2009-01-15

代謝獲得→超好熱細菌→古細菌 <仮説>

hydrothermalvent.jpg
画像はコチラから。
masamuneです。今日は生物が代謝を獲得させたのはなぜか?超好熱古細菌から古細菌への流れを書いてみようと思います。
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前回は代謝について書きました → リンク

代謝とは、他のものからエネルギー出し入れすることです。

代謝には大きく物質代謝とエネルギー代謝があります。

・物質代謝とは、物質が変わること(合成するとか変換する)です。
・エネルギー代謝とは、生体活動に関わるエネルギーの出入りや変換をすることです。

生物は代謝にATPというヌクレオチドを使うのですが、これは生命起源に近い超好熱古細菌でも同様であるということが前回の記事で分かりました。

さて、生命は海底火山の辺りで誕生したと考えられており、生命起源に近い超好熱古細菌もそこで生活しています。
海底火山に近い環境で実験した結果「マリグラヌール」というたんぱく質の塊のような物質ができることがわかっています(リンク)。
このマリグラヌールを、生命の3歩手前くらいにいるのではないかと僕は考えています

ちなみに大きさは、超好熱細菌が0.8-2.0μm、マリグラヌールは直径0.3-2.5μmとだいたい同じくらいです。

生物とは、代謝と自己複製すると考えられています。超好熱細菌は生物なので、もちろん両方します。

マリグラヌールも両方するらしいのですが、特に代謝について深く掘り下げて考えていきます。

超好熱細菌が代謝(=エネルギー代謝)することは先の投稿で述べましたが、マリグラヌールの代謝ってどうなんでしょう?

マリグラヌールの代謝は物質代謝だと考えられます。海底火山の高温の環境なので、物質同士反応しやすいのは想像しやすいと思います。

では、ここで主題にあるマリグラヌールと超好熱細菌をつなぐ仮説を立ててみたいとおもいます。

マリグラヌールのような物質代謝をするものが、海底火山という高温高圧の環境のもとで、エネルギー代謝を獲得し、半生物のようなものができたのではないでしょうか?おそらくそれは不安定であり、できては消滅し・・・のようなことを繰り返していると思います。環境も激変してますからこれはあり得るでしょう。

その中で安定できたものが超好熱細菌ではないかと思います。生命が活動するにはエネルギー(=熱)が必要です。高温高圧で環境もめまぐるしく変わる中、安定的にエネルギー(熱)を得るためにエネルギー代謝機能を獲得したのではないでしょうか?

そして、この先に古細菌になっていくのですが、超好熱細菌は高温でしか適応できませんが、海流に流されたり、他の生物とのなわばり闘争に追われ、少しずつ低い温度にも適用できるように代謝を発達させ、それに伴い機能も増えていき、常温でも適応できる古細菌になっていったのではないでしょうか?

まだ、マリグラヌールと超好熱細菌をつなぐものが発見されていませんし、この2つが本当につながるかもわかりませんが、今後も追及して生命起源を明らかにしていきたいと思います 😛 。
masamune

List    投稿者 MASAMUNE | 2009-01-15 | Posted in 未分類 | 1 Comment » 

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コメント1件

 KAM | 2009.03.03 22:50

anizakiさん
興味深い投稿、ありがとうございます。
単純なものから複雑なものへ階層化してくる大きな流れがあるとの認識、とても共感します。
僕は、かつて、「個の自由とは何か」ということを明確にしたくて、単細胞期と多細胞期をライフサイクルの中で両方持つ細胞性粘菌を研究していました。
細胞性粘菌について詳しい京大のページ
http://cosmos.bot.kyoto-u.ac.jp/csm/index-j.html
この生物は、anizakiさんの書かれている「組織的階層進化」が、ライフサイクルの中で起こるので、個の現象に本質的に重要なものが何かを抽出できるのではないかと考えたのです。
細胞性粘菌においては、cAMPの時空間パターンが集団内に生まれ、集団を1つにまとめあげ、上の階層の「個」を作るのに重要な役割を果たします。
このとき、細胞の密度が高くなり、細胞外のcAMPの濃度変化が速くなり、細胞内のcAMPの変化とカップリングしてくることがパターン形成がスタートする上で大きな役割を果たしているようです。
つまり、集団に定義されている量の変化が速くなってきて、個体の変化と関連してくると、上の階層に動的な秩序が生まれてくるように見えるのです。
そう考えると、ネットは、情報をすごい速さで伝達、共有するツールですから、もしかしたら、私たち、個人の自由度を奪い、上の階層の動的秩序を作り出す危険性があるツールなのかもしれませんね。

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