきているようです。
(※参考 増殖か分化か:細胞極性と分裂軸をカップリングするメカニズムに新たな知見
(※参考 Rhoを介した分裂面決定機構の解析

GTP結合タンパク質が細胞分裂の制御に重要な役割を果たしているとすれば、まさに(真核)細胞の司令塔=中心体の原基構造を探る手掛かりとなりそうです。

GTPと結合タンパク質から、生命誕生の秘密を示唆するメカニズムが解読できるかもしれません

List    投稿者 iwaiy | 2009-02-04 | Posted in ①進化・適応の原理2 Comments » 

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コメント2件

 あれっくちゅ | 2009.04.10 23:38

ブナ科の菌根菌、トリュフなんてのは有名ですが、
蘭ほどではないにしろ、幼い木はそれに頼っていると思っていました。
(洋蘭を栽培していた所からの発想)
成熟した木は次の世代のために土壌を整えている。
だから数え切れない世代交代をしつつ発展してきた。
逆にバラなんてのは
(バラも好きで栽培しています。)
バラの後にはバラは植えるななんていわれるほど、
次の世代のことを考えていない植物ですよね。
サクラもクマリンなんてのをばら撒くから、
割り込むことは出来ても、独占はできない。
なんてことを思っていました。
記事の趣旨とは違うコメントでごめんなさい。

 blogger0 | 2009.04.11 2:17

コメントありがとうございます。
洋蘭や薔薇を栽培されているなんてスゴイですね。
ランって、胚が未分化で胚乳も無く、自力で発芽できないんですよね。一生菌従属栄養で生きる種もいるとか・・・。その辺りが、ランが持つ独特の「妖しいイメージ」に繋がっているのでしょうか。
あ、ランは好きですよ。実家の近所には「伊豆洋らんパーク(http://www.yoran.co.jp/)」なんてのもあって、たまに行ってました。
また、当ブログへお立ち寄りください。

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