2009-01-14

人工膜と生体膜の違い

生命の起源を探るうえで、認識機能と情報伝達機能は大きなポイントではないかと思います。
その原点は生体膜にあると考えられますが、ヒントとなる記事を見つけましたので紹介します。
biophysics3%5B1%5D.gif
<代表的な生体膜流動モザイクモデル:生体膜は脂質分子が2分子膜状に集合し、この膜を反応の場としてタンパク質が多様な機能を発揮することが出来ます。リンクより引用>

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●細胞サイズの脂質2重膜カプセル「リポソーム」

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>細胞の内外の情報伝達がどのようにされているかは非常に気になるところです。また、細胞のような機能を人工的に再現できればすばらしいことです。このような研究分野では、リポソームと呼ばれる人工細胞膜が活躍しています。
リンクより引用>

●細胞内外の情報伝達を担う「脂質ラフト」

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<脂質ラフトのモデル:神経細胞膜で糖脂質が、GPIアンカー神経細胞接着分子TAG-1、三量体Gタンパク質Goのαサブユニット、srcファミリーチロシンキナーゼLyn、その基質タンパク質Cbpと会合している様子を示しています。>

>細胞膜にはその構成成分の一つとして、糖鎖と脂質が結合した糖脂質と呼ばれる物質が存在しています。糖脂質は、脂質部分が膜に埋め込まれ糖鎖部分が細胞外に露出したかたちで主に細胞表層に存在していて、様々な病気の発症に関わる分子と結合することが知られています。
>糖脂質が細胞膜においてsrcファミリーチロシンキナーゼや三量体Gタンパク質といった細胞内情報伝達分子と会合していること、さらに培養細胞に抗糖脂質抗体を添加するとその情報伝達分子が活性化し実際に細胞内に情報が伝達されることを見つけてきました。
>現在、この細胞膜における糖脂質と情報伝達分子の会合体(糖脂質ミクロドメイン)は脂質ラフトと呼ばれ、細胞膜を介する情報伝達の中継点として働いていることがわかってきました。
臨床研ニュースより引用>
※ラフト:「いかだ」の意。脂質二重膜に「いかだ」のように浮いている。流動性があり、刺激に応じて集合状態を変化させる。
リンク参照>

●考察
リポソームのような単純な脂質二重膜なら人工的につくることができる。人工膜がどこまで認識機能と情報伝達機能を持ち得るのかは今後の研究に期待されるところだが、おそらく、人工膜と生体膜との間には大きな隔たりがある。
・生体膜には、外圧を認識し、それを内部に伝える機能が不可欠であると思われるが、その機能を担っているのが脂質ラフト(糖脂質と情報伝達タンパク質との会合体)という構造であるらしい。脂質ラフトは脂質二重膜に「いかだ」のように浮いており、細胞の内外をつなぐ中継点となっている。おそらく、糖脂質が外識機能を担い、細胞内情報伝達タンパク質が内識機能を担っているのであろう。
・もともとタンパク質には「界面活性あるいは両親媒的でほとんどの材質の表面に吸着する」というくっつきやすい性質があり、脂質二重膜に結合しているタンパク質には「膜に接しているところは疎水性が強くて膜脂質への親和性が極めて高く、膜から突出しているところは親水性が強くなっている」という性質がある。脂質二重膜とタンパク質は極めて結合しやすい。(おそらく、糖鎖と脂質が結合した糖脂質にも生体膜と結合しやすいという性質があるのではないか。)
・おそらく、人工膜と生体膜には、脂質二重膜にタンパク質や糖脂質が結合しているか否かという大きな違いがある。それが生命の起源を探るうえでの重要なポイントの一つであろう。
・近年GADV仮説というタンパク質ワールド仮説が注目されている。リボヌクレオチドよりはアミノ酸やポリペプチドの方がはるかに合成されやすいという事実からみて、生命の起源にタンパク質ワールドがあった可能性は高い。先ずタンパク質ワールドがあり、タンパク質が脂質二重膜や糖脂質などと結合することによって生体膜がつくられた、というのが考え得るシナリオではないだろうか。
 

List    投稿者 fkmild | 2009-01-14 | Posted in ①進化・適応の原理No Comments » 

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