2009-01-13

マリグラヌールって何?生き物といえるの?

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この画像は理科ネットワークマリグラヌールの生成からお借りしました。
このブログでも紹介された事のあるマリグラヌールですが、一般的にはあまりなじみが無いもので、初めてこの名前を聞いた方も多いのではないかと思います。
実験で作られた、自己複製の能力があるタンパク質で、生命の起源に近いものではないかといわれています。興味をもたれた方は応援もお願いします。
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■マリグラヌールの作り方
マリグラヌールの材料は9種類のアミノ酸混合物、グリシン、グルタミン酸、アスパラギン酸、リジン、ヒスチジン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファンです。
これを太古の海を模した環境である修飾海水に入れて、4週間105度で反応させて作ります。修飾海水はモリブデン・亜鉛・鉄・銅・マンガン・コバルトのような遷移金属濃度を現在の海水の1000倍から1万倍多く含んでいる模擬海水です。
この修飾海水のように高濃度の遷移金属を含む海水は現実には存在しないと思われていましたが、深海底の熱水噴出孔海水が以上に高濃度の金属イオンを含んでいることが分かりました。

■マリグラヌールってどんなもの?
海(marine)環境で生成した粒子(guranule)という意味でマリグラヌール(mariguranule)と名づけられました。マリグラヌールは直径0.3から2.5ミクロンの球形状で多くのものは連結構造をしているそうです。
また、マリグラヌールの精製初期の段階で、マリソームと名づけられた中空の小胞も見出され、これはマリグラヌールに比べ柔らかく弾力性があるそうです。マリソームを水に分散させると一部パンクし外界との間に明確な柔らかい境界膜を持っていることが分かるそうです。

■マリグラヌールは自己複製するの?
マリグラヌールで検索して調べると自己複製することが出来るという記載が多く見られます。
「幾つかの球体がつながった連結構造をして発芽によって増殖すると言う。」
「このマリグラヌールは出芽のような様式で新しい球状体を分裂させていくこともできる。」
「連結構造は2つの粒子が結合した結果できたものではなく、内部からの発芽によってできたものである。連結構造は酵母の発芽を彷彿させる。」
自己複製の詳しい仕組みは、はっきりしません。しかし、DNAのような複製の設計図を持っていないことは間違い無さそうです。どうも、材料となるアミノ酸と、触媒の役割を果たすと思われる金属と、高い温度があれば結晶が出来上がるように、自己組織化して出来ていくようです。

■マリグラヌールは生き物といえる?
マリグラヌールの発見者のお弟子さんが次のように述べています。「私の先生である江上不二夫先生はマリグラヌールという膜で包まれたものを作り出されたんです。もっともこれは続く能力はもっていませんが。」
どうも、マリグラヌールは普通の環境で増殖し続けるものではないようです。実験的環境下で球形の連結構造が出来上がることから、出芽のような形で形成されていると考えられているようです。
そして、形成の初期の過程にマリソームといわれる中空の膜が出来、その中にアミノ酸が入って連結増殖し、出芽しながら増えていくようです。
実験環境では、最初に入れた材料しかありませんから、それが無くなればそれ以上成長しませんが、原始海洋のように材料が沢山あれば、材料がある限り出芽が続くのかもしれません。
いずれにしても、一定の環境と材料がそろえば、RNA・DNAが無くても、アミノ酸とアミノ酸重合体が化学反応しながら、同じような形態を複製していくことが可能なのは間違いないようです。
生命活動は化学反応の組み合わせではありますが、感覚的には生命活動というよりも、まだ、化学反応の段階という感じがします。生命と物質の中間にいて、生命の3歩手前といったところでしょうか。

List    投稿者 nodayuji | 2009-01-13 | Posted in 未分類 | 4 Comments » 

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コメント4件

 arinco | 2009.02.27 12:05

なぜ三つか。という疑問は常々感じていました。
エネルギー等が関連しているのかもなあなど考えていましたが、
確かに、最初は、1つだったのかも知れないですね。

 yukie | 2009.02.28 20:58

arincoさん、コメントありがとうございます☆
遺伝暗号に関しては
なんで3つも必要?→アミノ酸の種類がヌクレオチドに対して多いから。
と考えると、アミノ酸の種類が少ないときは3つじゃなくてもいいんじゃないかと考えました。
何かヒントがあったら、また教えて下さい♪

 匿名 | 2009.03.06 6:21

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遺伝暗号の起源について、遺伝暗号がGNCから始まり、SNS(SはG または C を表します)を経て、現在のいわゆる普遍遺伝暗号(標準遺伝暗号とも言いますが)に至ったという、GNC-SNS 原始遺伝暗号仮説を提唱している池原健二です。このブログの中で、私の遺伝暗号の起源に関する考えを紹介していただいたり、議論していただき有難うございます。ただ、少し私が考えていることと異なる点が見受けられますので、意見を述べさせていただきます。
 確かに、最初の遺伝暗号が4つのアミノ酸を使用していたのなら4つのヌクレオチド(U, C, A, G)を使用し(これをシングレットの遺伝暗号と呼びますが)、10種のアミノ酸を16種のコドンがコードする遺伝暗号を使用していた時期は、二つのヌクレオチドを使用(これをダブレットの暗号と呼びます)しても良いのではとの議論のようですが、このようにシングレットの暗号やダブレットの暗号を使用していた生命が存在したとしても(理論的にはそのような生命が存在しても構わないのですが)、現在の生命が使用しているような三つのヌクレオチドを使用する(これをトリプレットと呼びます)時期を迎えた瞬間に、それ以前の遺伝情報がまったく使えなくなり、無意味になってしまいます。そのため、私の考えでは現在の生命の祖先をたどって行くとその祖先もトリプレットを使用していないと不都合が生じます。したがって、現在の遺伝暗号は、形式的にはトリプレットでありながら、実質的にはシングレットのGNC(1x4x1=4)から始まり、形式的にはトリプレットで実質的にはダブレットのSNS(2x4x2=16)を経て、形式的にも実質的にもトリプレットの現在の普遍遺伝暗号(4x4x4=64)に至ったというのが私の考えです。皆さんは以上のような私の考えについてどのようにお考えでしょうか。

 yukie | 2009.03.07 21:25

池原先生、コメントをいただけるなんて、びっくりしました! ありがとうございますm(_ _)m 
今まで調べたことの中から、私は、DNA,RNAの原料であるヌクレオチドは、それ自身がエネルギーの保存・利用に重要な物質であるがゆえに、単なる暗号としての機能を超えてアミノ酸と結びついたのではないか(触媒のようにアミノ酸を引き付けた?)と考えています。(参照:http://www.biological-j.net/blog/2008/11/000615.html)
ですので、生命初期の段階でもしアミノ酸が4種ならば、それに対して3つものヌクレオチドを使わなかったのではないか(他にも役割があったのではないか)と思ったのですが…。しかし先生のコメントをもらってから考えてみますと、そもそも生命初期(生命がタンパク質を合成する段階)でアミノ酸は4種類以上あったのではないでしょうか? 生命最初から3つのヌクレオチドをセットで遺伝暗号として使っていたと言うのは先生もおっしゃっている通り、なるほどと思うのですが、それならば最初から、4×4×4=64通りでしか対応できないくらい多かったと考えた方がしっくりくるのでは?

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