2009-01-25

タンパク質の擬似複製って何?

 こんにちわ。arincoです。この前の記事でGADV仮説というhttp://www.biological-j.net/blog/2009/01/000652.html新たな生物の起源説が提起されていました。
僕も興味を持ったのでちょっとGADV仮説の提唱者、池原健二氏の著作「GADV仮説」を読んでみました。
中でも特に興味深かったのが、複製の起源が「自己複製」ではなく「擬似複製」であるという事です。
擬似複製ってなに?と思った方、ぽちっとおして続きをご覧下さい~。
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 それでは、そもそもGADV仮説とは、何を表しているのか?という事ですが、
GADV仮説とは、
グリシン(G)、アラニン(A)、アスパラギン酸(D)、バリン(V)という4つのアミノ酸が生物の元になったのではないかという仮説
の事を言います。
では、なぜ生物の起源がアミノ酸ではないかと推測したのか。そして、なぜ中でもGADVだと考えたのでしょうか。
①アミノ酸の優位性
 
 まず生物界で一般的に認められている仮説として、原始地球ではグリシン(G)、アラニン(A)、アスパラギン酸(D)、バリン(V)等の簡単なアミノ酸が作られていた可能性が非常に高いそうです。
 当然原始地球には、アミノ酸以外にも様々な化合物が存在していたと思われますが、アミノ酸は水の中でアミノ基が+に帯電し、カルボキシ基は-に帯電しているという特徴を有しています。この事はアミノ酸同士が水中で互いに引き寄せられる性質を持つという事を示しており、原始地球でアミノ酸同士が優先的に結合していた可能性が高いことを示唆しています。 つまり、自然状態で、タンパク質(様物質)が合成される可能性が高かった。という事です。
②なぜGADVか?
 
 では、なぜGADVなのでしょうか?主な理由としては、
・GADVは、構造が簡単である。
・タンパク質が水中で球状の形を取り触媒機能を果たす為の条件をわずか四種類のアミノ酸の中が全て見たしている。
(条件とは、「親水性/疎水性」を持つ事、「αへリックス、βシート、βターン等の二次構造構成能」を有する事)
・GADVは遺伝暗号であるGNCによってコードされている
という点です。GNCは、原初遺伝暗号として考えられているコドンで、Gはグアニン、CはシトシンでNは、G、C、A、Uのいずれかを示しています。GNCは、
・遺伝子はGC含量が高い
・GC含量の低い遺伝子であってもGの含有量が一番高い
・コドンの塩基位置2番目は、ほぼ4種が同じ割合。
という所から原初遺伝暗号であったと考えられています。
これらの理由から、著者は、GADV仮説を唱えています。それでは、次に冒頭で述べた「擬似複製」について説明します。
 擬似複製とは、一言で言うと、
「GADVアミノ酸をランダムに結合させる事によって類似の構造を持つ水溶性で球状のタンパク質が生成されること」
の事を言います。この擬似複製によって遺伝子不在化でもタンパク質の複製が可能であったという事です。
 タンパク質は、その「形」で「機能」が決まると考えられています。「形」はアミノ酸の「配列」で形が決まるとされています。これを「組成」、つまり何がどれくらい含まれているかである程度機能が決まってくると考えている所が興味深い所です。このある特定の組成を「たんぱく質の0次構造」と呼んでいます。
 実際、このような推定のもと行った実験でも、このたんぱく質の0次構造はある程度実証されているようです。
 このように、ある特定のアミノ酸組成、原始的にはGADVの数の比率が似ていれば、機能も似たタンパク質が出来上がるに違いないという事です。これが擬似複製です。
 以上まとめると、
①GADVアミノ酸⇒優先的に結合⇒②GADVペプチド形成⇒③GADVタンパク質⇒水中で球状に折りたたまれ触媒活性機能を持つ=酵素機能⇒似たようなタンパク質の合成(擬似複製)
という事になります。
そして、この擬似複製によって出来たたんぱく質群がヌクレオチドの生成の触媒として働いたのではないか!?と結論付けています。
リンクで司令塔と目される中心体の前身がアミノ酸の重合体ではないか?と予想されているように、まず簡単なアミノ酸が出来てその後ヌクレオチドができて、RNPが形成された。このRNPが生物の起源である。という仮説も成り立つのかなと感じました。

List    投稿者 arinco | 2009-01-25 | Posted in ①進化・適応の原理1 Comment » 

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コメント1件

 arinco | 2009.03.28 19:40

役割、合成順序、安定性からプリン塩基の方が根源的という事ですね。なるほどー。
 最初の生物的存在が中心体原基だとすると、次に必要なのは、脂質膜になります。中心体原基には、中心体から推測すると、GTP、ATPが重要になり、膜形成では、CTP、UTPが需要にななります。
 このような考え方も出来そうです。

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